カバー写真のゆうちょ銀行ATMはどうやっておろすんだ?感満載だった。
2025年11月16日の日曜日の話である。
前日は関西からわざわざ遊びに来てくれたパンツ山根さんと大酒飲みブロガーLotusさん、大酒飲み悪友T川氏と4人で飲んだくれた。
せっかく遠路はるばるやって来られた山根さんとの初対面、初飲みの日なので本当は終電を逃して朝まで飲んでもいい気分だった。しかし、駄菓子菓子(パンツ山根さんから盗用)翌日に所用が重なってしまい、私にとっては結構早い時間に帰宅することとなった。
翌朝、布団から起き上がると軽い二日酔いの感覚に襲われたが、これくらいならすぐに回復するだろう。案の定、顔を洗ったり着替えなどをしていると、あっという間に完全回復した。
この日、私には3つの重大ミッションが課せられていた。ひとつは息子が大学の入試を受けるために送迎しなくてはならないということ。これが最も重要なミッションである。膝にケガをしてしまい先日手術を受けたので長距離の移動ができない状態である。電車やバスを乗り継いで行くには少し早いだろうという医師の判断だったので私が車で送迎することにしたのだ。
ふたつ目のミッションは中三の娘が来年の高校受験に向けた模擬試験を受ける日だったので、これまた会場まで送迎するのだ。会場が中途半端な距離の場所にあるため車で送るのが一番良い選択になる。
そして最後のミッションはいつも車で通勤している妻を職場まで送り届ける事。息子の送迎で車を使うので通勤に使われては困る。なので妻も私が送ることにしたのだ。
そういえばガソリンがそんなに入っていなかった。息子の試験会場は文京区なので、そこそこの距離がある。ガソリンは満タンにしておきたいところだ。
妻は7時45分に職場へ着きたいと言った。娘は8時20分に会場に着けばよいと言う。息子の試験は9時50分に開場で10時20分から説明が開始されるそうだ。なんだかクイズのような文章になったが上手に組み立てればすべてうまくいきそうな時間だ。私はなんとなく頭の中でルートを描いておいた。
さあ出発の時が来た!レッツゴー4匹!昨晩はレッツゴー大酒飲み4匹だったが、今朝はレッツゴー家族で4匹、みなで協力し、絶対合格間違いなしのその向こうまで、みんな頼むぞ、吉幾三!
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空は気持ちが良すぎるほどに晴れ渡っている。車に家族4人が乗るのは本当に久しぶりだ。思い返してみたがいつだったかはついぞ思い出せなかった。珍しい4人乗車の車中に、なんとなくみんな気分アゲアゲで会話が弾んだ。
「とりあえずお母さんから送るよ」
私がそう言ってアクセルを踏んだ。十分に間に合う時間に出発したので余裕の到着である。息子と娘が車を降りる妻に向かって声をかけた。
「頑張ってね」
「ありがとう、みんなも頑張ってね!」
妻も笑顔で返した。よし、一つ目のミッションコンプリートだ。
娘の試験会場はここからそれほど遠くはない。受験のコツなどを子供同士で話しているようだ。なるほどと思うような息子のアドバイスを盗み聞きながらハンドルを握っていると、あっという間に娘を降ろす場所に着いた。
「対策通りにね。落ち着いて頑張れ!」
そう声をかけると、娘も笑顔で頷き、手を振りながら背を向け歩き出した。頑張れよ。さあ二つ目のミッションも順調にコンプリートしたぞ。残るは最重要ミッションである息子を受験会場までしっかり送らねば。
おお、と、その前にガソリンを入れなくてはいけなかった。できればいつも入れている地元のスタンドが良い。ちょうどルートからはそんなに外れない場所にあるので、そこで入れて行こう。
最近少しだけ価格が下がった気がするガソリンだが、まだまだ感覚的には高い。行きつけのスタンドはかろうじて150円台という程度の会員価格で満タンにした。よし、準備完了。あとは文京区まで無事に送り届ければ、まずは任務完了だ。
高速で行くことを考えたが、Googleマップで調べたところ一般道で行ったとしても時間にして15分程度しか変わらない。まして受験なので絶対に遅れるわけにはいかない一大事である。高速で事故などに巻き込まれたら万事休す。ここは安全に一般道で行くことにしよう。
日曜日の道路は都心に行くほど空いている。紅葉に包まれる甲州街道を気持ちよく走るとあっという間に着くだろう。甲州街道といえば、その昔、私が世田谷で小売業の店で配達をしていた時に毎日走っていた道だ。その時の思い出話を息子としながらドライブ気分で走る。首都高4号線の下をくぐるとすぐに新都心の背が高いビルが左手に見える。そこをすり抜けるとJR新宿駅の南口とバスタの間を走ることになる。関東に台風などがやって来ると必ずニュースで中継されるあの場所だ。
そこを過ぎると明治通りの手前の交差点で赤信号にひっかかった。右に見える吉野家の地下に飲食店があり、配達をやっていた時は毎日そこに車を停めて荷物を降ろしていた。今思えば信じられないほど車通りが多い場所である。そこから新宿駅近辺の飲食店を数軒回って池袋に行くのがいつものルートだった。
信号が青に変わると新宿御苑の下に通るトンネルをくぐり、四谷を抜けて文京区に向かう。ここから先は初めて走る道が多い。ナビの言うがままにハンドルを切って突き進むと予定時間より少し早く目的地に着いた。フーッ、3つ目の最重要ミッションも見事コンプリート。
「落ち着いて頑張っておいで」
助手席から降りる息子にそう声をかけると、中山きんに君のキメポーズをしながら、お笑い芸人のような誇張した笑顔で笑って見せた。こいつ大丈夫かな?
近くのコインパーキングに車を置いたら思いがけない自由時間を手に入れた。息子の試験が終わるまで、こりゃー行くしかないな。スマホを片手にGoogleマップで「史跡」というキーワードを検索する。ムムッ!あるではないか。迷わず行くとしよう。
生まれて初めて見るような路線。

可愛い電車が走って行った。
そのすぐ横に目的地はあった。えーっと、なになに?フムフム。ここは最後の将軍である徳川慶喜終焉の地と書かれている。慶喜といえば晩年は静岡で暮らしていたという記憶があるが違ったかな?などと思いながらやって来たが、あとで調べてみよう。
とりあえず坂を下ってみる。
最後の将軍が住んでいた屋敷は現在大学院になっているようだ。
なるほど、ここだったか。
このあたりは非常に坂が多く、そこかしこに何々坂といった名前が付けられていた。
おお、玉川上水ができる前に作られた江戸の水源、神田上水路はここを通っていたのだな。源流はなんと三鷹にある井の頭池と書かれている。かなりの距離を通したのがわかる。なるほどねー。
すべてを突破して行く。
その大きなビルのたもとに小さなお稲荷さんがあった。
橋の~下には~神田川。
もう少し歩こう。
アジアンカンフージェネレーション。
おっ!いい感じの白壁が続いているぞ。
なんだか楽しそうだな。
ちょっと見える。
ドーン!
明日ヤルんじゃないぜ!京セラ大阪ドーム、じゃなかった、東京ドーム。
さっき通って来たのは後楽園の塀沿いだったのだ。水戸藩の上屋敷として使われていたそうで、どおりでもの凄い大きさである。
江戸から昭和の街並みへと歩を進める。
今度は石塀だ。ここはさっき来た慶喜が晩年を過ごした屋敷の塀である。ここもものすごく大きい屋敷だったのが分かる。
電車が上を通っているトンネル。
こんなところに服をかけたら、どんなに干しても乾かんガーと言いたくなる謎のハンガー。
遠くに見える自転車のオジサンは大きな声で独りごとを言いながら私の横を通り過ぎて行った。できれば関わりたくないタイプの先輩だった。
聖者の坂、じゃなかった、庚申坂。
その横にポツンと忘れ物が置いてあった。この人、ちゃんと帰れたのかな?
あっちこっちで暇をつぶしているとちょうど良い時間になった。試験が終わる時間に合わせて息子を迎えに正門まで行くと偶然息子のクラスメイトとばったり会った。息子と同じ学校を受験したそうである。あと、もう一人来ているそうなので一緒に帰ろうではないか。
息子は少し遅れて、そのもう一人のクラスメイトと一緒に現れた。試験は全員「まあまあ大丈夫だろう」ということなのでとりあえず駐車場に向かう。まずはお疲れ様。帰りはゆっくり高速で帰ろう。なんだかおかしいが気にしない。
渋滞も全くなく、モクモク、じゃなかった、スイスイ進んで地元についた。息子の友達はそれぞれ路線の違う駅に自転車をとめているそうなので何となく帰りやすそうなそれぞれの駅まで送って行った。時計を見るとそろそろ娘の模擬試験が終わる時間だ。
「迎えに行こうか?」
息子が娘にLINEを送るとすぐに返事が来た。
「ありがとー!」
よし、決まりだ。朝、降ろした場所まで車を走らせると娘はすでにこちらを向いて手を振っていた。
「お疲れさまー、どうだった?」
私がそう質問すると娘が驚いたような声で
「教室に時計がなかったー!お父さんに借りててよかった!アブなかったー!」
娘は時計を持っておらず、朝方私がアナログの時計を貸しておいた。資格試験で大学などに行くと教室に時計がないことが結構あることを知っていた私は、とりあえず娘に持たせたのだが功を奏したようだ。
子どもたちは非常にお腹が空いているというのでマクドナルドに行くことに半ば無理やり決定された。ドライブスルーで好きなものをそれぞれ頼む。先に会計を済ませると、すぐに商品が手渡された。その後、間髪入れずに子供たちが揃って袋を開け、おのおのハンバーガーにかぶり付く様子がおかしかった。そろそろ妻も仕事が終わる時間だ。みんなで迎えに行こう。
朝来た時と同じ場所に車を停めて待っていると、妻が少し息を弾ませながら車に乗り込んできた。
「ありがとー!助かったー」
娘が「ハイッ!」といって紙袋を手渡すと妻が今度は声を弾ませて言った。
「マジでー?ありがとー!今日は天国みたいにシアワセな日だー」
マクドナルドで妻が喜ぶだろうメニューを子供たちが注文していたので、それを手に取りそう言ったのだった。お父さんである私の分は何も買っていないのだが、なんだか今日は本当にシアワセだなと感じる日だ。特に何もなかったのだが、それが特に良かった、そんななんでもない1日だったのである。
ビールをこよなく愛する皆さま
であるからして
やっぱり今宵も
キンキンに冷えたビールで
弥栄ッ!
なのである。
ムフフフフ。