ここまで紹介してきた製作で発光器のトリガを電子化した恩恵により、電子カメラのみならず、ワイヤレスのリモコン、光感応スレーブアダプターなどの汎用アクセサリにも安全に接続できるようになりました。

なお一般に光スレーブユニットは「閃光電球の発光でトリガ」はできません。理由は誤動作防止のため入射光の極めて急峻な立ち上がりを検出して動作する設計だからで、それができるのはストロボの発光だけです。

また別な応用例として、YONGNUOのワイヤレスリモコン・RF603をFP制御構改造のPB-5に簡単に接続できるように細工をしました。この汎用リモコンはシャッターもフラッシュも操作でき、しかも送信機と受信機がスイッチを切り替えるだけの兼用、つまり同じ物を数揃えるだけでスレーブ多灯照射にも複数個所からの操作にも使える、という便利な道具ですが、そのうち一個を送信専用とするためアクセサリーシューの雄雌両方を撤去して身軽にしています。

改造ではこのような割り切りを厭わないのが秘訣です。「元の機能は全部残しつつ」は邪魔な考えで、それを前提に置いては本当に使い勝手の良いものは出来ません(もっともこのケースでは割に簡単に戻せますが)。

これならばカメラのグリップと一緒に握ることも可能ですし、有線式よりも接続パーツは増えますが結果として操作性は非常に良好です。

 

 

ここで一旦、アイデアだけは出たが未実施の案件を整理しておきます。

 

まず、ワイヤレスの受信機はさすがに自作は無理です。しかし、市販品の基板を取り出してFP制御の回路と一緒に発光器内に組み込むことならば? 実物を分解してみた感想としては、電卓の基板の入れ替えよりは簡単そうです(もちろんソフト抜きのハード改造のみの手間との比較です)。

 

次に、露出計算機をスマホのアプリで作るということ。これは部品も工具も必要ないので、別に私でなくとも出来る人は沢山いるでしょう。

 

計算機のハードに手を入れ直すのであれば、レーザーか超音波式の短距離用の距離計を組み込めそうなスペースは残っており、距離入力まで自動化することもできそうです。計測には既に内蔵しているマイコンの余力で充分です。但しワイヤレス受信機組み込みの件も同様ですが、いま不可能なことが可能になるわけではないので、実行に移すかどうかはその時々の興味の持ち様によります。

 

カメラのシャッター・タイムラグを測定する目的では即製の回路をバラックで組み立てましたが、タイムラグや実シャッター速度は役に立つ実用データです。特に機械式シャッターでは許容幅か30%もあって最高速近くは公称より遅くて当たり前ですので、この案件はいずれ完品を作るかも知れません。

 

最後のアイデアはこれは大物で、現代のカメラとストロボがホットシューで交換しているデータの解析と利用です。

まさか今時、「あれはレディ信号とTTL発光停止と・・」などと言わないで下さい。シューの形は昔のままでも、今のカメラと高機能ストロボは多くのデジタルデータをあの部分を経由して相互通信しているのです。

しかしそのデータの解析にはハッカー的な集中力が必要かと思われ、まずその気になるまでが難儀そうですが、あらゆる応用に繋がりそうな発展性を秘めており興味はあります。