はい! 宇宙大好きの奈央です。
木星といえば、太陽系最大の惑星ですよね。
木星に比べたら、地球なんてちっちゃいちっちゃい。
太陽系惑星
せんだい宇宙館 寺山いこいの広場HPよりお借りしました。
でも、太陽に近い地球型惑星の中では、地球は一番大きくて、地球の外側を回る火星は、地球や金星よりも小さいんですよね。
なぜ? 火星は地球よりも小さいのでしょう?
今回はそんな疑問について、木星の大移動を絡めた説をご紹介したいと思います。
地球と火星
Astropics HPよりお借りしました。
今回のお話は、下記のURLの情報を参考にさせていただきました。
太陽系形成時に木星が動いた!? リュウグウから見える惑星形成の謎 ~はやぶさ2試料分析最新レポート・後編|JAMSTEC BASE
JAMSTEC超先鋭研究開発部門 高知コア研究所 伊藤元雄氏
原始太陽系のスノーライン
原始太陽系円盤には「スノーライン」と呼ばれる境界線があったと考えられています。
水が気体で存在する領域と、固体つまり氷で存在する領域の境目です。これは火星と木星のあいだにある小惑星帯に近いところにありました。
しかし、地球は、この「スノーライン」より太陽に近い場所にあります。
したがって、地球では、地球生命の材料物質である有機物と液体の水は地球軌道近傍では生じないはず!と考えられます。
ではなぜ、水の惑星地球が存在するのか?
それこそが、C型小惑星「リュウグウ」を調査する大きな目的でもあったのです。
JAMSTEC BASE HPよりお借りしました。
昨日のブログで、次のようなことを書きました。
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「はやぶさ2」が向かうリュウグウは、有機物(炭素を含む化合物)や水を多く含む天体 C型小惑星 と考えられていました。
C型小惑星 は、「炭素質コンドライト」と呼ばれる隕石のふるさとであると予想されています。
炭素と水は、我々人類を含む地球上の生物の最も基本的な要素であり、地球生命体の原材料とも言えます。
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答えの一つは、次のような仮説です。
生命や海は地球外から持ち込まれた物質からできている!
それらの起源は地球だけを調べていてもわかりません。
そこで、太陽系の昔の情報を保持している始原的天体である惑星への進化途上で取り残された小天体が注目され、小惑星や彗星のサンプル取得が世界中で進められているのです。
そういった物質がどのようなメカニズムによって地球に持ち込まれたのか?
それら謎をうまく説明できるのが、グランド・タック・モデルです。
木星や土星のような大きな惑星が太陽系の中で移動することで、スノーラインの内側と外側の小惑星や物質が撹乱されて混合したと考えると、辻褄が合うのです。
JAMSTEC Base HPよりおかりしました。
そして、グランド・タック・モデルで推測された木星の移動は、火星を小さくした要因でもあると考えられています。
木星の大移動が火星を小さくした? (astroarts.co.jp)
シミュレーションによって、木星は太陽系形成初期に一度太陽に近づいた後、再び離れて現在の軌道に落ち着いた可能性があることがわかっています。
この木星の移動によって、火星の質量が地球や金星と比べて小さいことも説明が可能だとしています。
現在、木星は太陽から5.2天文単位の軌道を公転していますが、シミュレーションによれば、木星は、最初、太陽から3.5天文単位のところで形成されます。
その後、周辺のガスを取り込みながら太陽へと落ち込んで行き、現在の火星軌道にあたる1.5天文単位のところで停止します。
このとき火星はまだ形成されていません。
なぜ木星の動きが止まるのか?
その鍵は土星にあります。
現在の木星と土星
AstroArts HPよりお借りしました。
木星に少し遅れて土星が形成され、同じように太陽系の内側へと落ち込み、木星と土星が十分近くなったときに重力相互作用を起こすのです。
このとき、惑星は移動する向きを変え、今度は外側へと動き始めます。
そして、木星は5.2天文単位、土星は7天文単位のところまで移動するというのです。
土星はその後、別の力の作用を経て、現在の軌道である9.5天文単位のところまで移動します。
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木星の移動は様々な小惑星を混在させた
シミュレーションによれば、これまで謎であった、小惑星帯に乾いた岩石質の小惑星(S型小惑星)と構成物質が液体の水による変成を受けている始原的な小惑星(C型・P型・D型小惑星)が共存している理由がわかるのです。
木星が太陽に近づく際に、小惑星帯の場所を内側から外側へと移動させ、同様に遠ざかった時に氷の小天体を外側から内側へと押しやったために、現在のように異なる特徴の小惑星が小惑星帯近辺に混在していると考えられるのです。
木星の大移動と小惑星
Response HPよりお借りしました。
木星の移動は火星を小さくした
木星の内側への移動は小惑星帯だけではなく、火星の形成にも大きな影響を与えています。
火星は地球や金星と比べて遠いところにあるため、惑星の材料がたくさんあったにも関わらず、地球と比較してかなり小さな質量しか持っていません。
これは、木星が火星軌道に近づいた際に、その周辺にあった惑星の形成にちょうど良い質量の小天体をはじき飛ばしてしまったため、火星が十分成長できなかったためだと説明できるのです。
より内側の軌道に位置している地球や金星は、木星の移動の影響を火星ほど受けなかったのでしょう。
火星と地球の比較
NAOJ 国立天文台HPよりお借りしました。
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はい! 今回はここまでです。
あのでっかい木星や土星が移動するなんて不思議ですね。
でも、それによって、火星が小さくなったなんて!
びっくりです。
あっ、そういえば、以前、似たようなことをブログに書いていましたね。
それは、グッドジュピターとホットジュピターのことです。
グッドジュピター(良い木星)
生命居住可能な地球型惑星に悪影響を及ぼさないように、十分遠く離れた位置で、内側の地球型惑星を保護する働きをする惑星
ホットジュピター(灼熱巨大木星型惑星)
恒星(太陽)に近い軌道を公転しており、公転周期は通常3日以下で、公転周期と自転周期がほぼ同じなため、常に片方の面を太陽に向けているため、その面は灼熱地獄となり、最終的には太陽と衝突して飲み込まれる可能性を持っている巨大ガス惑星。
太陽系の木星も、ホットジュピターになりかけたところを土星に救ってもらった!っていうところなんでしょうね。
いつか、土星のことももっと紹介してあげなくっちゃね。
さて、次回は、この木星の移動が地球に及ぼした影響に関するトピックをご紹介したいと思います。
それじゃあ、またね。