日本は環境面ではしごをはずされる。


オバマは「環境ニューデイール」ともいうべき環境対応を柱に雇用を生み出すという「オバマドクトリン」を出すはずである。(既に指摘済み)


日本は京都議定書から離脱したアメリカと環境対応積極派のEUの間を取り持つはしご役を自任してきた。


しかしオバマは既に2050年に1990年比で80パーセント削減することと、EU方式の『排出権取引』に参加する方向を打ち出している。


日本のはしごなど必要ないばかりか、日本の頭越しにEUと共同歩調を取ろうとしている。


日本政府のの先読みの能力の無さがまた露呈され、国益を損なうことになる。



§これから起こる市場のサプライズ


アメリカの3大自動車メーカー(ビッグ3)への政府援助問題は、政府にとって引くも地獄(大量の失業者、不況促進)、進むも地獄(再建メドの無いあり地獄の資金提供)の状態である。


破産法の適用も選択肢であるが、そうなってもサプライズであるし、また、破産法が適用されない場合は、処方箋なしの状況が露呈し、これもサプライズとなる。


12月上旬のビッグ3の議会への再建計画提出時(または事前にその情報が認識された時点)には、上記の事態となる。







大きな図柄を確認しよう。


①世界での実体経済の規模は5000兆円、金融で流通しているのはその4倍の2京である。


②米国の不良債権480兆円から580兆円(日本経済研究センター)

米国の不良資産対策費は70兆円。既に残りは45兆円しかない。


③トヨタ、キャノンが50パーセントを越す減益。GMとクライスラーは実質上破綻。

大半の企業はGMとトヨタの間に位置すると考えられるので、これから大量の倒産が生まれるということである。


④中国は8パーセント成長維持に57兆円の景気刺激対策。

8パーセントを割れば失業者(毎年2000万人の新規労働力が生まれている)が急増し社会不安(政府批判)が一気に高まる。


これまでの規模での「世界の工場」としての地位を守れる可能性は低いだろう。(人件費増、環境や安全での国際基準対応でのコスト高等)


⑤米国の(稼ぎ以上の)消費を前提とする経済構造の復活はない。

さらに景気対策を行うにしても自前のお金はない(ここが1929年大恐慌時と大きく異なる点である)。


赤字国債を印刷して、外国に買ってもらわなければならない。

しかしEUの「ドル基軸通貨否定(G20 フランス サルコジ)」の立場を考えるとEU、中東諸国、新興国がスムースに、これまでのように米国国債を買うとは思えない。(日本は唯一の例外か?)


⑥G20で見えてきたもの

・EUのアメリカスタンダード(ドル基軸通貨制度)拒否の態度表明。

これは米国の身の丈以上の消費構造を復活するためのお金は出さないということである。


IMF(世界通貨基金)は米国の意向を受けて動く(実質上米国の意向に反した決定は行えない)組織であり、この運営にメスが入れば、ドル崩壊は新たなステージへ進むことになる。


・金融危機再発防止の大きな方向は出されたが、目の前の危機克服の処方箋は、景気刺激のための財政出動の方向が出されただけである。


以上の図柄を考えると、世界経済は恐慌を避けることはほとんど不可能ということになる


1月に発表される、「オバマビジョン」が、はかない蛍の光程度のものとなるのか、本格的輝きを放つものとなるのか注目される。



(まとめ)

金融危機はまだ中間地点も、ヤマ場も通過していないし、危機への処方箋も示されていない。


現在最も大きな問題は、事態の深刻さを認識している政治家、専門家がきわめて少ないということである。


企業関係者は事態を認識している人が増えているが、それらの経営者は先の展望を全く語ろうとしない。


正確な認識をする者が思考停止に陥っていることこそが、今回の金融危機の底なしの不安を反映している。


明けない夜はないかもしれないが、現在のところ、夜明けが近づいている兆候はない。







オバマ大統領が決まった。

このブログでは、以前よりオバマ大統領を前提に分析してきました。大きな期待がかかります。新大統領の課題は次の3つと考えます。


①イラク、アフガニスタンの戦争処理

まずはイラクからどのようにうまくに手を引くかが課題。

軍事費の削減まで踏み込めるかが注目。


②温暖化対応

環境立国、ポスト京都議定書体制への復帰、排出権取引でのEUとのリンクが課題

オバマ氏は既に以下の環境対応を表明済み。

・原発よりも新エネルギー開発重視。

・2025年までに再生可能エネルギーの比率を25パーセントにする(現在は7パーセント)。

・2050年までに自国で温暖化ガス80パーセント削減(1990年比)。


③金融危機、不況対応

はっきりしていることは、アメリカは以前のアメリカとして復活する事はないということである。

アメリカの身の丈以上の消費を前提とした世界の経済システムは崩れるということである。自力で再生するシナリオが描けるか。(環境立国や軍事費削減など)


*まだ、金融危機は去っていない。

不良資産がどのくらいあるかの算定がなされていないからである。公的注入や不良債権買取に準備された70兆円はおそらく不足する。さらに国債を印刷する必要に迫られる。


現在でもアメリカは短期金利を下げているにもかかわらず、長期金利が下がらない。

なぜか?


理由は、経済対策(国の景気対策)として多額の税金が投入され 、アメリカの赤字国債発行が拡大し、財政赤字がふくらみドルの基軸通貨としての地位が崩れる(ドル暴落、アメリカ国債の価値暴落)可能性が高いと市場が判断しつつあるからです。




*パナソニックが三洋を買収する。パナソニックは『環境』を買ったのである。


世界のトップクラスの優良企業であるトヨタが70パーセント以上の減益である。トヨタの会見で注目すべき点が二つある。


第1は、自動車需要の復活のシナリオが描けないと語ったこと。

この発言は非常に正直で優れた認識である。自動車産業がかっての姿で復活することはないからである。。


先進国での車離れは構造的なものであり、途上国での伸びを考慮してもせいぜいゼロサム(総需要が伸びないでほぼ一定であること)である。

以前にも指摘したように『ゼロサムでの過酷な環境対応競争』が自動車業界の未来像である。


第2は環境対応研究費は削らないと強調したことである。

需要回復は読めなくても、はっきり見えているのは環境対応の必要性である。


やや散漫になったがまとめると、現在の重要ポイントは、オバマ氏が身の丈にあった消費を前提とした経済発展の展望を描けるかということである。


ウオッチすべきは前回と全く変わらず次の3点である。


①中国の経済成長がが8パーセントを割らないか(5分5分か? IMFは8.5パーセント予想)

②オバマ氏の環境立国、戦費削減政策が出るか(可能性は高い)

③不良債権の額がはっきりして、金融危機が峠を越えるか。あるいはその額によっては一気に恐慌突入か。(この点がはっきりしないから株価が乱高下する)


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