クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -16ページ目

第10回「イヤホンってマイクにもなるの?」-イヤホンにマイク機能を追加する装置

「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、「耳もものを言う」と言ったら驚かれるのではないでしょうか?しかし人間が口から声を発するとき実は耳からも小さな声が出ているのです。

耳と鼻や口が繋がっていることは、強く鼻をかむと鼓膜に圧力がかかったり、飛行機で耳が痛くなったときに「耳抜き」したり唾を飲み込んで治すなど、日常生活でも実感するシーンがあると思います。

口腔、鼻腔など、体の中の空洞の空気を振動させて口から声を発しているとき、口に繋がった耳からも、口からの数十分の一の大きさですが、小さな声が出ています。

耳に入れるイヤホンに、この小さな声を拾うマイクを内蔵し、イヤホン一つで聴くことも話すこともできる「マイク内蔵型イヤホン」が開発されています[1]。

このマイク内蔵型イヤホンを繋いで携帯電話を使えば、イヤホンで蓋をされた耳の中から声を拾うので、工場や飛行場、高架下など大きな騒音の下でも騒音に邪魔されずに会話することができます[2]。

一般に、イヤホン内部の狭い空間にマイクとスピーカーを詰め込むと、ハウリング(カラオケ等でマイクとスピーカーを近づけたとき、非常に大きなキーンという不快音がでる現象)が起こりがちです。マイク内蔵型イヤホンでは音声信号の処理で、この現象を回避しています[3]。

さらに最近では、皆さんがお持ちのイヤホンやヘッドホンと携帯電話との間に一つのボックスを繋ぐとイヤホン等にマイクの機能を追加してくれる商品が登場しました[4,5]。

イヤホン等で音を出すために使われている「スピーカー」の振動板を、耳からの小さな音を電気信号に変える「マイク」の振動板としても使おう、というのがその発想です。

そのためには振動板の振動を読み取り、音を出すために与えた大きな振動成分を除去し、耳からの小さな声によって加わった微小な振動成分だけを取り出して拡大する必要があります。

ハウリングの除去以上に高度な信号処理が必要ですが、その処理に特化した LSIが開発され[6]、従来型のイヤホン等にマイクの機能を追加できるようになりました。

手持ちのイヤホンやヘッドホンが、そのままヘッドセット(マイクつきヘッドホン)としても使えるようになるなんて、ビックリですね[7]。

<関連リンク等>
[1]「inCore(インコア)」ナップエンタープライズ
http://www.incore.jp/products/product.html
http://www.nap-e.co.jp/profile/img/Technology.pdf
[2]騒音環境下での使用例(音声サンプル)
http://www.nap-e.co.jp/product/incore03.html
[3]発振・エコーキャンセラーシステム ナップエンタープライズ
http://www.nap-e.co.jp/technology/tecgijutu.html
[4]「e耳くん」日鉄エレックス
http://jtd.ns-elex.co.jp/e-mimi/kinou.html
[5]商標登録番号 第5077003号「e耳くん」株式会社日鉄エレックス
[6]イヤホンマイク用LSI 三洋電機
http://www.semic.sanyo.co.jp/jpn/news/release/2006/061003earphone-mic.htm
[7]※メーカーは「密閉型」で「インピーダンスの高い」イヤホンを推奨
http://jtd.ns-elex.co.jp/e-mimi/qa.html#q2
○ 関連キーワード:イヤホンマイク、耳マイク、骨伝導、DSP