クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎 -12ページ目

第14回「若者にしか聞こえない音」-年齢による聴力の変化

10代の若者が聴いている音楽と、あなたの聴いている音楽は音が同じではないかもしれません。どんな歌手やジャンルが好きかという意味ではありませんよ。たとえ同じコンサートで、隣で一緒に同じ音楽を聴いていても、年齢によって聞こえている音が違うことがある、という意味なのです。

音の高さは周波数の大小で表されます。例えばCDには20Hz~20,000Hzの音が記録できますが、20Hzが低いほうの音、20,000Hzが高いほうの音です。

人間の耳は30歳代から少しずつ感受性が変化していきます[1]。個人差はありますが、年を経るごとに高音域の感度が衰えていきます。まず聞こえなくなるのが10,000Hzより高い音、言葉で表現するとキーンというような高音です。この領域の音は30代あたりを境に、若い人には聞こえるけれど若くない人には聞こえなくなるのです。

このことを利用して、スーパーの前などにたむろする若者にだけ騒音を聞かせて追い払う装置が開発されています[2]。逆に、若者たちだけに聞こえる携帯の着信音も作られています[3]。

「私は実年齢より若い(ハズだ)けど、高い音は聞こえるかな?」という方は、実際に何Hzまで聞こえるか、ぜひ文末のリンクで試してみてください[4]。筆者(30代)の場合、16,000Hzまではふつうの音量で聞こえましたが、その上の周波数の音はかなりボリュームを上げないと聞き取れませんでした。避けられないこととはいえ少しショックですね(笑)。

(でも、パソコンやスピーカーの中にはもともとこの領域の音がでにくいものがあるのです。だからもし聞こえなくても、若い人にも一緒に聞いてもらって、差が明らかになるまではショックを受ける必要はありませんよ!)

さて、通常の人間が会話するときの周波数は高い方でも7,000Hzあたりまで。3,000Hz以下がメインです。これに基づいて電話の音は3,400Hz以上の音をカットして情報量を小さくしています[5]。電話の声が独特の音色なのは高音域が取り去られていることが一因です。そして電話ではスズムシの鳴く音が伝わらないという話がありますが、これはスズムシの鳴く音には3,400Hz以上の音がたくさん含まれているからだそうです。

人間はうまくできたもので、会話で使われる範囲の音の感度は比較的高齢まで維持されます。ただ、高い音を中心に感度が落ちてくるので、年齢が進むと声が小さく(感度が落ちて)、くぐもった感じの音に聞こえるようになってきます[6]。これを老人性難聴といいますが、これに対応する補聴器は高音成分をより重点的に増幅する設計になっています。

<関連リンク等>
[1]年齢による聴力低下
http://www.min-iren.gr.jp/ikei-gakusei/igakusei/zi5_medi/mw-ken/mw-ken-16.html
http://www.widexjp.co.jp/hearing/cause.html
[2]Mosquito Teenage Deterrent
http://www.compoundsecurity.co.uk/teenage_control_products.html
[3]「大人ニ聞コエナイ?着信音」タイトー
http://www.taito.co.jp/mob/title/y/details/1178543_2354.html
[4]聴力テスト「大人には聞こえない着信音」
http://itsd210.s24.xrea.com/ja/blog/2006/10/test_1.html
[5]「高品位IP電話技術」図2 音声帯域と「電話」帯域
http://www.oki.com/jp/Home/JIS/Books/KENKAI/n200/pdf/200_R10.pdf

[6]加齢による聴力損失シミュレーション
http://tri-osaka.jp/group/infoele/life/acoustic/kenkyu/description/publication/p-99m.htm

○ 関連キーワード:モスキート音、耳年齢