拳四朗 vs アンソニー・オラスクアガ | R I N G C H E C K !

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打撃系格闘技の練習や試合についてのブログでしたが、
現在は海外ボクシングとムエタイの記事が中心です。
知り合い・近親者向けに書いています。










久方ぶりの後楽園ホール以外の大会場観戦。 まず 天心のボクシング転向初戦 → 関係者の想定通りの展開だったのかと。 前手のリード/触覚使いからカウンター精度まで若干のモデルチェンジはあれど、 スパー時と比べて 動作・所作レベルの土台に然程の変化無しです。 フラッシュダウンを取ったチェックフックやハズした昇竜拳など、 
キックの時同様 大技をやる前の危機管理/安全確認さえ抜かり無し。 本人が一番楽しみながら躍動 → 観衆にもそれが伝播していく … ジャンル違いの舞台だろうと、 其処に拡がるのは那須川天心ワールド … 最早自身がジャンルとなっている … 。





元々キックボクシング時代からパンチに関しては、 法政大学ボクシング部から指導者へ転向した岡本トレーナーに ボクシングベースの超絶ハイレベルなパンチスキルを叩き込まれており、所謂キックボクサーが最初に覚えるムエタイベースの “ キック打ち ” と呼ばれるパンチ打法とは全く異なる土台を天心は既に持っています。 加えて足回りにおいても一般的なキックのグライディングというより、 元々ボクシング的なスプリング、 ピボットを得意としていたので、よく言われる 「蹴り有りの格闘技からボクシングに転向する違和感」 を ほとんど感じさせずの想定通りのボクシング初戦となっておりました。





完全な「キック打ちのパンチ」のキックボクサーであったら、半年の練習期間であそこまでボクシングにアジャストする事は不可能です。 間違いなく言えるのは帝拳ジムでの半年よりも、岡本トレーナーとのベースが一番大きいという事です。 既にボディワークでのスクランブル脱出、 アングルチェンジを含めた細やかなポジション取り、 そこからのカウンターショットのタイム感までも数Rで合わせるアジャスト能力を有しており ( KOを逃したのは、相手の与那覇選手の日本ランカーとして この試合に懸けて来た気持ちの強さを褒めるべき ) このまま国内タイトル、東洋タイトル、世界タイトル、と サーマートコースを辿っていく事を期待させる … 文句無しの素晴らしいボクシング転向初戦だったと思います。





■ キック出身のボクシング世界王者 → ポベトキン、 クリチコ、 トロヤノフスキー、 リピネッツ、 アルジェリ、 ディリアン・ホワイト、 マヌエル・チャー etc …

■ ムエタイ出身のボクシング世界王者 → センサック、 サーマート、 カオサイ、 ソムジット、 ポンサワン、 ウィラポン、 シリモンコン、 ワンヘン、 ノックアウト、 アムナット、 ヨックタイ、 ヨーサナン、 タノムサク、 チャッチャイ、 サマン、 シーサケット、 ソット、 テーパリット、 デンカオセーン、 ポンサクレック etc …

天心のボクシング世界王座奪取にも大いに期待したいと思います。





さて、本題。 ライトフライ級世界2団体王者の拳四朗選手に挑むは、 ジョナゴンから急遽代打出場となったものの、業界内では真打ちと噂されていた大物、トニーこと アンソニー・オラスクアガ 🥊 帝拳プロモーションの選手であり、 プロ全勝のスーパースラッガー、 且つジョナゴンとは真逆といっていい オーソのスウォーマー。 知り合いのトレーナーが拳四朗選手の米国合宿の際、 ミットホルダーをしており、 尚且つこの両者のスパーリングを近くで見ていて、 「オラスクアガの方が若干押していた」 という情報を得ていたので、 当ブログとしてもこの対戦は滅茶苦茶楽しみにしていました。




▼ 拳四朗 vs アンソニー・オラスクアガ







予想通り拳四朗選手がジャバースタイルのミドルレンジキープでスタート。 テンポ良いジャブで良い展開作りに努めるも、オラスクアガも左フックを起点に鋭いアタック、 予想以上の振りとスピードに観客席からも戦慄が走ります … しかしながらこれまでの映像からも分かる通りオラスクアガのパンチはFG・FOG筋フル稼働式のショットなので … 連打の後に小休止を作らなければ12Rは持ちません。





拳四朗選手は(やや速めながら速過ぎない独特の一定テンポの)アタックを仕掛け続ける事が出来るので、オラスクアガの連打終わりこそ独壇場。 2Rに早くも右でダウンを奪うと以後徐々にオラスクアガを削り取っていきます。 拳四朗選手の距離の使い分けは実に絶妙で、 ミドルレンジのジャバースタイルとヘッド・トゥ・ヘッドでのファイタースタイルだけでなく、 バックギア、 フロントギアと巧みにギアを入れ替えてボックス ! パンチやムーブメント自体はシンプルで基礎的な物ばかりなのですが、 そのどれもが高い強度を誇っているので、 ボクシングが揺るぎない ! !





しかしながらオラスクアガも削り取られたと思わせておいて、 ソリッドなアッパー連打で急に復活したりとゾンビっぷりを発揮。 ムーブメントもパンチも中々死なないので、 緊張感が抜けません … そして9R ! 打ち合いで引かない拳四朗選手、 オラスクアガの左フックを被弾 ! 拳四朗選手の足が一寸揃ったので、 「危ない!」と当ブログ管理人は叫んでしまいましたが … 笑 … なんと拳四朗選手はそのまま引かずに打ち合う ! そこから更にオラスクアガを青コーナーに押し込み連打の中の右ボディを効かせ、 ラストはワンツーワンツーワンツーの連打でフィニッシュ ! ! !





天心に全て持っていかれたと思われた今興行のメインをバッチリと締めて … 尚且つ自身のベストバウトと断言出来る激闘を制した拳四朗選手 … 心から感動しましたし、 痺れました ! 現在ライトフライ級において世界で最も強い王者は間違いなく拳四朗選手でしょう ! !













◎ 結果:拳四朗 9R TKO勝利