エロール・スペンス Jr. vs テレンス・クロフォード | R I N G C H E C K !

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打撃系格闘技の練習や試合についてのブログでしたが、
現在は海外ボクシングとムエタイの記事が中心です。
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ついに実現した世紀の一戦。 中量級ビッグマッチとしては、 レナード vs ハーンズ、 チャベス vs カマチョ、 デラホーヤ vs トリニダート、 メイウェザー vs パッキャオ に比肩するレベルの頂上対決であり、 全世界のボクシングファンが待ち望んでいた まさに究極の一戦です。




▼ エロール・スペンス Jr. vs テレンス・クロフォード







初回から最後まで一貫してクロフォードが選んだスタンスはサウスポー。 スペンスの左ストレートは所作的に被せの要素 ( クロスやスリップカウンターのイメージ ) が少なく、 右ジャブへのカウンターリスクも少ない。 尚且つスペンス自体がクリス・ヴァン・ヘーデン戦以降、 約8年間サウスポーとの試合がなく、 右ジャブを起点としたボクサーファイターへの試合での対応力が万全なはずもなく … クロフォードがサウスポーを選ぶのも当然の選択。





実際、 スペンスはクロフォードの右ジャブを起点としたテクニカルなサウスポースタイルに全く対応出来ず、 強引なアタックと強振もクロフォードの冷静なディフェンスワークの前では空転し、 初回以降の試合展開は一方的な物となりました。 スペンス最初のダウンとなったクロフォードの左ストレートカウンターからの右ジャブの逆ワンツー、 2度目のダウンは見えない右ショートアッパー、 3度目は右フックダブル、 4度目は右フックのフラップカウンター。 これらのカウンターの所作/動作的な部分はここでは言及せず、 直接指導に生かそうと思います。 当ブログ管理人の採点は決定Rまでフルマークでクロフォードでした。















8年前 この記事 で書いた事が本日、 完璧に証明されました。 何よりも 「 技術が力を凌駕した 」 この事実は大きく、 自分の指導者としての立場から見ても ( 極々勝手にですが ) 喜ばしい結果となりました。





フレームとフィジカルに優れたボクサーがシンプルなパンチをもって、 ジャブ、 ワンツー、 フックアッパーの基本コンビネーションのみで連戦連勝をしていく … 勿論それも素晴らしいボクシングの一つの形ではあると思うのですが、 漸進的/建設的であるかと問われれば、 否と答える他ありません。





基礎/基本の練習を日々繰り返し鍛錬/錬磨していく事なんて、 トップレベルの選手にとっては当たり前の事です。 その下敷きの上に新たな技術や打法を上乗せしていくからこそ競技が漸進し進化していくのです。 この2点は競技の練習に於いて常に並進して行かなければならない要素なのです。





世紀のメガマッチを完璧に制しウェルター級に於いて世界4団体を統一しただけでなく、 ボクシングの世界観自体を更に押し広げてくれたクロフォードの功績は大きい。 試合後にスペンスを称え、 神への感謝を述べたクロフォード … 全世界のボクサー、 ボクシング関係者、 ボクシングファンがリスペクトすべき2階級4団体統一王者の誕生です。













◎ 結果:クロフォード 9R TKO 勝利