ケルテス/ロンドン響 ロッシーニ「スターバト・マーテル」 若き日のパヴァロッティの声の魅力 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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先日初めて聴いたロッシーニの「スターバト・マーテル」ですが、

 

今日はYouTubeで別の演奏を見つけ聴いています。

 

イシュトバーン・ケルテス指揮ロンドン交響楽団の演奏で1971年に録音された音源です。

(フリッチャイの次はケルテスと若くして亡くなってしまった指揮者が続きましたが、たぶん偶然だと思います(汗) もちろん私はどちらも大好きな指揮者ではありますが。)

 

このケルテス盤で特筆すべきはテノールソロが昨日の記事の主人公ルチアーノ・パヴァロッティだということです。

 

フリッチャイ盤のテノールはエルンスト・ヘフリガー。もちろん素晴らしいテノールです。その歌の格調の高さは他の追随を許さない人ですし、この曲でも背筋のしっかり伸びた美しい歌を聴かせてくれていました。

 

しかし、曲はロッシーニ。このケルテス盤ではパヴァロッティの声が聞こえた瞬間から、ああ、これはイタリアの音楽なんだと心の底から思わせてくれるとろけるようなイタリアの空気が感じられるのです。

 

昔(学生の時)、合唱でイタリアオペラの中の合唱曲を何曲かをコンサートで歌うことになった時の練習で指揮者が言った言葉を何となく思い出しました。

「ドルチェって、ただ甘いと言うだけじゃ無いんだよ。ヨーロッパの人はお腹がいっぱいになる様なフルコースの料理を食べた後に生クリームたっぷりのケーキをデザートに食べる。その甘くてしっかりとした味わいのクリームのイメージがこう言った音楽の「ドルチェ」なんだ。」

 

1971年というとパヴァロッティはまだ30代の半ば。一声発した時からこれこそイタリアの「ドルチェ」なんだな、と強烈に感じさせられる声です。生クリームどころか、その上から蜂蜜をしたたらせたような声。

 

他のソリストの歌も立派なのですが、私の意識はもうすべてパヴァロッティにもっていかれてしまいました。

 

宗教音楽としてどうかとか、もうどうでも良くなった気分。

 

イタリア音楽は素敵です。

ロッシーニは素晴らしい。

 

そしてパヴァロッティは、やはり天性のスターなんだな、と。

 

いや、良い気分です。

 

(笑)

 

 

 

ロッシーニ:スターバト・マーテル