ベルリオーズ「幻想交響曲」 オットー・クレンペラー 巨大な構築感と繊細な美しさが同居した名演  | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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最近、Amazon Musicから音源を購入しながらまだ聴いていない演奏にオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団によるベルリオーズの「幻想交響曲」がありました。

 

以前に、同じくクレンペラー指揮の「新世界より」の記事を書いた時、記事の最後に、

『そう言えば、クレンペラーの「新世界より」が凄いと書かれていた本では同時に、同じ指揮者の「幻想交響曲」も絶賛されていた記憶があります。その時はそれもCDが入手困難だったはずです。

今度はクレンペラーの「幻想交響曲」、聴いてみようかな。』と記載したその録音です。

 

「幻想交響曲」と言う曲は、もちろん有名な名曲ではありますし、私もクラシック音楽を聴き始めた早い時期に知った曲でもあるわけですが、演奏によって後に残る感触が大きく違う曲のような気もしています。と言うか・・・、演奏によってはガッカリすることも割と多い曲のような気がしていました。それだけに、『聴いてみようかな。』と購入したにもかかわらず、なかなか聴く気になれなかったのかも知れません。

 

名演と誰かが言っていたとしても・・・、クレンペラーの幻想ってイメージがわかないな。

 

まあ、取りあえず聴いてみようか。

 

聴き始めると、やはりこれは予想したとおりかなり遅めのテンポ。このオーケストラの響き、なんだか懐かしい感じ。そうだ、昔良く聴いた同じクレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団の「田園」の音とやはりよく似ている・・・。

 

聴き進むごとにドイツ音楽のようながっしりとした構築感を感じさせながら、実は細部の各パート、各楽器の音が実に美しい演奏だな、と思いました。繊細でしなやかでそれぞれの旋律が生き生きとしていて。遅いテンポでフレーズの最後までしっかりと音を出させるいかにもクレンペラーらしい音楽作りですが、しかし決して鈍重には感じないのです。

 

聴き終わった後、そう言えば昔この曲を初めて聴いた頃レコードのライナーノーツに書かれていた、作曲者のストーリーを一生懸命読みながら聴いたことを思い出しました。

 

今日の「幻想交響曲」はそんなこと全く気にしない間に聴き終わっていたな。

 

やはり名演でした。

 

 

 

ベルリオーズ:幻想交響曲

クレンペラーの芸風が強烈に刻印された驚くべき演奏。この指揮者ならではの徹底的にドライな方針が貫かれ、ベルリオーズが記した音符の数々が、そのままの膨大な情報量で聴き手にダイレクトに迫ってきます。