廻神、面無を失った俺達は、次なる攻撃を天海に仕掛けた。綾乃がありったけの力をこめて奥義を放つ。


「樹戒・木樹観音!」


 そういうと無数の木の根が天海に纏わり着き、彼の体を締め上げる。そして完全に彼を飲み込んだ木の根はまるで大樹のようにそそり立った。しかし次の瞬間、凄まじい破裂音がする。大樹には大きな穴が開いていてそこには誰もいなかった。俺が綾乃を振り返ったときには、天海は綾乃の懐に居て、彼女に一撃を喰らわせた後だった。


「綾乃!・・・・許さない・・・・雷龍!!」


 白が激昂すると巨大な雷の龍を作り上げる。そしてそれを天海に放つ。天海は避けることなく真正面から受け止める。彼は感電して痙攣し、墨クズのように真っ黒になるものの、立ち上がり煤をはらい鋭い爪で白を切付ける。


「くそっ!」


 風雅が風穿孔を放つものの天海は動じず風雅を叩き落とし、その後ろより襲い掛かった燐の攻撃も見切り、彼女も一撃にて気絶させられる。そして剛蘭が俺の前に立って大きく息を吸い込む。


「覚悟じゃ、天海!」


 そう言ってブラックーホールを作り上げて彼を吸い込みきったものの、その穴を再び広げて天海は戻ってくる。そしてまたもや一撃で剛蘭を沈ませる。俺は紅骸を出し、天海を睨み付ける。


「くそっ・・・・みんなを・・・・。散れ・・・・紅龍!」


 そういって紅い龍にて天海に襲い掛かるものの、天海には効かず彼の一撃は俺に直撃し、意識は朦朧としてきた。


「く・・・・・そ・・・・・。」

 最終決戦の間、そこで悠々と待つのは天海であった。彼は余裕の表情を見せる。


「全員来ましたか・・・。おやっ・・・・風神さんは復活のご様子で・・・・。小太郎あたりが何人か殺してくれるかと思ってたんですけどね・・・。折角『改造』してやったのに・・・・・残念です。」


「ふざけるな!」


 そういって飛び出したのは面無であった。強力の鬼である青鬼の面をかぶってそれに変化するも、その拳はいともたやすく魔王の腕につかまれる。


「フー・・・・フー・・・俺の両親を殺しておいて・・・。」


「はて・・・・誰でしょう・・・?幾人も殺しましたゆえ・・・覚えておりません・・・。」


 そいって面無の腹に一撃を入れる。またたくまに彼は後方へ飛ばされる。そして燐が火の鳥を作り出し、天海に放つ。そして俺と風雅と白で綾乃の出す丸太を踏み台にして勢い良く上方へ飛び上がる。更に藤林の重力で勢いをつけて天海に向かって急降下する。


「風双裂爪!」


「雷剣!」


「凍源郷!」


 風雅の爪は相打ち、白の刃もそうである。そして俺の氷雨が深々と刺さるものの、相手はまったく凍らない。そして先程の燐の攻撃も直撃するものの、ダメージがあるとは思えない仕草である。そして天海が反撃を食らわそうとした瞬間、閃光が俺達三人と天海の間に割ってはいる。


「グッ・・・・・。」


「ほぉ・・・・甲賀の御党首・・・。先代には感謝してますよ・・・。弱みを握らせてもらって・・・・。そしてこの世界に呼んでいただいて・・・・。」


 しかし廻神は反論しない。もう気を失っているからだ。そして後方の面無もそうである。この一瞬のやり取りの間に、二人もやられたという事実に、一同緊張が走る。



「コイツは・・・・俺がやる・・・。」


「おいっ・・・病み上がりやろっ・・・?お前・・・!」


「駄目駄目、樹君・・・・。ねっ・・・風雅?」


 そう白が言うと、風雅は少し笑みを見せて小太郎に襲い掛かる。


「ナメルナ・・・・。」


 そういうと小太郎の腕から巨大な鉤爪が現れる。それは地面をえぐり、体勢を崩さぬまま逆の手で風雅を襲う。


「風双裂掌!」


 小太郎の腕を弾くものの、逆の手の鉤爪が再び襲いくる。


「風双裂爪!」


 二つの爪がぶつかり合い、風雅の爪が若干競り勝つ


「風魔!お前には、勝てない理由がある!俺にあってお前に無い物があるからだ!」


「フザッ・・・ケルナ・・・!」


 風雅は小太郎の攻撃を最小限の動きでかわし、懐にもぐりこむ。


「俺にあってお前に無いもの・・・・それはな・・・。『誇り』だ・・。風以外の力に頼った時点で、お前の負けは確定だ。・・・・風穿孔!」


 犬千代の爪が風雅の手に備わる。そして彼の指先に超高密度に圧縮された風の針を作り上げる。それが小太郎に当たった瞬間、彼の鉄の皮膚は剥がれ落ち、回転しながら天井にぶつかった。


「準備運動には・・・なったか・・・。」


 風雅が小太郎を倒してすぐに、長老二人が入って来た。


「ほぉ・・・・風雅・・帰ったか。」


 藤林は笑顔で風雅の頭を撫でる。そして風雅は申し訳なさげに頭を下げる。


「御手洗 風雅・・・ただいま戻りました・・・。」


「感動の再開はおいといてよ・・・・そろそろいこーぜ・・・?」


 そう言って俺達は、天海が待つ部屋への門を開けるのであった。