これまでの改造でYongnuoの無線リモコンにFP発光のタイミング制御を内蔵し、次はナショナルPB-5にFP機能と無線リモコンまで仕込む事に成功して、これでもう有線式のPB-7(改)はお役御免か、と、そんな事はありません。有線式の方が信頼性は高いですし(まだ無線で失敗という経験もありませんが)、無線式では送信と受信の両方にある電源スイッチへの意識が必要ですが、PB-7(改)には元々電源スイッチはなく気楽です。

ただ、リモコン自体が有線用も無線用も大差のない大きさなので、これを小型化すればまた一つ便利な道具が増えるはずだと考えました。

 

市販の有線のリモコンは純正品にせよ社外品にせよ「握り込む」、という操作で使いやすいように意図的に大柄に作られています。その形状の利を生かしてか、分解してみても内部のスイッチまでもが著しく大きいのです。これには乱暴に力強くボタンを押す癖のあるユーザーに備えてスイッチは特別頑丈に作る、という前提もあるに違いありません。

とにかくそれは取り出して流用できるような部品ではないので、ここでは超小型のタクトスイッチを使用します。しかしフォーカスとシャッターの二段階動作をするものはかなり特殊な部品で、私は幸いにも伝手があって入手できましたが、普通は個人で使うような少量の購入はできません。通販でもオークションでも見つけた事はありませんし、足を棒にして秋葉原を探しても無理だと思います。また以前も書いたと思いますが、ジャンクのカメラを分解しても同等のものはまず採取できません。

ただし、入手が容易な一段階動作だけのスイッチでも充分に実用になります。通常のリモコンのボタンを急速に一気に押した場合と一緒でフォーカスとシャッターを同時に操作する事になりますが、フォーカス優先にカメラが設定されていれば、一応順序通りの動作はするからです。

 

さて、タクトスイッチが用意できれば工作もごく簡単なもので、後は小さくまとめて操作しやすい場所に貼り付けてしまうのが最善です。グリップとか軍艦部にスペースがあれば幸いですが、そこが平らであるとは限りません。ではどうするか? 

それこそが小さいながらも今回の最大の思いつきでした。

 

これには防災用品として売られている転倒防止用のジェルパッドを切って使うのが決め手でした。曲面にもある程度フィットしつつもボタン操作に支障が無い程度の硬さがあり、しかも粘着性です。それがまた低粘着性なので剥がしても相手側を汚しませんし、埃がついても洗って再使用ができる、と言う以前に、また切り出せばいいのです。

 

私は閃光電球はレトロっぽさが活きるよう、ほとんどNikon Dfで使っていますが、グリップ部の頭にちょうどよい貼り付け場所があり、これならシャッターの操作性も申し分ありません。これまでの数々の工作に比較すればまったく小さな一工夫でしたが、得られた効果は大きなものでした。

 

前回の構造上の事に続き、今回は電気的な話題となります。

 

Yongnuo RF-603N は以前も書いたRF-603CII と同じく単4電池2本の仕様で電力消費が案外大きく、電源を他の物に換えるとしても、一般的なコイン電池のCR2025とかCR2032では全く能力不足です。そこで本改造では単4が物理的に入るかどうかですが、完成した今でこそ、「ホルダーを自作すれば工夫次第で入っただろう」とは思うものの、とても着手前にはできた判断ではありません。

 

採用したのはリチウムコイン電池では大型のCR2450、1個で3ボルトです。ホルダーの入手性は良くありませんが、とりあえず今は購入できます。懸念は大電流を連続して放電できるか否かで、例えば「カメラ用リチウム電池」と称される円筒型のCR2とかCR123はそれが可能です。フィルムカメラ時代は巻上げモーターもストロボも駆動していたので当然ですが、本改造用には小型な方のCR2でも外形が太過ぎて適しません。一方のコイン型は一般に時計など微小電流用の設計なので、大電流はそもそも流せないか、使っても寿命が短い事が最初から予想されます。

そこでRF-603Nと新品のCR2450で消耗試験を実行しました。メーカー2種類(形が違いOEMの同一品ではない)で試したところ、電圧は直線的に下がるので予想通り大電流には向かない特性です。しかし連続で軽く5時間以上は動作しましたし、そのダウン後も休ませれば復活します。CR2450本来のフル容量は単純計算で約30時間分に相当しますし、この無理なテストよりもっと現実的な間歇の使用であればかなりの割合の容量は使えそうで、これなら充分に実用的です。

なお、上記したRF-603Nの動作時間は待ち受け時の場合ですが、電波の着信中には特に大きな電流が流れます。これは短時間の事なのでキャパシタで対応しました。まさに発光器が当初のB型からBC型に置き換えられたのと同じ発想です。


次の問題は閃光電球の点灯用の電源です。過去に投稿した「ナショナルPB-8A」の改造の際、電源が3ボルトでは点灯の信頼性が不満な事は検証済です。つまり、無線用のCR2450だけでは点灯用を兼ねられません。容量の小さな電池で構わないので一個でも直列にできて6ボルトなら好適ですが、電池は交換が容易な場所に配置する、という鉄則に従うとスペース的に無理でした。

この解決には、CR2450の3Vを昇圧して5Vを得る回路を入れています。気になる電池の消耗ですが、無線リモコン基板の消費と比較すれば点灯に必要なのは大した電力ではありません。実際に「オリンバス FLASH CL」の投稿ではCR1220という非常に小型の電池でも実用になる件を紹介しました。

 

フォーカルプレィン撮影のタイムラグ制御や閃光電球の駆動は「PB-7改造」時点で回路は決定版で、以後は部品を小型にして今回もほぼ基板の裏側に表面実装です。前回さんざんスペース不足、と言った割には写真ではリモコンチャネル設定窓の周囲などに空地が見えますが、その裏側にも部品や下との干渉などがあります。また、赤と緑の状態表示は、リモコン基板上に元々表面実装されていたLEDを外から見えるようにしたものです。

 

 

普通の発光器には存在しない電源スイッチがあるのは「切り忘れ」、即ち電源喪失の元ではあります。リチウム電池も日本ブランド品を毎度その価格で買っていては不経済ですが、通販まとめ買いには充分に実用になる性能、かつ安価な製品はありますし、リチウム電池一般に保存寿命は極めて長いので不安はありません。

 

さて、かつて「ワイヤレスFPアダプター」の投稿時には集大成作で「当面これ以上の機能が必要になることはなさそうです」とまで書きましたが、結局ここまで来てしまいました。私は何か作るたびに「苦労した」が口に出るのは要するに楽しんでいるのは計画とか設計で、工作の実践はあまり好きではないのだろうと自分でも思います。それで本件は半年近くも少し弄っては止めを繰り返していましたが、腰をあげて完遂した結果には大満足です。さあ、その達成感を糧に次は何をやりますか・・・・・

 

過去の「小細工・未実施のアイデアなど」の投稿で、無線リモコンとフォーカルブレイン撮影用のタイミング制御機能を備えた発光器も一例にあげましたが、正直、その時点では実行は頭にありませんでした。しかしその後、「ワイヤレスFPアダプター」を作ってその便利さに感嘆したことから現実味が出て来て、今般、それを実際に完成しています。

詳細は本事例に特有の事情があまりにも多いので適宜省略し、「はじめに」で述べたように問題点の考え方を中心に書き残すこととします。まず今回は構造のことについて。

 

素材はナショナルPB-5です。過去の「汎用FPアダプター」や「ナショナルPB-7のFP改造」を投稿した際にはPB-5の事はこき下ろしておきながら、改めて採用の他なかったのは、この種の形状の発光器では最大のその内部スペースゆえです。PB-5に最初に着目したのは高電圧発光器の第1号の時でしたが、もはや今回のスペース窮乏度はその頃の比ではありません。

PB-5の捨てがたい点として、その内容積だけでなく随一の深さがあること、それに各部分の造形にアールが少なく角ばった形状なのはスペースが隅々まで利用しやすいのです。

 

ただし、PB-5はソケットの操作性と信頼性に難があるのは過去に書いた通りです。その3-wayソケット(バヨネット・ミゼット・AG)は分解すると可動電極の方が更に3ピースに分かれる複雑な構造ですが、それら相互間、および固定電極との間が接触不良を起こしやすいのです。これにはメーカーも手を焼いたと見え、同じソケットを搭載するPB-3も含め、何台かの可動電極を見比べると少しずつ形状を変えて少なくとも3種類は作られたようです。固定電極側は全部同じ形状なので互換性がありますから、今回は可動側のパーツを組み換えて試し、少しでも接触の良好そうな組み合わせを選びました。そこまでしても球の挿入し直しを余儀なくされる事もしばしばですが、従来よりは良くなったと思います。

しかしもうひとつの課題である操作性の方は・・・それは我慢です。東芝P-3 III には敵いません。

 

内蔵したワイヤレスリモコンの基板はYongnuo RF-603N(モデルIIではない初期型)の分解品です。この基板がPB-5の電池室の隔壁に穴をあけ、リブを削るなど加工すれば長さ的にギリギリ一杯で入る事を確認できた段階で、目的の改造が実行可能という確信を得ました。これが前身モデルのRF-602ならば一回り基板が小さく、最初はそちらの使用を考えましたが、既に改造済のRF-603シリーズとは電波の互換性がありません。それに上記の通りRF-603Nでも何とか収まる事が判明したので検討から外しました。互換性が不要ならばRF-602でも構わないのですが、それにより改造用の有効スペースに差が出るほどの違いはありません。

 

リモコンの基板が低い位置に収まれば、電池やその他の回路基板と二階建て構造にできます(このため深さの充分あるPB-5の形状が大変重要)。二階建てで困るのは下側に隠れるリモコン基板の操作ですが、絶対に必要なのはチャネル設定スイッチだけなので「二階の窓」で済ませます。

 

 

発光器の上半部は細かく区分けされた構造でした。可動電極を収める丸穴、それに固定電極3個を収める区画が穴の上左右と3方向にありますが、結局それらを除いた残る全ての小分け区画にも部品を入れるしかなくなりました(2枚の写真の比較で分かると思います)。まさに与えられたスペースで精一杯で余裕なし、選んだのがPB-5でなければ何か機能を省略せざるを得なかったでしょう。

 


 

次回は電気的な検討について書く予定です。

以前から高電圧トリガのストロボや閃光電球の発光器が電子カメラを壊す可能性について書いて来ましたが、ちょっと伏兵みたいなのもあります。そこで今回は改造話は一切ありませんが、

「稀少な例だがこういう事もあり得る、注意すべきは電池の電圧ばかりでもない」、

という注意喚起で書き残しておきます。

 

表題の「フラッシュ・クイント」というのはAG球 5発を装着して連発できる機構の発光器です。裏面の露出計算盤にはUS球(東芝の初期のAG互換球)の記載がある通りで、キヤノンの古いアクセサリーです。その連発の仕組みは、一回トリガされるごとにソレノイドを通電してロータリースイッチを駆動するのですが、この機構に指摘すべき問題があるのです。結論を先に書いておきます。

 

「フラッシュ・クイント」は機械式接点のカメラ以外には絶対に接続しないこと

 

その搭載されたソレノイドというのがカメラ用品らしからぬ大きさで、従って結構大きな電流が流れるのですが、その電流が切れた時がいけません。ソレノイドの本質として、電流が切られた瞬間に高電圧を発生する性質があり、それは数百ボルトにも及びます。フラッシュ・クイントではソレノイドをシンクロ接点で直接通電する仕様ですから、接点には軽く火花が飛びますし、PCターミナルを触れば一瞬とはいえ感電します。

電子カメラに接続した場合は電流能力的にソレノイドを駆動できないかも知れませんが、通電しただけでも大変で必ず高電圧が発生します(それ以前に電池が15ボルトですから、それだけでも過電圧で壊す危険があります)。しかも、普通の電子機器ならばその高電圧を安全に処理する回路を取り入れますが、フラッシュ・クイントにはそれもないのです。

 

これでは耐えられるのは昔の350ボルト位のトリガー電圧を扱えるカメラくらいのもので、機械式の接点しか確実と言えません。ミノルタの一部機種のように6ボルトまでしか許容しないようなカメラではひとたまりもありません。

 

 

なお、私にすればこの連発機構の電子化改造は容易で、ソレノイドとスイッチを撤去すればいつも改造で苦労しているスペース捻出の問題もありません。しかし実行を考えたことはありません。それは「はじめに」で書いた「改造も躊躇がない」という考えからは一見反しますが、全くルーツの違う根拠として、素人工作では難しい「機械式の設計」は尊重すべきという価値観があるからです。例えば閃光電球に今どき興味を持つような方は間違いなく、機械式シャッターのカメラには一目置いていることでしょうが、それと同じと思って下さい。

 

本機は私にとっては実用品ではありません。第一にリボルバーと同じで、5発撃ち終えたら後が容易には続きません。それにガイドナンバー25程度のストロボ並みの大きさですから閃光電球の「小型軽量で大光量」というメリットが享受できず、これならストロボを選択したくなります。

なお、シンクロ用プラグの結線が昔のキヤノンの製品によくあるセンターマイナスです。私の所有するフラッシュは全部センタープラスに統一しているのでその点、および高電圧の処理の改造はしてあるものの他はオリジナル通りで、たまに試す時にはW10かその互換の15ボルト電源で使います。

 

マジキューブ同様、フラッシュキューブも少しはまとまった数が私の手元にあります。これらにも活用の道を拓くべく、今般は汎用?発光器の「コニカ・キューブフラッシュ」にデジカメなど電子カメラ対応の改造を行いました。内容的には過去の改造例通りで特に新たな試みはないのですが、周辺事情では紹介したい話があります。

 

改造でまず問題になるのは電池ホルダーの事で、リチウム電池と決めると、少量でも入手容易なものはCR2032用にほぼ限られるのです。つまりOLYMPUS FLASH CLの改造に使ったCR1220用は今後も入手できる確信はありません。それが理由で私のリチウム電池の採用はCR2032の二個直列 6Vが基本になったのですが、時にはナショナルPB-7や東芝Pー3IIの改造の場合のように、寸法的制約からホルダーを自作せざるを得ない事もあります。

 

さて今回のコニカ・キューブフラッシュの改造では、オリジナルのW10 (15V)電池室を回路基板の置き場に転用です。また、ホットシュー、および内蔵ケーブル接続の両方が可能な仕様でしたが、ホットシューのみで実用上は充分なので、ケーブルを撤去した後の収納室が電池室に使えます。しかしその厚みがCR2032ホルダーの二個分には足りません。自作すれば入りそうですが、今回はどうするか・・・

実はこれには裏技があり、CR2016(1.6mm厚)という直径が同じ20mmの電池があって、CR2032(3.2mm厚)のホルダーに2枚重ねで挿入できるのです。容量こそ1/3程になってしまいますが、それも気にしないのには理由があります。

 

 

以前も少し書いた通り、AG球は小型なので点火が容易という誤解が多いのですが、点火エネルギーの規格である10mWs(=10mJ)という数字は、実はAG球からM22などエジソンE26ベースの大型球まで全部同じなのです。火種は小さかろうが着火さえできれば、あとはガタイが大きくとも勝手に延焼するという流れです。

 

ところでこの点、フラッシュキューブとか、フラッシュバーなどのモジュールでは(カメラメーカー向け仕様書を見つけていないので推測ですが)、色々な経験からして、その点火エネルギーはAG~E26球に共通の10mJよりずっと小さいものと私は見ています。そもそも開発された時期が閃光電球の歴史の中では後の方なので、その位の改良はあっても不思議ではありません。特に最終期の FLIP-FLASH II に至っては、圧電素子(コンロなどの着火でパチンと叩くアレです)による点火さえ考慮されているようです。確かにシャッターの仕組はスプリングをチャージして一瞬で解放、という機構を用いますから、圧電素子の駆動とは相性がよさそうです。

ともあれ、点火エネルギーが小さいという前提を置けるので、電池の容量は小さくとも実用上は構わないのです。