クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -13ページ目

第13回「青い光で白く照らす」-白色LEDの中身は青色LED

ここ数年、クリスマスを彩る電飾の中に、眩しく光る小さな青色や白色のランプを見かけることがないでしょうか?これらはLED(Light Emitting Diode)というランプです。日本語では「発光ダイオード」。電気エネルギーを光に変換する半導体素子です。

LEDが何色に光るかは使用する半導体材料で決まります。赤色のLEDが作られたのは1960年代。その後、LEDの色は赤色、黄緑色、黄色などに限定され、長い間、青色に光るものはありませんでした。

「光の三原色」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?赤色・緑色・青色の光が混ざると人間の眼には白く見える光になります。そして赤色・緑色・青色の光の混合比率を変えればどんな色の光も作り出せるのです[1]。

青色LEDの開発は技術的に困難を極め、赤色に遅れること30年、ようやく1990年代になって実用化水準の青色LEDが誕生しました。青色LEDの誕生は特許に関して大きな裁判になったことでご記憶のかたも多いと思います。青色LEDは、LEDの用途を大きく広げるのに必須の「最後の一色」としてその登場が長い間切望され、産業的にも大きなインパクトをもたらしました。

例えば、青色LEDの登場後、ビルの壁面などにある巨大なスクリーンの多くがLEDを使用したものになりました。これは青色LEDが登場したことで、三原色のLEDを使ってあらゆる色を表示できるようになったからです。

また、最近の携帯電話の着信ランプには七色に色を変えながら光るものがあります。これの中にも小さな青色LEDが入っています。一緒に入っている赤色と緑色のLEDとともに、3色の明るさの比率を変えることで様々な色の光をカラフルに出すことができるようになっています。

照明用に普及が始まっている白色LEDも、じつは青色LEDのおかげで実現されています。不思議に思われるでしょうが、白色LEDの白い光の奥では青色LEDが青く光っているのです。これも「光の三原色」の応用なのですが、白色LEDは青色LEDの光の出口に蛍光体を配置して作られています。

蛍光体とは、受けた光よりも波長が長い光を発する物質です。白色LEDの場合は、波長が短い青色の光を受けて、黄色の光や、赤色から緑色の光をまんべんなく発する蛍光体を使います。

青色LEDから発せられた青色の光と、蛍光体が発する光がうまく混ざるように設計すると、3つの原色が混ざってちょうど白色の光になって出てきます。

照明用の白色LEDは白色の一色だけを出せばよいので、3色のLEDを用意する必要はありません。波長が長めの青色以外の光を蛍光体で補えば、青色LED一つだけで周囲を白く照らすことができるのです。

カラフルに光るLEDや白色LEDは、このように、昔から知られていた「光の三原色」という科学の知識と、青色LEDという技術的ブレークスルーの組み合わせで実現されています。最近の見慣れない色のLEDの急増は、青色LEDの実用化がきっかけだったというわけですね。