【最期は生まれ故郷に帰りたい】 ④
7時間もの搬送によく耐えました。
身体への負担は相当大きいものと思えたが、それでもご本人の
「どうしても生まれ故郷に帰りたい」という願いを叶えたのです。
「病院へ着く前に、どうしても通りたい場所があるんです」
出発時からご家族からの強い希望を伝えられていた。
目的地の病院市内へ入ると、ご家族の道案内にしたがって
DREAMが ある場所へ停車する。
「ここに以前住んでいた家があったんです。今はもうないんですけど・・」
そう私たちに説明し、
「おばあちゃん、分かるか?ここ。懐かしいだろ?」 と声を掛ける。
もう顔を上げる力は残っていない。
ストレッチャーの頭部をギャッジアップし、懐かしい風景が視界に
入るよう調節する。微かにうなずいたように見える。
ご家族の洟をすする音だけが響き、車内は誰も言葉を発する事が
できない。 「この瞬間のために来たのか」 そのとき漸く理解した。
そして搬送終了。
達成感はない。複雑な気持ちだ。
「よかった、よかった」では済まされない、非常に難しい長距離搬送だった。
「勉強させていただき、ありがとうございました」
DREAMとDREAMナースは 同じ気持ちだった。
(終わり)
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【最期は生まれ故郷に帰りたい】 ③
~DREAMナースの搬送記録より~
途中休憩に立ち寄ったサービスエリア。
バイタル(体温、血圧、血中酸素濃度)を測る。
乗車時に91%あったSpO2が78%にストンと落ちる。
両手の動きが多く、酸素マスクをはずしたり、ご家族に一生懸命
話を伝えようと時間を使ったためか?? それともやはり搬送の
負担が出てしまったか?
「マスクをよくはずしてしまうので、そういう時はなかなか酸素の
上がりが悪いんです」
申し送りのとき、病棟ナースが言っていた言葉がよみがえる。
まずい このままでは呼吸状態が戻らなくなる
SpO2をなんとか上げなければ・・!!
酸素の流量を3Lから8Lへあげ、SpO2の上昇を待つ。
10分程で90%台へ戻ったことから、酸素流量を調節しながらの
搬送継続を決める。厳しい状態であることをDREAMとご家族に
伝える。酸素の残量と時間をDREAMと相談し、スピードを上げて
進むことを確認。
サービスエリアを出ると、DREAMの運転から「なんとか目的地まで
辿り着こう」とするDREAMの気迫が感じられる。
(つづく)
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