はい! 奈央です。

実験面白いよ

今回の金属は、チーズのような金属 ナトリウム です。

 

私は化学の研究をしていたので、金属ナトリウムは数多く扱ってきました。

金属ナトリウムは空気中の湿気と反応して白くなってしまうので、通常、オイルの中に入れて保存されています。

これを使う時はピンセットで取り出して、ナイフで切って使うのですが、まるでチーズのように柔らかく切り刻むことができます

 

先ずは下の短い動画をご覧ください。

本来、銀色の金属なんですが、空気中の湿気(水分)と反応してすぐに白く曇ってしまう様子が分かります。

 

動画時間:41秒

 

この金属ナトリウムは非常に危険な物質で、の中に落とすと火を噴いて爆発します。

下の動画は外国の動画です。

日本でこんなことをしたら直ぐに逮捕されちゃうかも。

 

動画時間:28秒

 

上の動画で見られるような火を噴いて爆発する理由は、金属ナトリウムと反応して、水素を発生し、さらに空気中の酸素と発生した水素爆発的に反応するからです。

 

  2Na + 2H2O → 2NaOH + H2↑ +

  H2 + 1/2 O2 → H2O +

 

2015年、この金属ナトリウムとの爆発的反応のメカニズムについて研究論文が発表されました。

 

  • P. E. Mason et al., Coulomb explosion during the early stages of the reaction of alkali metals with water. Nat. Chem. 2015, 7, 250–254. https://doi.org/10.1038/nchem.2161

 

化学の実験でおなじみのこの現象の反応機構が、実は長く誤解されてきたことが、ハイスピードカメラを使った研究で判明したのです。

 

この論文の内容について動画が出ていましたのでご紹介しますね。(日本語の動画は下にあります。)

 

動画時間:5分57秒

 

下の日本語での解説動画、とても解りやすくて面白いですよ。ウインク

 

動画時間:7分48秒

 

上の研究内容ののポイントを以下に書きますね。

 

この内容は、下のサイトを参考にさせていただきました。

アルカリ金属の爆発の秘密が明らかに | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio

 

新たに解った反応メカニズム

 

 シリンジから滴下した金属液滴(Na-K合金)に触れてからわずか0.3~0.4ミリ秒(ms)後に、液滴から針状の金属「スパイク」が無数に飛び出す様子が観察されます。

 このスパイク発射は、化学反応で生じた水素ガスに起因するとは考えられないほどの高速で起こります。

 また、スパイクを形成しているさなかの金属液滴の周囲で溶液が青紫色に変わっていたことも明らかになりました。

 これらの現象は、Frank Uhligが行ったコンピューターシミュレーションの結果で説明できます。

 19個のナトリウム原子からなるクラスターをモデルとして第一原理分子動力学シミュレーションを行ったところ、クラスター表面の各ナトリウム原子が、との接触から数ピコ秒(10-12s)以内に電子を1個ずつ失い、これらの電子が周囲のへと飛び出して、溶媒和される(水分子に囲まれる)ことが分かったのです。

 水中で溶媒和された電子(水和電子)は、藍色を呈することが知られており、今回観察された青紫色の溶液は、金属液滴周辺に水和電子が存在することを示しています。

 

 一方、電子を大量に放出した金属クラスターの内部には多くの陽イオンが取り残され、これらの陽イオン同士が強いクーロン力(静電力)によって互いに反発・解離することでクーロン爆発が起こり、クラスターは炸裂します。

 ハイスピードカメラが捉えたスパイクの正体は、クーロン爆発の様子だったのです。

 電子の移動に始まるこうした一連の現象は、金属液滴に触れてから1msもしないうちに完了し、その後は金属との化学反応に移行します。

 そしてクーロン爆発により形成された無数のスパイク金属の表面積を著しく増やすことで、との反応を暴走させてガスを発生させ、激しい爆発につながるのです。

 

ナトリウム‐カリウム合金の液滴が水中に落下する様子

Nature ダイジェストHPよりお借りしました。

 

*   *   *

 

 金属ナトリウム爆発

 化学をやっている私たちにとって、昔から知っていることだと思っていましたが、こんなメカニズムで起こっていたなんて、正直驚きました。

 

これを見ていたら、昔起こった事故のことを思い出しました。

 

*   *   *

 

 1995年12月8日、福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」で、2次冷却系のナトリウム 約700kgが漏えいし、配管室で火災が発生した事故。

 温度計の設計不備による振動・破損が原因で、当時の動燃による隠蔽工作も問題視された。

 放射性物質の外部放出や人的被害はなかったが、この事故を機に長期間の運転停止に追い込まれた。

 

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 金属ナトリウム融点約98℃沸点約880℃

 

 高速増殖原型炉「もんじゅ」では、金属ナトリウムはどのような方法で使われていたのでしょう?

 そして、ナトリウム 約700kgが漏えいし、配管室で発生した火災とは?

 

 ちょっと調べてみたくなりました。

 

それじゃあ、またね。