銀行に着いたトンケは窓口へ向かい、通帳と印鑑を差し出し

『全て引き出してください!』

と窓口の女性に言った。


しばらくたって番号が呼ばれた。


厚みのある封筒の中にあるのは、トンケがサラリーマン時代にコツコツ貯めていたお金だった。


『現金600万円…これを全て鬼夜子さんに渡そう!』


トンケは封筒を抱きかかえ屋敷へ帰った。



屋敷へ帰ると鬼夜子は裏庭でドーベルマンに餌である鶏をあげていた。


『鬼夜子さん!!』


トンケは大声で呼び掛けた。

鬼夜子が振り向くと、封筒を差し出し

『これが今までの僕の全てです!僕の人生を捧げる証しとして受け取ってください!』


そう言った。

暫くの沈黙の後、鬼夜子は

『わかった。』

そう一言だけ言い、封筒を受け取った。


携帯小説Ranking バ ナ ラ ン ク +。携帯ブログBEST100携帯ブログランキング
次の日の朝、トンケは異常なほどの空腹で目が醒めた。

『腹減ったな~、昨夜はワカメしか食べてないし、散歩のあと何か食べよう』


一時間後、散歩を終えたトンケは台所をあさっていた。


『オゥイ!』

ビクッ

がらがらがっしゃーん!!

鬼夜子の声にトンケは驚き、椅子から落ちた。


『何やってんだ。まだ米は炊けてない。それより、結婚したのに何もなしか。』

鬼夜子はそう言った。

(は…そうか。普通は指輪とかあげるんだろうけど…。)

『あ、、ちゃんと用意してきます!食事の後!』

トンケが答えると

『ああ、あと廊下の雑巾掛けの後な。』

鬼夜子はそう言い土間の方へ言った。

食事を終え、廊下掃除をしている時もトンケはずっと考えていた。

(いや…僕は鬼夜子さんに人生を捧げると決めたんだ!ゆびわなんかじゃだめだ!)


そう思ったトンケはバケツと雑巾をしまうと、通帳と印鑑を握り締め、その足で銀行へ向かった。
バ ナ ラ ン ク +。携帯ブログBEST100携帯ブログランキング
目を醒ますとトンケの体は馬にきびりつけられていた。

『イタタタタ…』

周りを見渡すと間もなく家に着くようだった。

『目を醒ましたか』

ヒヒーン

馬を止め小屋に入れると鬼夜子は縄をほどき魚のはいった網を持ってくるように指示した。

エイをつるし、タコは串にさし火にあぶり始めた。


『うまそうだなぁ~早く食べたいですよね~』

そう鬼夜子に言うと鬼夜子はワカメをトンケに差し出し、

『はい、これお前の』
といった。

『え~こんなんじゃ腹にたまりませんよ~』

トンケは笑いながら言うったが鬼夜子は無言のままタコを焼き続けていた。


そして、焼き上がったタコを鬼夜子は一口でペロリと食べたのだった。

『あ…』


『なんや』


『なんでもないです』

その夜のトンケの夕食はワカメをごま油と塩で食べただけだった。

自給自足。自分の食料は自力で手に入れる。それを痛感した一夜だった。




携帯ブログBEST100携帯ブログランキング