大きな図柄を確認しよう。
①世界での実体経済の規模は5000兆円、金融で流通しているのはその4倍の2京である。
②米国の不良債権480兆円から580兆円(日本経済研究センター)
米国の不良資産対策費は70兆円。既に残りは45兆円しかない。
③トヨタ、キャノンが50パーセントを越す減益。GMとクライスラーは実質上破綻。
大半の企業はGMとトヨタの間に位置すると考えられるので、これから大量の倒産が生まれるということである。
④中国は8パーセント成長維持に57兆円の景気刺激対策。
8パーセントを割れば失業者(毎年2000万人の新規労働力が生まれている)が急増し社会不安(政府批判)が一気に高まる。
これまでの規模での「世界の工場」としての地位を守れる可能性は低いだろう。(人件費増、環境や安全での国際基準対応でのコスト高等)
⑤米国の(稼ぎ以上の)消費を前提とする経済構造の復活はない。
さらに景気対策を行うにしても自前のお金はない(ここが1929年大恐慌時と大きく異なる点である)。
赤字国債を印刷して、外国に買ってもらわなければならない。
しかしEUの「ドル基軸通貨否定(G20 フランス サルコジ)」の立場を考えるとEU、中東諸国、新興国がスムースに、これまでのように米国国債を買うとは思えない。(日本は唯一の例外か?)
⑥G20で見えてきたもの
・EUのアメリカスタンダード(ドル基軸通貨制度)拒否の態度表明。
これは米国の身の丈以上の消費構造を復活するためのお金は出さないということである。
IMF(世界通貨基金)は米国の意向を受けて動く(実質上米国の意向に反した決定は行えない)組織であり、この運営にメスが入れば、ドル崩壊は新たなステージへ進むことになる。
・金融危機再発防止の大きな方向は出されたが、目の前の危機克服の処方箋は、景気刺激のための財政出動の方向が出されただけである。
以上の図柄を考えると、世界経済は恐慌を避けることはほとんど不可能ということになる。
1月に発表される、「オバマビジョン」が、はかない蛍の光程度のものとなるのか、本格的輝きを放つものとなるのか注目される。
(まとめ)
金融危機はまだ中間地点も、ヤマ場も通過していないし、危機への処方箋も示されていない。
現在最も大きな問題は、事態の深刻さを認識している政治家、専門家がきわめて少ないということである。
企業関係者は事態を認識している人が増えているが、それらの経営者は先の展望を全く語ろうとしない。
正確な認識をする者が思考停止に陥っていることこそが、今回の金融危機の底なしの不安を反映している。
明けない夜はないかもしれないが、現在のところ、夜明けが近づいている兆候はない。