映画「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」
公式サイト
これはぜひとも観たかった作品。原作も読んで準備万端にしていました。ただし、映画では「ヴィヨンの妻」だけでなく、「思ひ出」「灯篭」「姥捨」「きりぎりす」「桜桃」「二十世紀旗手」など他の太宰作品のエッセンスを加えた脚本なのだそうです。
このような文学作品は完成された作家の世界がまずあるので、太宰治の世界がどれだけ映像として表現されているか、ということになりますが、私は成功していたのではないかと思います。さらに深く、太宰治的ニュアンスまでが正しく表現されていたか、については私は太宰の研究家でないので、よくわかりませんが、しかし映画として良作であると思います。
また、この作品については、原作に触れることが必要となるでしょう。原作を知ることでようやく映画を理解することができるのではないでしょうか。でなければ、映画だけ観たとして、なんだかよくわからない、ストーリーがぱっとしない、などの感想で終わってしまいかねません。
主演の松たか子はすごく良かったし、浅野忠信や、共演者もみな素晴らしかったです。松たか子と広末涼子の組み合わせって初めて見たけど、対照的なキャラクターが役柄によく表されていたと思いました。
吉松隆の音楽にも注目していました。ギターやコールアングレの旋律によるせつない音楽が、決して主張しすぎずに映像に添えられて、十分雰囲気をかもし出していました。ギターを扱える作曲家ってあまりないように思うけど、吉松はギター協奏曲「天馬効果」の作曲家だけあり、さすがギターの扱いは天下一品。今後も映画作品でもっと活躍してほしい作曲家です。サントラ買おうかな。
追伸
サントラの試聴ができるサイトがありました。
http://item.rakuten.co.jp/book/6138524/
映画「空気人形」
公式サイト
http://www.kuuki-ningyo.com/index.html
これは素晴らしいファンタジー映画!心を持った人形のピュアさに観ている者も心を打たれます。
ラブドールを扱った作品は以前にもありました(「ラースと、その彼女」)。優しさが表現されているのは共通していますが、もちろん手法やテイストは全く異なります。
作品全体に哀しみが満たされています。心を持ってしまった人形の哀しさと人間世界の哀しさ。ネタバレになりますが、心を持った人形が、人形である証の体にある線をデパートの化粧部員さんに消してもらい、うれしそうにニッコリ微笑むシーンに、思わず涙が出てしまいました。
表現は全体的にほんわかしていますが、その反面すごく生々しいシーンもあります。あえてそのような刺激的な情景を入れたのだろうな、と思います。特に、ARATA演じるレンタルDVD店員との展開は意外な結末になり「えー…」。同じ是枝監督の「誰も知らない」の終盤をほうふつとさせます。でもラストはうまくまとめてくれました。
なんといっても、主演のペ・ドゥナの演技が素晴らしい。表情や動きが人形そのもの。そしてたどたどしい日本語も役にぴったりです。
若干、表現が男目線で描かれているんじゃないか、と思われるシーンもありました。女性にとっては目を背けたくなるかもしれませんし、嫌悪感を覚える方もいるかもしれません。いろんな意味で、大人向けの作品と言えると思います。いくつかのテーマが深く、しっかりと主張されているのを感じました。観終わったあと、すごく余韻が残る作品でした。
1Q84の続き
村上春樹の「1Q84」の続編が出ることになりそうです。
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100501000031.html
「1Q84」のbook2は、たしかに続きがありそうな終わり方だったけど、ラストとしても十分成り立っていたので、私としてはこのままで終わったほうがいいのでは、と思っていましたが、やはり出ますか、続きが。
そうなるとタノシミですねぇ。でも続きがあったとしても、すっきりしないままのラストになるような気もするけど。