生産技術マスターへの道 -89ページ目

顧客のニーズに沿った品質の商品を提供し続けよう

商品の品質は、

顧客にとって、企業のイメージを決定づける大切な要素です。


そこで、

今回と次回の2回に分けて、

商品の品質の意味とその管理を考えてみましょう。

自社商品の品質をどのように定義するのか。

その品質を生み出す機能をどのように作り上げるのか。

顧客や社会に品質を保証する機能をどのように構築するのか。


これが品質に関する大きな課題となります。



商品に対する顧客の要求レベルは一定ではなく、

つねに上へ、上へと変化していきます。


より使いやすく、より良いものを、という要望は当然のことです。

逆に言えば、企業側が顧客の要求を満たし続けることは、極めて難しいと理解しましょう。

顧客の要求レベルと、実際の商品の品質とのギャップは、2つに分けられます。


ひとつは「品質リスク」と呼ばれるもので、

商品の品質が、顧客の要求するレベルに追いついていない場合です。

顧客からのクレームを生み出す元となります。


もうひとつが「バリュー」と呼ばれるギャップで、

顧客でさえ気付いていない潜在的な要求のことを示します。

こうすればもっと使い勝手が良いのではないか……。


そんな、顧客が思いもしなかった改良をほどこした商品を提供すれば、

自社のファンを増やす可能性は大きいでしょう。

品質マネジメントとは、

これら2つのギャップをスピーディに解決することです。



そのためには、社内に品質マネジメントに必要なシステムを構築するだけでなく、

社員一人一人が「顧客の代理人」であるという意識を持って、

システムを運用する必要があります。



ただし、企業内部で品質保証の仕組みを再構築する際には、

企業自身ではなく、顧客側が考えている品質の定義をはっきりさせることが大切です。


商品を評価するのは企業ではなく、顧客だからです。

次回は、

このような品質を取り巻く環境の変化や、

起こりうる問題点をリストアップして解説していくことにしましょう。

顧客の要求に応じた品質マネジメントシステムを

構築できる生産技術者を目指すなら……

原価管理が抱える問題を洗い直してみよう




前回は、製品の原価を算出して、

仕上がった製品の原価を把握する「原価企画」について考えました。



これをさらに進めて、原価の違いがなぜ生じたのかを分析し、

改善の手を打つという一連のサイクルを「原価管理」と呼びます。



今回は、この「原価管理」の問題点を検証してみましょう。



そもそも、

原価管理」は企業にとって基幹業務であり、

制度も手順も確立されています。



しかし実際の業務では、

以下のようなさまざまな困難を感じることがあるのではないでしょうか。



1) 量産以後の差異

(試作と量産、原価企画で設定した内容との)への対策が難しい

2) 実績把握のタイミングが遅れる

3) 原価低減の先行きが見えない

4) 正しい実績把握ができていない

5) 原価計算基準(配賦基準)が実質的ではない

6) 原価計算だけで満足してしまう

7) 現場の活動の成果が原価に反映しづらい


例えば1)のように、

量産段階になってから原価の差異が判明すると、

設計・工程・治工具の変更が必要となり、

期間やコストの面から改善対策が難しくなりがちです。

量産に移る前に、原価の差異を把握する必要性が大きいのがわかるでしょう。



2)の実績把握の遅れは、

原価関係の情報システムが旧式だったり、

非効率だったりという理由が挙げられます。



しかし実績把握が遅くなればなるほど、対策が遅れてしまうのは必然。



システム全体を刷新できなくても、

効率をあげるような業務の見直しが求められます。


なお、6)のように原価計算をすることだけで満足してしまうことも、

実績の把握が遅れてしまう要因に挙げられます。



そもそも実績の把握は、作業者から上がってくる数値報告が頼りです。


そのためには、現場で作業自体の効率性を求められている作業者が、

実績報告という事務作業を苦に感じない仕組みを作り上げ、


4)のような正確な実績が把握できないというトラブルを回避しましょう。



また、材料費の全体はわかっているのに、

明細が不明確な場合にも、同様のトラブルが生じることがあります。



5)に挙げた原価計算基準は配賦基準とも言います。

この基準の見直しを怠っていると、

どんなに改善対策を行っても変動費が減らず、


逆に原価が上がってしまうという事態にもつながります。


原価削減のチャンスを逃してしまう要因ですので、

原価計算基準はつねに見直すよう心がけましょう。



以上のような対策を講じた結果、


原価が大きくコストダウンされたはずなのに、

管理会計上は思ったような効果が表れていないこともあります。


これは、「配賦という方法」そのものが、

実際のコスト発生の仕組みと異なってきていると考えられます。




このように、原価に係わる問題全体をしっかりととらえて対策を講じる能力が、

生産技術者に求められているのです。



原価管理で的確な問題解決を行える生産技術者を目指すなら


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新製品の原価企画には全社が一丸となって取り組もう

生産技術者の重要な業務のひとつとして、原価企画が挙げられます。



これは新製品の利益を目標通りに達成するために、

研究・開発はもとより調達・製造・廃却にいたるまで、

企画段階から会社が全力を注いで取り組む活動です。



この重要な原価企画という業務と、それを包括する原価管理全般について、

今回と次回の2回に分けて考えましょう。



原価企画は単なるコスト低減の技法ではなく、経営管理の仕組みです。


したがって、自社の状態を見極めた上で、

プロジェクトの対象となる範囲を設定する必要があります。


プロジェクト責任者には、コストだけでなく品質・納期に関する責任が大きくのしかかってきます。


例えば、経営陣からは経営上のプレッシャー、

事業責任者からは費用に関するプレッシャー。


競合他社の情報も同様に、大きなプレッシャーになります。


さらに開発が進んでいくと、設計・生産技術・製造の各部門から、

費用面での問題が提示されます。


このようなさまざまなプレッシャーを跳ね返し、

コストに関する問題を解消してプロジェクトを遂行したとしても、

プロジェクト責任者や開発・技術部門のエンジニアたちには、


「今回、やるべき事をやりきった」


という満足感よりも、


「次は、もうやるべき事がなくなった」


という閉塞感が強く残ることさえあるのです。



また、原価企画は全社挙げてのプロジェクトのため、

自社の事業戦略、組織構造、マネジメントシステムなどから影響を受けます。



「関係者全員が共同でコストを作り込む」


という意識が弱くなったり、



原価企画活動支援の社内の仕組みが弱かったりすると、

機能や性能面で満足できる新製品の開発の仕組みと、

コストの作り込む仕組みとが、かけ離れてしまいます。




もうひとつ、コスト力の向上を目指すためには調達先の育成も大切です。


コストの引き下げだけを要求してばかりいると、調達先は意欲を失って、

協力関係が弱まるのは当然の成り行きです。



さらには、

コスト引き下げのために品質管理が甘くなり、

最悪の場合には、顧客の信頼を裏切るような製品が仕上がることもあり得ます。




次回のコラムでは、

原価管理全体に関する問題の原因を把握して、

改善をうながすヒントを紹介しましょう。




適切な原価企画を行える生産技術者を目指すなら……