新製品の原価企画には全社が一丸となって取り組もう
生産技術者の重要な業務のひとつとして、原価企画が挙げられます。
これは新製品の利益を目標通りに達成するために、
研究・開発はもとより調達・製造・廃却にいたるまで、
企画段階から会社が全力を注いで取り組む活動です。
この重要な原価企画という業務と、それを包括する原価管理全般について、
今回と次回の2回に分けて考えましょう。
原価企画は単なるコスト低減の技法ではなく、経営管理の仕組みです。
したがって、自社の状態を見極めた上で、
プロジェクトの対象となる範囲を設定する必要があります。
プロジェクト責任者には、コストだけでなく品質・納期に関する責任が大きくのしかかってきます。
例えば、経営陣からは経営上のプレッシャー、
事業責任者からは費用に関するプレッシャー。
競合他社の情報も同様に、大きなプレッシャーになります。
さらに開発が進んでいくと、設計・生産技術・製造の各部門から、
費用面での問題が提示されます。
このようなさまざまなプレッシャーを跳ね返し、
コストに関する問題を解消してプロジェクトを遂行したとしても、
プロジェクト責任者や開発・技術部門のエンジニアたちには、
「今回、やるべき事をやりきった」
という満足感よりも、
「次は、もうやるべき事がなくなった」
という閉塞感が強く残ることさえあるのです。
また、原価企画は全社挙げてのプロジェクトのため、
自社の事業戦略、組織構造、マネジメントシステムなどから影響を受けます。
「関係者全員が共同でコストを作り込む」
という意識が弱くなったり、
原価企画活動支援の社内の仕組みが弱かったりすると、
機能や性能面で満足できる新製品の開発の仕組みと、
コストの作り込む仕組みとが、かけ離れてしまいます。
もうひとつ、コスト力の向上を目指すためには調達先の育成も大切です。
コストの引き下げだけを要求してばかりいると、調達先は意欲を失って、
協力関係が弱まるのは当然の成り行きです。
さらには、
コスト引き下げのために品質管理が甘くなり、
最悪の場合には、顧客の信頼を裏切るような製品が仕上がることもあり得ます。
次回のコラムでは、
原価管理全体に関する問題の原因を把握して、
改善をうながすヒントを紹介しましょう。