クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -25ページ目
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第01回「温度変化のアリバイ」-示温ラベルによる温度変化の可視化

「まずいっ!なんだ、このチョコレートは。賞味期限も切れていないのに」というような経験はありませんか?もしかしたら一度温度が上がったチョコレートかもしれません。

チョコレートが高温下に置かれていたかどうかを見分けるにはラベル1枚で充分。それが示温ラベル(感温ラベル)です。このラベルは、ある一定の温度に達した時点で白色から赤色に変化し、たとえもう一度温度を下げても白色に戻ることがないのです。

原理はとても簡単。赤い紙を用意し、その上にワックスの微粒子を吹き付けると赤い紙は白くなります。ワックスは低温では固体で、微粒子にしたワックスは白く見えるので、この微粒子にコーティングされたラベルの表面は白色になるのです。

ここで使われるワックスはロウソクのロウのようなもの。温度が上がれば溶けて無色透明な液体になります。溶けたワックスがラベルの紙に浸み込むように工夫しておけば、温度が上昇したときに溶けたワックスは赤い紙に浸み込み、その表面からなくなります。

以後は、いくら温度を上下させてもラベルの色は赤いまま。つまり、もしチョコレートにつけた示温ラベルが赤くなっていたら「このチョコレートは、一度温度が上がって溶けたものだ。」ということになります。逆に言うとラベルが白いままであれば、高温になったことがないという「温度変化のアリバイ」になるわけです。

何℃でワックスが溶けるかについては、ワックスの材質を調製することで変化させることができます。ワックス分子の中で繋がる炭素が多ければ多いほどワックスが溶ける温度は高くなる性質があります。ワックス分子の炭素数を調整し、その数を揃えることで高い精度でラベルの変色温度をコントロールできるのです。

溶ける温度の違う数種類のワックスで作ったラベルを並べておけば、ラベル近傍が何℃以上、何℃以下の温度に達したのかが一目で分かります。温度計を設置できないような入り組んだ場所にある機械の部材がどの程度まで温度が上がっているか、といったことも小さな示温ラベルを貼っておくだけで知ることができるのです。

<関連リンク等>
○ 日本精蝋株式会社「石油ワックスとは」
○ ミクロン株式会社「メルトマーク」
○ アセイ工業株式会社「サーモカラーセンサー」
○ サーマル技研「サーモライン」
○ 商標登録番号 第4371166号「サーモラベル」日油技研工業株式会社
○ 関連キーワード:示温材、示温ラベル、感温ラベル、サーモラベル
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