生産技術マスターへの道 -90ページ目

必要な工具を、必要な場所に、必要なだけ準備しよう

今回は、ものづくりに必要な


「加工するための材料」

「加工を行う機械設備」

「適切な工具」


のうち、


「工具」について考えましょう。


工具とは、工作機械に装填して材料を切削する刃具、

工具を正しい位置にガイドするための治具、完成品の品質を検査する計測器、

材料を成型する金型などの総称です。


「治工具・金型」とも呼びます。




これらの工具を使えば、加工や組立作業のスピードは向上し、


安定した品質の製品を大量に作り出すことができます。

慣れていない人でも容易に作業ができるので、労務費の大幅な削減にもつながります。


そこで、製品設計の際には、工具を十分に活用した加工手順を考慮しましょう。

工具がうまく使用できない、複雑で製作コストがかかりすぎるなどのトラブルを耳にしたら、

それは、製造現場の情報が設計者にしっかり伝わっていない証拠。

製品設計に関係する部門の間に生産技術者が立って、

必要な情報を円滑に伝えられるように心がけます。



新製品の収益は設備投資に左右されるため、

工具製作のコストダウンも重要なテーマになります。


例えば、摩耗や劣化による故障を避けるために、

安全係数をより高めに設計する傾向が強く、これがコストダウンしづらくしていると言われています。




予定生産量を過度に見積もって、過剰仕様が生じてしまう場合も同様です。

新製品の設計変更にともない工具が変更されれば、さらにコストがかかります。


また、工具の製作では、経験を積んだ技術者のノウハウが物を言います。

自社で加工設備や設計者を準備できる会社であれば、計画的に技術を蓄積できるでしょう。



しかし、

これらの業務を外注に出している会社では、

コストや納期は外注先に主導権を握られるのが実情です。



工具製作の技術力を維持・向上させていくには、

対応する生産技術者自身の技術力が重要な鍵となるのです。




そのほかにも、

製造現場での工具の使用や保管、

メンテナンスなどを、各工程の担当者に任せきりにしていると、

まだ使用できる工具が破棄されたり、整理整頓がつかず、

保管状況が悪くて工具が劣化してしまったりして、必要以上のコストがかかります。



生産技術者が工具の統一した管理方法を指導すれば、

これまで余分にかかっていた経費を削ることができるでしょう。





工具の製作から使用、

管理までを見通して考える生産技術者になるには…… (リンク)

設備調達でのトラブル要因を把握して、上手に業務を管理する

今回は、設備調達において起こりうる問題に焦点を当ててみましょう。



設備調達には大きく2つの種類があります。


ひとつは、実際の生産活動に使用される設備調達



ここでは、これまでの生産能力や品質、コストを維持・増強しつつ、安全性や法規制、環境などへの対策も

万全でなければなりません。


もうひとつのインフラに関する設備調達では、

生産設備の見直しに伴うレイアウト変更、福利厚生など各種施設の充実が目的です。


どちらの設備調達も、多くの場合は開発設計部門、生産技術部門、調達部門で業務を分担します。


これは個別の業務の専門性が要求されるためであり、仕様提案や依頼が特定の調達先に偏らないよう、

各社間の競争を徹底するためでもあります。





それでは、主として調達部門の業務範囲で起こりうる問題点と、その原因を見てみましょう。



まず挙げられるのは、倫理的な問題です。


例えば、調達側が特定の調達先候補と接触したり、事前に予算を提示したり、

調達先からの接待や贈り物を受けたりするのはあってはならないことです。


 これは公正な設備調達倫理規程が決められていない、

倫理面での教育が徹底していないといった場合に起こりがちです。




 商品の機能や品質が、調達側の要求するレベルに仕上がらないという事例もよく見られます。
 要求条件が設備仕様書に表れていない、表現があいまいで要求が伝わらなかった、

仕様の通りに製作されていない、検査・品質保証を十分に行われていないことなどが原因です。




 特に大きな問題として挙げられるのが、量産化が遅れて納期に間に合わないというトラブルです。
 これは、調達先の能力や進捗状況を十分に把握できない、

納期管理体制が脆弱であるといった理由から、設備設置・試験・量産試作が計画通りに

進まないために起こります。




また、契約金額が予算をオーバーしたために、実績が予算を超えてしまうこともあります。
 競争の原理を無視して調達先が固定化している、提出された見積りの査定ができない、

予算内に収める交渉ができないなどの原因が考えられます。





 設備調達は頻繁にある懸案ではなく、経験者が少ないのも事実です。


生産技術者は開発部門、調達部門と協力しつつ、計画通りに着実に業務を実行していき、

設備調達に関するスキルを挙げていく必要があります。

その積み重ねを通して、より合理的な設備調達を実現させるのが、生産技術者の役割です。




設備調達を的確に管理できる生産技術者になるには……

作業の基本となる作業設計の重要性を認識しよう

 今回は作業設計にかかわる問題と、その原因を考えてみましょう。


 作業設計を終えた後、実際の量産立ち上げに至ってはじめて、さまざまなトラブルが

発生することはありませんか。


例えば、従来と類似した作業であるはずなのに、過去と同様のトラブルが再発してしまったり、

新たな製品の生産作業においてトラブルが起きたり。これらは作業設計に原因があります。


 過去と同様なトラブルが起きてしまうのは、

そのトラブルの現象・原因・対策といった情報が蓄積されていない、

または情報を閲覧しにくい状態になっていて、作業設計の際に予測されるトラブルとして

リストアップされないのが原因です。


 また、新たな作業でのトラブルに関しては、想定されるトラブルの洗い出しが不十分で、

トラブルの理由さえも明確になっていないことが原因といえます。


 表に出る形は違いますが、上記のトラブルの根本的な原因は、

「組織的な連携不足」

のひと言に集約されるでしょう。


 業務に追われてトラブルに対応できない生産現場と、生産現場に任せきりのまま、

技術力や時間制約の元で作業設計が行われることで、

結果として、トラブルが発生してしまうわけです。


 さらに、「標準作業書」が形式的なものになっていて、十分に活用されていないことも問題です。


 標準作業書は安全性やQCDの達成を目的として、

人や部門異動者といった不慣れな作業者のスキル向上、一般作業者への指示、異常時の処理方法の伝達、

作業方法が遵守されているかどうかを監督者が確認するためなどに使用されます。


 この標準作業書に記述された標準時間は、原価計算、生産性管理、生産計画づくり、改善推進などにも

活用されます。


このような重要な標準作業書が形式的に作成されることで、さらに問題を引き起こしてしまうのです。


 また生産現場では、安全やQCDが大切であると認識していても、十分な時間がなければ納期の遵守が

最優先となり、多めに人員を配置します。

作業設計は安全とQCDのすべてを前提として、論理的な組み立てが求められます。


 もし論理的に設定した「標準人員」だけでは納期に間に合わないようなときは、

「暫定投入人員」の設定もあり得ますが、「標準人員」の達成が重要事項であることを忘れてはいけません。


的確な作業設計書を作成できる生産技術者になるには……