10万人の健診結果を読み解いてきた管理栄養士が綴るエッセイ
お酒が「百薬の長」でない理由
今日は、お酒好きの方にとっては
少し耳の痛い内容かもしれません。
でも、大切なことなので、
しっかりお伝えします。
1日の適正な飲酒量、ご存じですか?
厚生労働省の「健康日本21」では、
男性の場合、純アルコール20gが適量とされています。
これは、ビール(アルコール度数5%)なら
中瓶1本(500ml)程度です。
一方で、女性や高齢者は
アルコールの分解速度が遅いため、
男性の半分〜2/3程度の量が適当とされています。
さらに、週に2回以上の休肝日を
設けることも推奨されています。
――さて、この基準、守れていますか?
健康カウンセリングに
来られたT郎さんは、
大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)
という病気の既往歴がありました。
この疾患は、
アルコールの多量摂取が主な原因です。
アルコールは、
骨を作る細胞に毒性を与え、
細胞死を引き起こします。
これにより、
正常な骨組織が死んだ組織に置き換わり、
骨の壊死が進行してしまうのです。
さらにT郎さんは、
1ヶ月ほど前から
メンタル不調も抱えていました。
「ある日、突然朝起きられなくなって、
会社に行けなくなったんです」とのこと。
主治医からは、
「このまま飲み続けると、
人間として壊れてしまいますよ」
と告げられたそうです。
その言葉がきっかけとなり、
お酒をやめる決意をされました。
半年後――
T郎さんは、飲み会でもウーロン茶。
禁酒を続けています。
「夜は妻と一緒に散歩しています。
それまで、ストレス解消はお酒だけだと
思い込んでいたことに気づけました。」
お酒をやめたことで、
ご夫婦の会話も増え、
一緒に出かける機会が多くなったそうです。
「妻が犬好きでね。
犬を飼おうかと話しているんですよ」と
笑顔で話してくれました。
禁酒によって、
検査結果も大きく改善しました。
血圧:157/100 → 139/90
中性脂肪:251 → 185
γ-GTP(肝機能指標):210 → 85
昔から「お酒は百薬の長」と
言われてきましたが、
それは今や神話に過ぎません。
現代の医学・栄養学の視点から見ると、
アルコールは“薬”というより
“リスク因子”です。
少量なら問題ないと
されていた時代もありますが、
近年では「少量でも健康リスクがある」
という研究結果が多数報告されています。
✤10万人の健診結果を読み解いてきた
管理栄養士✤
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