クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -23ページ目

第03回「そのタバコ、見てますよ!」-紫外線を検知する炎センサ

愛煙家には肩身の狭い昨今、どうしてもタバコが吸いたくて、トイレでこっそり一本…。その瞬間「キンエンデス!」と警報が鳴ったら、びっくりですよね。今回ご紹介するのはそんなことを可能にする「炎センサ」です。

平成18年版消防白書によると、建物火災の死者数の約9割は住宅火災によるもの。その半数以上が65歳以上の高齢者です。主因は逃げ遅れで、死者数は深夜0時~4時が一番多いとのことです。

一般的な火災警報器には、煙の充満による光の散乱の変化から煙を感知する「煙感知式」と、火災による温度上昇から熱を感知する「熱感知式」の2種類があります。

消防法改正で設置が義務づけられた住宅用火災警報器は煙感知式。しかし煙が感知される頃には火はもう燃え広がっているかもしれません。深夜に熟睡中の高齢者が、警報に気付いて起き上がり慌てて避難したのでは逃げ遅れてしまうかもしれません。

そこで「炎センサ」。出火と同時に警報を発する「炎感知式」の火災警報器です。炎が発する紫外線を検知し炎の発生と同時に警報を発する火災警報器です。

日焼けの原因としてもおなじみの紫外線は、光の波長が長い方から、UV-A(波長400[nm]~315[nm])、UV-B(波長315[nm]~280[nm])、UV-C(波長280[nm]以下)に分けられます。

太陽光には元々いずれの紫外線も含まれていますが、短波長のUV-Cはオゾン層や大気中の酸素分子で吸収されるため地表に届くのはUV-AとUV-Bだけです。それに対して地上で発生する炎にはUV-Cも含まれています。太陽光による誤動作をなくすため、炎感知式の火災警報器はUV-Cだけに反応するように設計します。

紫外線の検知には光電管が利用されてきました。光を照射した物質表面から光電子が放出される光電効果を利用したセンサで、紫外線検知ではNi(ニッケル)等の金属表面から放出される光電子を検出します。

ライターなど小さな炎からの紫外線を検知するには光電子増倍管を用いて、僅かな光電子の発生を増幅して感度を高めます。これによって、例えばあなたが10m先でライターを点けても炎を感知して警報を鳴らすことが可能になります。

現在、窒化物半導体やダイヤモンド半導体を用いた紫外線センサが開発段階にあり「炎センサ」の小型化、高性能化が期待されています。

<関連リンク等>
○ 消防白書
○ 日本消防検定協会
○ 独立行政法人物質・材料研究機構 プレスリリース 2005/08/29 [PDF]
○ 関連キーワード:紫外線、火災警報器、火災報知器、光電式、定温式