第20回「匂いなの?臭いなの?」-におわなくする技術
鰻屋さんから流れてくる鰻を焼くにおい。好きな人にとってはたまらなく良い「匂い」かもしれませんが、そうでない人にとっては悪い「臭い」ですね。
たとえ良いにおいであっても、一日中そのにおいを嗅いでいたらどうでしょう。「鼻につく」という言葉もありますね。一般に「良い匂い(におい)」とされるものも、一旦気になり始めたら途端に「悪い臭い(におい)」に感じられたりもします[1]。
このように、人や状況で評価の変わる「におい(匂い/臭い)」の問題ですが、お店や工場等で周囲から苦情があったら何らかの対処が必要です[2-3]。臭いを感じなくする技術にはどのようなものがあるのでしょうか。
臭いを感じなくするには、大きく分けて3つの方法があります。
第一の方法は、他の臭いでマスキングする方法。強い臭いのトイレの芳香剤がこれに当たります。悪臭よりも芳香剤の方が強い臭いなので気にならなくなるというもの。しかし、悪臭の元になる物質は相変わらず鼻の粘膜に到着していますから、まさに臭いを「ごまかした」だけ。根本的な解決ではありません。悪臭が気にならなくなっても無臭になるわけではなく、今度は芳香剤の臭いが気になることが多かったりします。
第二の方法は、臭い物質を物理的に除去する方法です。吸着剤を使って空気中の臭い物質を吸着してしまいます。また、臭いを含んだ気体と液体を接触させる装置を使って、臭い物質を液体中に溶かし込む方法もあります。
第三の方法は、臭い物質を化学的に他の臭わない物質に変えてしまう方法です。臭い物質を熱で分解したり燃焼させる方法や、臭い物質を薬液と化学反応させて別の物質に変える方法、微生物に分解させたり、オゾンや触媒の効果を使い、臭い物質を酸化する方法等があります。
第二・第三の方法は産業用の脱臭装置・消臭装置の主な動作原理ですが、この原理は家庭など身近なところでも使われています。
第二の方法についていえば、市販されている活性炭を使った冷蔵庫の脱臭剤はこの原理に基づくものです[4]。活性炭が臭い物質を吸着することを利用しています。
第三の方法についていえば、都市ガスの臭いがこの原理です。以前、この五感通信で、もともと無臭の都市ガスには付臭剤で臭いがつけられていて、ガス漏れの時に気がつくように工夫されていることを紹介しましたが[5]、都市ガスを燃やしたとき周囲がガス臭くならないのは、付臭剤の臭い物質が燃焼時に高温で分解してしまうからです。
家庭での消臭といえば、各社から布製品用の消臭スプレーが発売されています。各社で成分が違うようですが、スプレーの成分が臭い物質と結びつき、臭い物質の再蒸発を押さえるタイプと、スプレーの成分が臭い物質と化学反応して消臭するタイプ(さらにその組み合わせ)があるようです[6-7]。
前者は臭い物質がなくなってしまわないことも含めて第二の方法に近く、後者は第三の方法といえそうです。
この原稿の中では前半で「匂い」と「臭い」という表現を使いました。読みは同じ「におい」ですが、書くときには、前者は良いにおい、後者は悪いにおいに使われるのが一般的なようです。人それぞれ好みが違いますから「におい」の問題は難しいですね。
<関連リンク等>
[1]以後、文末まで「におい」は「臭い」と表記します。また本文中で「臭い」を「におい」ではなく「くさい」と読む箇所はありません。
[2]環境省 悪臭苦情対応事例集
http://www.env.go.jp/air/akushu/kujyou/index.html
[3]環境省 におい・かおり行政
http://www.env.go.jp/air/akushu/akushu.html
[4]小林製薬 脱臭キムコ
http://www.kobayashi.co.jp/seihin/kmk/index.html
[5]クレイン五感通信 第07回「無臭を嗅ぎとる」
http://crane-corp.jp/cranenews/cranenews_07_scent.html
http://ameblo.jp/crane-tech/entry-10103152653.html
[6]P&G ファブリーズ ファブリーズの消臭効果
http://jp.pg.com/febreze/kouka/syousyu.html
[7]花王 リセッシュ におい大研究Q6
http://www.kao.co.jp/resesh/kenkyu/index2.html
○ 関連キーワード:ニオイ、脱臭剤、消臭剤、悪臭防止法、臭気判定士
たとえ良いにおいであっても、一日中そのにおいを嗅いでいたらどうでしょう。「鼻につく」という言葉もありますね。一般に「良い匂い(におい)」とされるものも、一旦気になり始めたら途端に「悪い臭い(におい)」に感じられたりもします[1]。
このように、人や状況で評価の変わる「におい(匂い/臭い)」の問題ですが、お店や工場等で周囲から苦情があったら何らかの対処が必要です[2-3]。臭いを感じなくする技術にはどのようなものがあるのでしょうか。
臭いを感じなくするには、大きく分けて3つの方法があります。
第一の方法は、他の臭いでマスキングする方法。強い臭いのトイレの芳香剤がこれに当たります。悪臭よりも芳香剤の方が強い臭いなので気にならなくなるというもの。しかし、悪臭の元になる物質は相変わらず鼻の粘膜に到着していますから、まさに臭いを「ごまかした」だけ。根本的な解決ではありません。悪臭が気にならなくなっても無臭になるわけではなく、今度は芳香剤の臭いが気になることが多かったりします。
第二の方法は、臭い物質を物理的に除去する方法です。吸着剤を使って空気中の臭い物質を吸着してしまいます。また、臭いを含んだ気体と液体を接触させる装置を使って、臭い物質を液体中に溶かし込む方法もあります。
第三の方法は、臭い物質を化学的に他の臭わない物質に変えてしまう方法です。臭い物質を熱で分解したり燃焼させる方法や、臭い物質を薬液と化学反応させて別の物質に変える方法、微生物に分解させたり、オゾンや触媒の効果を使い、臭い物質を酸化する方法等があります。
第二・第三の方法は産業用の脱臭装置・消臭装置の主な動作原理ですが、この原理は家庭など身近なところでも使われています。
第二の方法についていえば、市販されている活性炭を使った冷蔵庫の脱臭剤はこの原理に基づくものです[4]。活性炭が臭い物質を吸着することを利用しています。
第三の方法についていえば、都市ガスの臭いがこの原理です。以前、この五感通信で、もともと無臭の都市ガスには付臭剤で臭いがつけられていて、ガス漏れの時に気がつくように工夫されていることを紹介しましたが[5]、都市ガスを燃やしたとき周囲がガス臭くならないのは、付臭剤の臭い物質が燃焼時に高温で分解してしまうからです。
家庭での消臭といえば、各社から布製品用の消臭スプレーが発売されています。各社で成分が違うようですが、スプレーの成分が臭い物質と結びつき、臭い物質の再蒸発を押さえるタイプと、スプレーの成分が臭い物質と化学反応して消臭するタイプ(さらにその組み合わせ)があるようです[6-7]。
前者は臭い物質がなくなってしまわないことも含めて第二の方法に近く、後者は第三の方法といえそうです。
この原稿の中では前半で「匂い」と「臭い」という表現を使いました。読みは同じ「におい」ですが、書くときには、前者は良いにおい、後者は悪いにおいに使われるのが一般的なようです。人それぞれ好みが違いますから「におい」の問題は難しいですね。
<関連リンク等>
[1]以後、文末まで「におい」は「臭い」と表記します。また本文中で「臭い」を「におい」ではなく「くさい」と読む箇所はありません。
[2]環境省 悪臭苦情対応事例集
http://www.env.go.jp/air/akushu/kujyou/index.html
[3]環境省 におい・かおり行政
http://www.env.go.jp/air/akushu/akushu.html
[4]小林製薬 脱臭キムコ
http://www.kobayashi.co.jp/seihin/kmk/index.html
[5]クレイン五感通信 第07回「無臭を嗅ぎとる」
http://crane-corp.jp/cranenews/cranenews_07_scent.html
http://ameblo.jp/crane-tech/entry-10103152653.html
[6]P&G ファブリーズ ファブリーズの消臭効果
http://jp.pg.com/febreze/kouka/syousyu.html
[7]花王 リセッシュ におい大研究Q6
http://www.kao.co.jp/resesh/kenkyu/index2.html
○ 関連キーワード:ニオイ、脱臭剤、消臭剤、悪臭防止法、臭気判定士