クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -15ページ目

第11回「電球ってなくなっちゃうの?」-照明装置の省エネルギー

今や電気による照明は当たり前の世の中ですが、エジソンが実用に耐える白熱電球を点灯させたのは1879年だそうですね[1]。約130年前ですから、読者の皆さんは生まれたときから電球があった世代の方ばかりだと思いますが、人類の歴史を考えるとほんの最近のことなのですね。

最近、この白熱電球が槍玉に挙がっています。「省エネルギー」や「地球温暖化対策」の議論の中で、白熱電球は明るさの割にエネルギーをたくさん消費するので効率が悪い、と言われているのです。

白熱電球に代わる照明と言われているのが、電球形蛍光灯や白色LED、有機EL等です。この中で、電球形蛍光灯は白熱電球と同じ明るさを得るのに消費するエネルギーが約1/5程度で済むという優れものです。皆さんのご家庭でもすでにいくつかお使いではないでしょうか?

今年になって政府は、家庭の白熱電球をこの電球形蛍光灯に切り替えることに対してかなり積極的な動きを見せています。今年の4月には、産業界に白熱電球の製造・販売を中止するよう働きかける方針を明らかにし[2]、これに呼応して業界大手のひとつが2010年を目途に一般白熱電球の製造を中止することを発表しました[3]。

以前の電球形蛍光灯は、明るくなるまで時間がかかったり、点滅が多い用途で寿命が短かったり、光の色合いがいかにも蛍光灯っぽくて電球の代わりにはならないといった問題がありましたが、これらの点はかなり改善されてきました。装飾用等の一部用途のために電球も完全になくなるわけではないようですが、電球がついていたソケットはこれから順次、電球形蛍光灯で置き換えられていくことになるようです。

新しい技術に興味をお持ちの方の中には、電球形蛍光灯に変えるのならいっそ一足飛びに白色LEDにしてみるか、とお考えの方もおられるでしょうか。

まさに昨年あたりから60Wの白熱電球相当の白色LED光源が商品として発売され入手できるようになりました。LED光源は飛行機や新幹線の照明の一部に使用されたり[4]、徐々に導入は増えてきていますが、まだちょっと高価です[5,6]。電気代節約メリットとのバランスを考えると、今のところコスト面での現実的な選択肢は電球形蛍光灯になります。

照明装置はあらゆるところで使われる電気製品だけに、省エネ技術が導入されたときの波及効果は莫大なものがあります。米国エネルギー省は2008年5月末に「L-Prize Competition」を立ち上げ、一般的な60Wの白熱電球に代わる高効率の照明装置等の発明者に多額の賞金を贈ることに決めたそうです[7]。

数十年後には「昔は電球や蛍光灯っていうものがあってね」なんて子供たちに聞かせる日が来るのでしょうか。そのときの照明の主流は白色LEDでしょうか、有機ELでしょうか?これからどんな技術が出てくるのか楽しみですね。

<関連リンク等>
[1]「あかりの日」社団法人照明学会
http://www.ieij.or.jp/fukyubu/akarinohi.html
[2]「北畑経済産業事務次官の次官等会議後記者会見の概要
」経済産業省
http://www.meti.go.jp/speeches/data_ej/ej080407j.html
[3]「CO2削減への取り組みについて」東芝ライテック株式会

http://www.tlt.co.jp/tlt/topix/press/p080414/p080414.htm
[4]「「N700系新幹線」にLED照明を納入
」東芝ライテック株式会社
http://www.tlt.co.jp/tlt/topix/press/p070720/p070720.htm
[5]「E-CORE60(イー・コア60)」東芝ライテック株
式会社
http://www.tlt.co.jp/tlt/topix/press/p071019/p071019_3.htm
http://www.tlt.co.jp/tlt/topix/press/p071019/p071019.htm
[6]「MSAVE(エムセーブ)高効率型60形ダウンライト
」松下電工株式会社
http://www.mew.co.jp/corp/news/0805/0805-14.htm
[7]「L Prize Competition」U.S. Department of Energy (米国エネルギー省)
http://www.lightingprize.org/
http://www1.eere.energy.gov/news/progress_alerts/progress_alert.asp?aid=265
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