一旦は全ブロジェクトの終了を報告しましたが、実は仕掛りのまま自分でも放棄したような気になっていた案件があり、今般、それを急遽ですが完遂させたので追加記事とします。きっかけは今春の夜桜撮影をしていて、ナショナルPB-5の3-wayソケット(バヨネット・AG・ミゼット)の出来の悪さがどうにも我慢ならなくなったことです。フォーカルプレインの同調機能を持つ発光器はそれ一つしか作っておらず、他に選択肢はありませんでした。

 

作ろうとしていたのは、あらゆる発光器に対応する「汎用FP同調アダプター」で、シャッター・リリースボタンを備えたものです。タイミング制御回路が発光器内ではなく、リモート・スイッチの方に入った形態とも言い換えられます。

そこで今回思い立って完成させたものですが、外観に見える部分だけでも、以下に示す三個イチの構造になっています。

 

  1. 元はワイヤレスアダプターの外装。上部(メス)ホットシュー付き、

     下部(オス)シュー無しだったもの。

  2. 下部(オス)シュー。ジャンクストロボから移植。

  3. シャッター・ボタン。ジャンクカメラから移植。

 

工作で何より大変なのは押しボタンです。フォーカス・リリースの二段階の動作をするスイッチは一般的な部品とはとても言えず、少なくとも使い勝手の良いものはまず入手できません。それならば「ジャンクカメラから簡単に取れるはず」と、誰しも考えそうですが、私の率直な感想は「実物を見た後でも同じことが言えますかね?」、です。これには細かい工作を得意と自負する人でさえ手を焼くはずで、まして私はこれを組付けただけの時点で根が尽きてしまい、そこから半放棄状態になったのです。

 

 

今回の再始動に当たり、ファームウェアは当初のPB-5用のものを修正し、設定可能なタイムラグ幅は-30~97msとしました。マイナス側に幅を持たせた意味ですが、シャッターが純粋に電子式のカメラにはリリース・タイムラグが閃光電球の発光タイムラグ(20ms程度)より短い機種があるため、その場合はシャッターと閃光電球との通電の前後関係が逆転するからです。

 

以上により、発光器は無改造品でも、また既に紹介した高電圧改造品でも何であろうと選ばず、フォーカルプレインの高速シャッターで使えるようになりました。中でも目下のお気に入りはオリンバス・ペンのFLASH CLで、ホットシュー接続は楽ですし、デジカメは高感度なので、この最小サイズのフラッシュでもほとんどの用は足りてしまいます。逆に明るさ第一の場合には、グリップ式フラッシュガンでエジソンベースの22/22Bでも思いのままということで。

 

それにしても、今年の夜桜は再発掘の良い機会を与えてくれました。私のこよなく愛するヤマザクラ達には大感謝するばかりです。