クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -18ページ目

第08回「どっちに向いてる?」-加速度センサ(1)「姿勢」の検知

任天堂のWiiというゲーム機をご存知でしょうか?コントローラをラケットに見立てて動かすと、ゲームの中でボールが打てます。このコントローラのキーデバイスとして加速度センサが使われています[1,2]。

加速度センサは加速度を検知するセンサで、その主な用途は「姿勢」と「動き」の検知です。今回は加速度センサについて紹介したあと、「姿勢」の検知の実例をご紹介しましょう。

加速度は身近な物理量で、速度変化の度合いを表します。電車がゆっくり駅に停車する場合と急停車する場合では乗っている人の体が前のめりになる程度が違います。これは加速度の違いによるものです。

また、例えばボールを落とすと加速しながら落下していきますが、これは重力加速度によるものです。このように加速度はごくありふれた身の回りの量です。

加速度を検知する昔ながらの方法はバネと重りを使う方法です。バネにつけた重りに加速度が加わると、加速度の向きと大きさに応じてバネが伸縮します。バネを使ったセンサは小型化に限界があるため、バネを使わない小さな加速度センサ(MEMS加速度センサ)が開発されました。

MEMS加速度センサは半導体集積回路製造で培われた微細加工技術を用いて微細構造を作製し、加速度(重力加速度を含む)によって生じる微細構造物の歪みや位置の変化を、電気抵抗や静電容量といった電気量の変化として読み取って加速度を算出します[3]。

加速度センサで検知した重力加速度の向きと機械の向きを比較すれば、機械がどちらを向いているかという「姿勢」の検知が可能になります。

2007年秋に発売されたAppleのiPod touchというメディアプレーヤーは、縦長の位置から90度回転して横長の位置にすると画像が90度回転します[4]。これは角度を変えて設置した2つの加速度センサのうち、どちらが重力加速度を検知しているかをみることで縦横を判断しています。

縦横どちらで撮っても保存画像の上下が維持されるデジタルカメラも同様の原理で実現されています。

液晶プロジェクタの中には映写した画像が台形に歪んでいる場合、それをスクエアに(四角く)できる「台形歪み補正」の機能を備えたものがあります。これは液晶プロジェクタの「あおり角」を加速度センサで検知して、送り出す映像のほうを角度に応じてあらかじめ逆向きに歪ませることで台形歪みの除去を実現しています[5]。

<関連リンク等>
[1]任天堂 Wiiリモコン
http://www.nintendo.co.jp/wii/features/wii_remote.html
[2]STマイクロエレクトロニクス プレスリリース
http://www.st-japan.co.jp/data/press/t2031f.html
[3]加速度センサの原理図
http://techon.nikkeibp.co.jp/NE/word/img/060919_2b.jpg
[4]Apple iPod touch
http://www.apple.com/jp/ipodtouch/features.html#photos
[5]NECディスプレイソリューションズ NP60J
http://www.nec-display.com/products/projector/viewlight/np60j.html
○ 関連キーワード:MEMS、マイクロマシン