まず、主題に関係する二つの話を紹介します。

 

ひとつめ。閃光電球一発で光量が不足の場合、二発を縛り付ける(通電は片方だけ)という方法があります。球の中身は酸素プラス燃えやすい金属、それに発火剤の組成はほとんど火薬ですから、横からの熱線を受けて「誘爆」する事があるのです。閃光電球はかつては「プリントゴッコ」の製版用に流用された事もある程の強力な熱線を放射するからで、表面積が小さく熱密度が高いAG球が特に誘爆しやすいでしょう。

(追記 実際に数発試してみましたが誘爆しませんでした。メーカーも沢山存在した頃、中には敏感な球もあった頃の古い話かもしれません)

 

ふたつめ。海外サイトに、「ベテランの写真師は往々にして脚に火傷の跡がある」、というエピソードがありました。ズボンのポケットに入れた未使用球が静電気で自然発火した事故の結果、という説明でした。

 

さて本題となりますが、最近私のところでも保管球の暴発事故がありました。

 

私は扱う閃光電球のうち、変色の酷いものや規格が不明なものは実験用に回すため、日頃から別に分けて保管していました。それに当たり一応は上記の話を知っていたのですが、これまで特に事故の経験もなかったため油断していたのが大失敗です。

エアキャップ(いわゆるプチプチ)の袋に入れていたにもかかわらず、不意に机上で(わずか10cmくらいの高さですが)落とした瞬間、AG球とスワン球を取り混ぜた15発ほどの内容が一発残らず暴発してしまったのです。

発火の原因は状況からして衝撃のようですが、過去にも閃光電球が落下で発火した記憶はありません。メーカーも知れぬ衝撃に弱い製品だったのか、それともブラスチック袋に入れていたのでやはり静電気だったのか分かりません。

 

それより何より「一発残らず」の連鎖反応の現実は恐ろしく、数量や入れ物、保管する環境次第では火事の元にもなりかねません。それを教訓にですが・・

 

・最後の一発になるまで元箱に入れたままの保管を勧めます

  熱線(遠赤外線)はボール紙までは透過しません

・バラ球の保管は蓋のある金属缶に入れる事です

  発火してもそのうち酸素がなくなるので延焼はしません

高電圧発光器として完成していたナショナルPB-5(改)ですが、第1号機ゆえに手抜きで閃光電球の導通テスト機能がなく、その一方では感電防止のために放置数分で高圧は放電はさせる、というお節介な仕様付きでした。今回はそれらの反省あって、電子部分を完全に作り替える再改造を施しました。

 

PB-5はバヨネット/AG/ミゼットの3wayソケットですが、バヨネット(BA15s) での使用に一番の問題があります。例えば東芝機がスプリングの抗力を手応えに感じながら挿入できるのに対し、PB-5では電球を摩擦力で保持する構造のため、挿入する際の力加減が分かりにくいのです。実際それもかなり固く、しかも力を強めて行くと突然「ガコン」と入るような動きをしますから操作性が悪いだけでなく、カメラのシューに装着した状態では勢い余ったらどこかを壊しそうな恐れを感じてしまいます。

加えてソケットの内部電極の構造が複雑なため、挿入具合によってしばしば接触不良を起こします。それなのに「閃光電球の導通テスト機能」がなくては話にならないと前作で実感していたのが今回の再改造の契機です。

 

AG球の使用ではPB-5はナショナル製電球専用と言っていいのか、もう一方の雄である東芝製の使用に問題があります。東芝のAG球は本機には挿入が固くて扱いにくく、本来は動いてはならないバヨネット専用の可動コマが大概動いてしまいます。

ただ、ミゼットについては問題はありません。東芝が米GEと提携してUS(AG)球を普及させたのに対抗し、蘭フィリップスからミゼット球を持ち込んだナショナル(ウェスト電気)の面目躍如でしょうか。しかし早い段階で「勝負あった」で廃れた方のミゼット球を使う機会は今は多くありませんから、その都度ソケット変換アダプターに頼っても実用上は充分ですが、一台くらいは直接ミゼット球を扱える発光器があってもいいでしょう。

 

今回の再改造は特に新しい要素もないので、変化を一つくらいは残そうとしたのが導通テストの表示です。透明な窓を作りオレンジ発光のネオン管を入れたので、昔のストロボと同じ感じになりました。最下部にあるLEDはチャージ完了表示ですが、閃光電球の断線や電池切れの確認以外には監視の必要はないので、普段はベージュ色の裏蓋を透過した光だけで見て充分としています。

 

また、感電防止のために自己放電する機能は前回の改造直後から実は余計だと感じ、第2号機の東芝 P-3 IIでは早速無くしていますが、もちろん今回も同じです。本機では300ボルトを発生しますから触れば感電しますが、そういう機会は動作テストやトラブルシューティングの時だけなので手袋をすればいい、という判断です(それでも3回くらい感電しましたが)。どうせ使うのも自分だけだし、という事でまあいいでしょう。

 

 

これで目下のところ、やってみたいと思った事があと一つは残っています。ただその実行までにはちょっとした前提が必要なので、いつになりますやら。

これまでの改造でYongnuoの無線リモコンにFP発光のタイミング制御を内蔵し、次はナショナルPB-5にFP機能と無線リモコンまで仕込む事に成功して、これでもう有線式のPB-7(改)はお役御免か、と、そんな事はありません。有線式の方が信頼性は高いですし(まだ無線で失敗という経験もありませんが)、無線式では送信と受信の両方にある電源スイッチへの意識が必要ですが、PB-7(改)には元々電源スイッチはなく気楽です。

ただ、リモコン自体が有線用も無線用も大差のない大きさなので、これを小型化すればまた一つ便利な道具が増えるはずだと考えました。

 

市販の有線のリモコンは純正品にせよ社外品にせよ「握り込む」、という操作で使いやすいように意図的に大柄に作られています。その形状の利を生かしてか、分解してみても内部のスイッチまでもが著しく大きいのです。これには乱暴に力強くボタンを押す癖のあるユーザーに備えてスイッチは特別頑丈に作る、という前提もあるに違いありません。

とにかくそれは取り出して流用できるような部品ではないので、ここでは超小型のタクトスイッチを使用します。しかしフォーカスとシャッターの二段階動作をするものはかなり特殊な部品で、私は幸いにも伝手があって入手できましたが、普通は個人で使うような少量の購入はできません。通販でもオークションでも見つけた事はありませんし、足を棒にして秋葉原を探しても無理だと思います。また以前も書いたと思いますが、ジャンクのカメラを分解しても同等のものはまず採取できません。

ただし、入手が容易な一段階動作だけのスイッチでも充分に実用になります。通常のリモコンのボタンを急速に一気に押した場合と一緒でフォーカスとシャッターを同時に操作する事になりますが、フォーカス優先にカメラが設定されていれば、一応順序通りの動作はするからです。

 

さて、タクトスイッチが用意できれば工作もごく簡単なもので、後は小さくまとめて操作しやすい場所に貼り付けてしまうのが最善です。グリップとか軍艦部にスペースがあれば幸いですが、そこが平らであるとは限りません。ではどうするか? 

それこそが小さいながらも今回の最大の思いつきでした。

 

これには防災用品として売られている転倒防止用のジェルパッドを切って使うのが決め手でした。曲面にもある程度フィットしつつもボタン操作に支障が無い程度の硬さがあり、しかも粘着性です。それがまた低粘着性なので剥がしても相手側を汚しませんし、埃がついても洗って再使用ができる、と言う以前に、また切り出せばいいのです。

 

私は閃光電球はレトロっぽさが活きるよう、ほとんどNikon Dfで使っていますが、グリップ部の頭にちょうどよい貼り付け場所があり、これならシャッターの操作性も申し分ありません。これまでの数々の工作に比較すればまったく小さな一工夫でしたが、得られた効果は大きなものでした。

 

前回の構造上の事に続き、今回は電気的な話題となります。

 

Yongnuo RF-603N は以前も書いたRF-603CII と同じく単4電池2本の仕様で電力消費が案外大きく、電源を他の物に換えるとしても、一般的なコイン電池のCR2025とかCR2032では全く能力不足です。そこで本改造では単4が物理的に入るかどうかですが、完成した今でこそ、「ホルダーを自作すれば工夫次第で入っただろう」とは思うものの、とても着手前にはできた判断ではありません。

 

採用したのはリチウムコイン電池では大型のCR2450、1個で3ボルトです。ホルダーの入手性は良くありませんが、とりあえず今は購入できます。懸念は大電流を連続放電できるか否かで、例えば「カメラ用リチウム電池」と称される円筒型のCR2とかCR123はそれが可能です。フィルムカメラ時代は巻上げモーターもストロボも駆動していたので当然ですが、当改造用には小型な方のCR2でも外形が太過ぎて適しません。一方のコイン型は一般に時計など微小電流用の設計なので、大電流はそもそも流せないか、使っても寿命が短い事が最初から予想されます。

そこでRF-603Nと新品のCR2450で消耗試験を実行しました。メーカー2種類(形が違いOEMの同一品ではない)で試したところ、電圧は直線的に下がるので予想通り大電流には向かない特性です。しかし連続で軽く5時間以上は動作しましたし、そのダウン後も休ませれば復活します。CR2450本来のフル容量は単純計算で約30時間相当ですし、この無理なテストよりもっと現実的な間歇の使用であればかなりの割合は使えそうで、これなら充分に実用的です。

なお、上記したRF-603Nの動作時間は待ち受け時の場合ですが、電波の着信中には特に大きな電流が流れます。これは短時間の事なのでキャパシタで対応しました。まさに発光器が当初のB型からBC型に発展したのと同じ発想です。


次の検討は閃光電球の点灯用の電源です。過去に投稿した「ナショナルPB-8A」の改造の際、電源が3ボルトでは点灯の信頼性が不満な事は検証済です。つまり、無線用のCR2450だけでは点灯用を兼ねられません。容量の小さな電池で構わないので一個でも直列にできて6ボルトなら好適ですが、電池は交換が容易な場所に配置する、という鉄則に従うとスペース的に無理でした。

この解決には、CR2450の3Vを昇圧して5Vを得る回路を入れています。気になる電池の消耗ですが、無線リモコン基板の消費と比較すれば点灯に必要なのは大した電力ではありません。実際に「オリンバス FLASH CL」の投稿ではCR1220という非常に小型の電池でも実用になる件を紹介しました。

 

フォーカルプレィン撮影のタイムラグ制御などは「PB-7改造」時点で回路は決定版で、以後は部品を小型にして今回もほぼ基板の裏側に表面実装です。前回さんざんスペース不足、と言った割には写真ではリモコンチャネル設定窓の周囲などに空地が見えますが、その裏側にも部品や下との干渉などがあります。また、赤と緑の状態表示は、リモコン基板上に元々表面実装されていたLEDを外から見えるようにしたものです。

 

 

普通の発光器には存在しない電源スイッチがあるのは「切り忘れ」、即ち電源喪失の元ではあります。リチウム電池も日本ブランド品を正規価格で買っていては不経済ですが、通販まとめ買いには充分に実用になる性能、かつ安価な輸入品はありますし、リチウム電池一般に保存寿命は極めて長いので不安はありません。

 

さて、かつて「ワイヤレスFPアダプター」の投稿時には集大成と思い「当面これ以上の機能が必要になることはなさそうです」とまで書きましたが、結局ここまで来てしまいました。私は何か作るたびに「苦労した」が口に出るのは要するに楽しんでいるのは計画とか設計で、工作の実践はあまり好きではないのだろうと自分でも思います。それで本件は半年近くも少し弄っては止めを繰り返していましたが、腰をあげて完遂した結果には大満足です。さあ、その達成感を糧に次は何をやりますか・・・・・

 

過去の「小細工・未実施のアイデアなど」の投稿で、無線リモコンとフォーカルブレイン撮影用のタイミング制御機能を備えた発光器も一例にあげましたが、正直、その時点では実行は頭にありませんでした。しかしその後、「ワイヤレスFPアダプター」を作ってその便利さに感嘆したことから現実味が出て来て、今般、それを実際に完成しています。

詳細は本事例に特有の事情があまりにも多いので適宜省略し、「はじめに」で述べたように問題点の考え方を中心に書き残すこととします。まず今回は構造のことについて。

 

素材はナショナルPB-5です。過去の「汎用FPアダプター」や「ナショナルPB-7のFP改造」を投稿した際にはPB-5の事はこき下ろしておきながら、改めて採用の他なかったのは、この種の形状の発光器では最大のその内部スペースゆえです。PB-5に最初に着目したのは高電圧発光器の第1号の時でしたが、もはや今回のスペース窮乏度はその頃の比ではありません。

PB-5の捨てがたい点として、その内容積だけでなく随一の深さがあること、それに各部分の造形にアールが少なく角ばった形状なのはスペースが隅々まで利用しやすいのです。

 

ただし、PB-5はソケットの操作性と信頼性に難があるのは過去に書いた通りです。その3-wayソケット(バヨネット・ミゼット・AG)は分解すると可動電極の方が更に3ピースに分かれる複雑な構造ですが、それら相互間、および固定電極との間が接触不良を起こしやすいのです。これにはメーカーも手を焼いたと見え、同じソケットを搭載するPB-3も含め、何台かの可動電極を見比べると少しずつ形状を変えて少なくとも3種類は作られたようです。固定電極側は全部同じ形状なので互換性がありますから、今回は可動側のパーツを組み換えて試し、少しでも接触の良好そうな組み合わせを選びました。そこまでしても球の挿入し直しを余儀なくされる事もしばしばですが、従来よりは良くなったと思います。

しかしもうひとつの課題である操作性の方は・・・それは我慢です。東芝P-3 III には敵いません。

 

内蔵したワイヤレスリモコンの基板はYongnuo RF-603N(モデルIIではない初期型)の分解品です。この基板がPB-5の電池室の隔壁に穴をあけ、リブを削るなど加工すれば長さ的にギリギリ一杯で入る事を確認できた段階で、目的の改造が実行可能という確信を得ました。これが前身モデルのRF-602ならば一回り基板が小さく、最初はそちらの使用を考えましたが、既に改造済のRF-603シリーズとは電波の互換性がありません。それに上記の通りRF-603Nでも何とか収まる事が判明したので検討から外しました。互換性が不要ならばRF-602でも構いませんが、発光器の加工労力が減るものの有効スペースに差が出るほどの違いは出せません。

 

リモコンの基板が低い位置に収まれば、電池やその他の回路基板と二階建て構造にできます(このため深さの充分あるPB-5の形状が大変重要)。二階建てで困るのは下側に隠れるリモコン基板の操作ですが、絶対に必要なのはチャネル設定スイッチだけなので「二階の窓」で済ませます。

 

 

発光器の上半部は細かく区分けされた構造でした。可動電極を収める丸穴、それに固定電極3個を収める区画が穴の上左右と3方向にありますが、結局それらを除いた残る全ての小分け区画にも部品を入れるしかなくなりました(2枚の写真の比較で分かると思います)。まさに与えられたスペースで精一杯で余裕なし、選んだのがPB-5でなければ何か機能を省略せざるを得なかったでしょう。

 


 

次回は電気的な検討について書く予定です。