今回からは「動詞の形」(時制)をつっこんで見て行きましょう。できるだけそれぞれのイメージが際立って印象に残るよう、複数の「動詞の形」を対比して考えて行きましょう。今日は「現在形」

○「現在形?」「現在進行形?」
a. My father teaches  mathematics at high-school.
 (父は高校で数学を教えている。=数学の先生をしている。)
b. My wife is teaching English to our daughter's friend today.
 (妻は今日娘の友達に英語を教えている。)

a. teachers は「現在形」 b. is teachingは「現在進行形」です。
1) 長い期間続くのはどちらでしょう?
2) ある行為の「途中」はどちらでしょう?

(解答)
1) a. 2) b
 一番基本の「動詞の形」は現在形、(辞書に載っている形。)ですが「現在形」は「現在のこと」だけを言うのではありません。現在形は

                                (現在形)
 「今までも、今も、これからも」「確かに」すること、あること
 が根本の定義です。

a. My father teaches mathematics at high school.
 

(父は高校の数学の先生です。)
 何年も職業としてやっていることは「前から、今も、これからも確かに」やってきた、やっていくことが前提ですから、「現在形」です。これを「教えている」→「今しているはbe ..ing (現在進行形)だから is teaching 」と英語から連想して現在進行形にしてしまうのはよくある間違いです。
 では次の現在形の疑問文の意味は何でしょうか?

 What does he do?

 現在形は「彼は今(この瞬間)なにやってるの?」ではなく彼が「前から、今も、これからも」やっていること、つまり「ずっとやっていること」は何か→、「彼の職業は何ですか?」になります。

 現在形は上の図にあるように、teachといった「動作」ならばそれが確かに繰り返されることを表し、「状態」ならばそれが確かに続いていることを表します。

My grandfather lives in Niigata and he takes a walk every morning for one hour.
 take a walk  散歩する
(祖父は新潟に住んでいて、毎朝1時間散歩する。)

なら、lives 「住んでいる」状態が「前から、今も、これからも確かに」続き、takes a walk 「散歩する」動作を前「前から、今も、これからも確かに」繰り返して行います。

 

 動詞は英語のパターンを決める中心の語ですが、動詞は必ず何らかの「時制」で使いますが、日本語と英語の「時」の捉え方は大きく違っていて注意が必要です。
 私が考える英語の時制を考える上で大前提となるのは以下の2つです。

○「時制)の2つの注意
(1)「日本語」をあてはめて動詞の形を考えない
 日本語と英語の「時」の表し方は根本から違います。「この日本語だったらこのかたち」と考えるのは間違いのもとです。次のような初心者によくある間違いがあります。

×When he came here again, I will give him a small present.
(彼がここにまた来たときに、ちょっとしたプレゼントをあげよう。)

日本語の「た」は過去のこともこれから起こることもあらわすため、(これから)来たときは When he comes here again, とすべきところを × When he came と過去形にしてしまうといった、日本語からあてはまる英語を連想したことによる間違いです。

 

「私の父は高校で英語を教えている。」

を「~している」は、「彼女はピアノを弾いている。」今しているは現在進行形、She is playing the piano. だから、

 

×My father is teaching English at high school.

も、すでに紹介したよくある間違いですね。

「今までも、今も、これからも確かに」やっていることは、

My father teaches English at high school

(現在形)でしたね。

 

日本語をそのままあてはめて時制を考えるのは間違いのもとです。
(2)「時」と「時制」は同じではない。
 「時」は人間の思いとは関係なく 過去→現在→未来 と経過していくものですが、どんな「時制」(動詞の形)を使うかは、話す人の気持ち、出来事の捉え方に大きく左右されます。これから具体的に説明して行きますが、例えば「現在形」という動詞の形(時制)が現在のことだけを言うわけではありません。

The train leaves at 8:00.

列車は8時発の予定だ(未来)
The typhoon strikes Japan.

台風、日本を直撃 (新聞見だし 過去)

など、「先のこと」も「過去のこと」も表すことがありますが、共通なのは「確か」の感覚です。未来のことも、列車の発着などが多いのは、公共の「確かに」決まっている予定に使います。また、新聞見出しで「起きた過去のこと」に現在形を使うのも、「確かに、本当にあった」という感じを強く出すためでしょう。

 また、

If I lived in Kyoto, I would visit Kuramadera every month..

(京都に住んでいたら、毎月鞍馬寺にお参りするのに。)

と、今現実にありえないことをいう仮定法に、lived, would と過去形の動詞、助動詞を使うのも、現実とは「隔たっている」ことを感じていることから過去形を使います。

 時制は特定の一つの「時」と結びついているものではありません。人の気持ちによって使い分けをされます。

 時制=動詞の形 のことですが、「時制」という言い方はどうしても特定の「時」と結びついているように思いがちなので、私は「動詞の形」という方が正確な理解につながると思います。

 

「一生懸命やってるぞ~」系の表現は、前回の「全力投入系」to と、もう一つ

He is engaged in writing a novel
(彼は小説を書くのに没頭している。)
be engaged in で「熱心にやってる」ことですが engage のen-はin と同じ。
だから「中に没頭」のイメージで前置詞は in です。

She is absorbed in reading comic books.)
(彼女は漫画を読むのに夢中になっている。)

absorbは元々は「吸収する」こと
自分が「中に吸収」される、これも「没頭」系で前置詞は in

さらに動きを伴う into になると、
He is much into jazz.
(彼はジャズにはまっている。)
と、中に「入り込んでる」感じです。

で、「やってるぞ~」系の表現は
① Aを全部Bに向けて「全力投入」系 の
dedicate, devote, commit A to B
② AがB中にはまってる「没頭」系の
be engaged, absorbed  in 、それに into の

前置詞は2つの系統

 

今日は「頑張ってやってる」「全力でやってる」表現の前置詞について


①動詞 A to   B 系
The teacher dedicated herself to teaching English.
(その先生は英語を教えることに専念した。)
dedicate A to Bで 「Aを全てBに費やす」意味となりますが、
deは強めの接頭辞 dicate は「はっきり言う」こと
indicate 指示する の dicate と同じ語源です。
A を全部Bに向けると「宣言する」感じです。前置詞は全部Bに「向けて到達」のto

He devoted his whole energy to the project.
(彼はすべての力をその計画に費やした。)
devote A to Bも dedicate A to Bと同じ、「専念」すること
de もdedicateのdeと同じ「強め」です。vowは「誓い」
全部Bに「向けます、注ぎ込みます」と「誓う」ことですね。
だからこれも前置詞はAを全部Bに「向けて到達」の to

She committed herself to the political movement.
(彼女は政治運動に全力を傾けている。)
commit A to B も「全力でやること」ですが、
co は「全部」mit は「送る」こと
transmit 『伝達する」のmitと同じです。
だから、commit はAの力を「全部まとめて」Bに「送り込む」こと。
やはり前置詞は『向かって到達」のtoです

dedicate , devote , commit A to
共通点はAをすべてまとめてBに注ぎ込むこと。

 

 「頼る」前置詞は接触の on ですが、この代表的な表現、depend onは「~で決まる」「次第である」「左右される」「~にかかっている」全部ぴったりあてはまります。

 

 Your success depends on your effort.

(成功は君の努力にかかっている。)

 

 depend onは「~次第だ」と、

 

「~に頼る」

Japan depends on foreign countries for oil

(日本は石油は海外に依存している。)

と大きく2つの意味があります。今日は超頻出 depend のお話。

 

 まず dependdedown (下)のこと。じゃ pend は?同じ意味のpendからできてる他の語は、

                pendant

 

pendulum(振り子)

 

「ぶら下がってる」ことですよね。日本語にもなってる、「しばらくペンディングにしとこう。」もこれ。

 

 The issue is still pending.

(その問題は未解決だ。)

 

 「ぶら下がって、宙ぶらりんの状態」ってことですね。

だから、depend on は、

・「ぶら下がってる」紐がきれたらそれっきりですから、「~次第

・「ぶら下がってる」紐にしがみついているから、「~に頼る」。

 

つきものの前置詞は「しがみついてる」から「接触」のon ですね。

 

 「ぶら下がってる」糸「次第で」運命が決まり、「その糸にしがみついて「頼ってる」...おお、これこそ!と思ったのがこれ。

 

Kandata depends on the spider thread.

 

 

芥川龍之介「蜘蛛の糸」のカンダタ。「ぶら下がって」「しがみついてる頼みの蜘蛛の糸次第」で地獄か極楽か!でしょ?

 

 

    さらに前置詞のお話し。「音楽を聴く」 listen to music ですよね。でも listen とくればいつも to でしょうか? 以下に入る前置詞を考えて下さい。

 

 a. I listened  (           ) his footsteps.

   (彼の足音がしないかと耳を澄ませた。)

  b. I listened  (           ) the keyhole.

   (鍵穴から何の音がするかと聞いていた。)

 

 正解は、

 a. I listened for his footsteps.

 b. I listened at the keyhole.

 

 まず、listen toがなぜ listen to かっていうと、to は前回もいったように、基本イメージは「方向」と「到達」です。音が聞こえてて、音に到達してるから listen to

 

a. は「足音がしないか、足音を求めて」聞いていて、音に到達して聞こえてはいません。だから look for (探す)の for と同じ「求める」for

 

b. も音は聞こえてないから toじゃなく、音を聞こうとkeyhole に意識を集中してるので、一点集中が基本イメージの at です。

 

 では、「聞く」はlisten to で、なんで「見る」はlook at なんでしょう? 

 

 本日の私の推測。 listen to は「音に到達」して聞いているから to look は「見てるだけ」では対象に「到達」感がなく、それに触れて初めて「さわった、到達した」感がでるから、見てるだけでは対象に意識集中 at なのかな?

 

 どうでしょうか?

 

 

a.

今日は「頼る」の前置詞を考えましょう。次の(    )に入る前置詞はなんでしょう?

a. He still depends (        ) his parents (        ) his living expenses.
b. He still relies (        ) his parents (        ) his living expenses.
c. He still looks (        ) his parents (        ) his living expenses.
d. He still turns (        ) his parents (        ) his living expenses.
(彼は未だに生活費を親に頼っている。)

まず後ろは共通して 「求める」for 。これはその通りですね。

で、先に入るのは
a. depends on his parents
b. relies on his parents

c. looks to his parents
d. turns to his parents 

a. b. は「接触」から「依存」のイメージですね。
赤ちゃんがおかあさんに抱かれて胸にべったり「接触」→「依存」の感じです。

c. look 「見る」d. turn 「振り向く」は「視線を向ける」ことですから、肉体的な「接触」ではありません。ただ、頼る相手には気持ちが「つながって」いますから、単に視線を向けるだけの look at ではなく、「方向」+「到達」(つながり)to ということでしょう。


 

「なんでこの意味?」の前置詞。今回はonいってみましょう。

I worked 15 hours on end.
(私は15時間ぶっ通しで働いた。)

on end 「ずっと通して」の意味がありますが、なんで end で終わりのはずなのに「通して」やってる?


この on は「接触」→ switch 「接触」on →「動き続ける」

の on でしょう。
つまり”end " もう「終わり」のはずが終わりにならないで、ずっと続いてる感じ。
例文ならば「もう仕事『終わり』のはずなのにまだ続いてる~。」

E ~~~~~~~~~N~~~~~~~~~D~~~

って感じなんでしょうか?

もう一つは tell on

The work is beginning to tell on him.
(その仕事は彼にこたえだした。)

tell onは「つらくなってくる、きつくなってくる」ということですが、

このonは 

have some influence ( effect ) on his idea
(彼の考えにいくらか影響がある)

の「影響」のonです。「影響」も接触のonから来ていますが、
バンテリンとかサロンパスとか貼る湿布薬が私のイメージ。
ぴったり肌に「接触」させるとそこから「ジ~ン」(「ヒャ~」かな?)と体に「影響」ききめがしみこんできますね。

だから tell on は「仕事が影響を与えてる」こと。
で、なんでtellなんでしょうね?

tell は、

My long experience as a teacher told in my favor.
(私の教師としての長い経験が「ものを言った」。)
って意味もあるため、このつながりでしょう。

そういえば日本語でも「仕事がこたえる」って「答える」こと?
仕事が、「辛いぞ~」「きついぞ~」ってその人に「ものを言ってる」「答えてる」のかな?かな?

 

with は「(いっしょに)ある」のが中心のイメージですが、じゃ

Britain fought with France.

は、フランスはイギリスの敵?味方?

「イギリスはフランスといっしょに戦った。」なら味方のはずですが、これは

「フランスを味方として一緒に」
「フランスを敵として相手に」

のどちらもありです。敵でも味方でも戦場に「いっしょに」いるのは同じということなんでしょう。

ということで、

I had a quarrel with him.(彼と口論した)
I had an argument with him (彼と議論した)

と争う相手も with 。

He dealt with the problem.(その問題に対処した。)
と対応する問題もwithです。

不思議な with は、

He parted with her lover.(彼は恋人と別れた。)
They did away with the meaningless convention.(彼らはその無意味な習慣を廃止した。)

と、「別れ」たり「廃止」したりでいなくなったり、なくなったりも with
ですがこれも 「相手」のwith と考えれば 「いっしょにいた相手」と別れてpart with, それを「相手」に取り組んでいた問題を廃止して do away with ということですね。

日本語で、「~と」は誰かと一緒ですが、「彼と別れた。」って使うのと同じかな?

実は元をただせば with の本来の意味は against と同じだったそうです。もともと仲悪くて対立、「あっちいってほしい」のが一番もとのwith なら、part with, do away with の方が本来に近いのかも。

 

 今日は最近見た映画 The Hate U Give から。これが前置詞、基本動詞の heart か!と思うようなセリフをご紹介。

 

 アメリカの人種対立をテーマにした映画ですが、なかなか考えさせる映画で、おすすめです。でもネタバレにならないように映画についてはここまで。

 

 その映画で、女性活動家がヒロインに殺人事件の目撃者として coming out してくれと説得しにくる場面があります。娘が巻き込まれるのを案じて「帰って!」という母親に父親が、

 

「最後まで聞いてやれ!」

 

とたしなめます。 さて、これを3語だけでなんていうでしょう。

 

 " Hear on out ! "

 

   なるほどね~。on の根本の意味は 「接触」ですが、「くっついて離れないで→続いている」のも on です。 go on ...ing , carry on , など、「やりつづける」のがon。

 

  out は、「外に出す→全部だす→最後までやる」 というイメージがあり work out (解決する) なんて言い方をします。

 

   Hear on out.  は、on (続けて、止めないで) out (最後まで) 聞いてやれ! ってことなんですね。 on , out といった英語の基本の言葉は simple に、でも言いたい気持ちズバッと伝えますね。

 

 もう一つ同じ映画から。黒人のヒロインが取り乱して泣きじゃくるのを白人の boy friend が抱き寄せて、

 

 「僕がついてるよ。」

 

 これも3語です。さて、なんて言うでしょう。

 

 " I got you! "

 

 これも、 なるほどね~。" I am with you. " って言うより.、get を使うと、相手を包みこんでギュッと守ってる感じが強くでますね。

 

  on, out, get といった英語の basic words が、言いたいことをsimpleに、でも一番ありありと伝える言葉なんですね。

 

  色々難しい単語も覚えても、いわば英語の魂を伝える basic words を自然に使えるようになることが、最後の目標なのかな?って思います。