ジョスカン・デ・プレ Fama, malum「あらゆる悪のどれよりも速い足を持つこの「噂」」 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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今日は、ジョスカン・デ・プレの4声のラテン語による世俗作品Fama, malum「あらゆる悪のどれよりも速い足を持つこの「噂」」と言う曲を聴いてみました。デュファイ・アンサンブルによる演奏です。

 

1489年2月2日、ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・マリア・スフォルツァはナポリ王フェッランテ1世の孫イザベッラ・ダラゴーナとの結婚式を行いました。その祝典で上記Fama, malum「あらゆる悪のどれよりも速い足を持つこの「噂」」と言う曲が演奏されたのでは無いかと言われているようです。ジョスカンはそのしばらく前からミラノ公の叔父アスカニオ・スフォルツァ枢機卿に臣従しミラノ宮廷との関係も深く、この1489年にはミラノ公の宮廷歌手として記録されているのだそうです。

 

上記の内容は今谷和徳さんの「ジョスカン・デ・プレ」と言う小雑誌の中にあった記述から知ったことなのですが、それがとても興味深いと思ったのは、このミラノ公の挙式を取り仕切った、と言うか総合プロデューサー役をつとめたのがあのレオナルド・ダ・ビンチだったからです。

 

以前こんな記事をこのブログに投稿していました。

 

「しかしこのミラノ宮廷に自分を売り込んだのは画家としてではありませんでした。なんと「軍事技術者」。そして実際に活躍したのはイベントのプロデューサー、エンターテイナー、そして歌手、楽器演奏者なのです。」と上にリンクした記事に書きましたが、その「イベントのプロデューサー、エンターテイナー、そして歌手、楽器演奏者」としての最大の仕事、というか能力の見せ場となったのがミラノ公の挙式でした。

 

ジョスカンの曲が演奏された、と言う事はその曲はジョスカンを含む宮廷歌手によって歌われたと言う事でしょう。

当然、そこでレオナルドとジョスカンは顔を合わせているということになるでしょうし、何らかの言葉を交わしたかも知れません。

 

イタリアのルネサンスを象徴する巨人レオナルド・ダ・ビンチとルネサンス音楽最大の音楽家ジョスカン・デ・プレが同じ舞台で顔を合わせていた情景を想像するだけでわくわくしてしまいますし、しかも二人はその場では「音楽家」同士だったのです。何だか不思議な感じさえしますね。自作の歌を歌うジョスカンと、即興の歌と演奏で場を盛り上げるレオナルド。躍動する時代の空気と天才たちの息づかい。何だかその場を見てみたくて仕方ありません。想像を超えた何かがありそうな気がするのです。

 

 

こちらからデュファイ・アンサンブルのアルバム「Ave Maria, Vol. 1」全曲聴くことができます。

 

 

 

 

Fama malum

 

 

Ave Maria, Vol. 1

1,O virgo virginum: Pt. 1, O virgo virginum
2,O virgo virginum: Pt. 2, Filliae Jerusalem
3,Absalon, fili mi
4,Fama malum
5,Dulces exuviae
6,Tu solus qui facis mirabilia
7,Missa Ave maris stella: Cantus firmus
8,Missa Ave maris stella: Kyrie
9,Missa Ave maris stella: Gloria
10,Missa Ave maris stella: Qui tollis - Qui sedes
11,Missa Ave maris stella: Credo - Et incarnatus est - Et resurrexit
12,Missa Ave maris stella: Sanctus
13,Missa Ave maris stella: Pleni sunt coeli
14,Missa Ave maris stella: Hosanna - Benedictus qui venit - Hosanna
15,Missa Ave maris stella: Agnus Dei