昭和スパナのすべて-2
OEM編
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1.掲載商品一覧
1) OEM(本稿にて解説)
2) 自社ブランド(昭和スパナのすべて-1にて解説)
2. 商品解説(OEM)
1) 自衛隊

①-1 航空自衛隊-1 フラットパネル(大サイズ)
・桜マーク with 横3本線から航空自衛隊向けと分かります。
・航空自衛隊の創設は1954年です。
・一方で、自衛隊はJIS規格品を求めることが多いので、本品はJIS無しながら、1952年から始まるJIS規格が一般化する前の納入と思います。
・したがい、自衛隊創設の1954年直後の納入品だろうと思います。
・アメリカ製の備品(航空機)整備に使われるためインチサイズです。
・自衛隊備品は基本的に外部に流れ出るものでは無いので、私の昭和スパナ・コレクションの中でも特別な逸品です。(ゼロ戦スパナと同時に浜松で入手)
↑1959年『自衛隊年鑑』に掲載の納入実績
・本品のことではありませんが、昭和スパナが自衛隊に納入していたことが分かる唯一の公式情報。
①-2 航空自衛隊-2 フラットパネル(小サイズ) (追加)
・航空自衛隊向け昭和スパナの2本目。
・上のフラットパネル大径のサイズ違いだと思います。
2) 航空機メーカー/戦前
② 共立航空工業向け? (追加)
・戦前または戦中に航空機メーカーで使用されてい昭和スパナです。
・陸軍を示す☆マーク入り工具と共に使用されていたとのことです。
・裏面の昭和スパナ"SDF"ロゴとは別に表面に
の刻印が入っています。
・"井立"または"共立"をデザイン化しているように見えますが、納入先の航空機メーカーを示しているのだろうと思います。
・"井立"と"共立"の名前で航空工場または軍需工場があるかと検索してみたら、国会図書館の所蔵資料より『共立航空工業(株)』という会社が浜松にあったのを見つけました。
・終戦後の官報に『共立航空工業/浜松が1945年12月31日に解散』と載っています。
・残念ながら会社の詳細を示す情報はありませんでしたが、中島飛行機に浜松工場がありましたので、中島飛行機に関連した航空機会社だろうと推察します。
・したがい、このSDFスパナは、共立航空工業向けの可能性があります。
※写真提供…報国515資料館
↓1946年『官報』…共立航空工業の解散
3) 自動車メーカー
3)-1. 日産自動車

③ 日産-1/戦前 ★最初の日産向け?(確度70%) (追加)

・粗い鍛造仕上げ、表示はロゴのみ、スパナ形状が卵型であることより、戦前スパナであろうことは分かっていましたが、どこ向けなのか分からずにいました。
・次の④で
が"NISSAN"刻印とセットで使われていますので、これが日産ロゴだと分かった次第です。
・昭和スパナが戦前からスパナを製造していて、かつ当時のスパナが本品に非常に似ていることから、本品は昭和スパナ製の可能性があります。
・一方で、池田工業の前身会社が戦前に陸海軍向けと共に日産にスパナを納めていたことがHPで公表されていますので、本品は池田工業製の可能性もあります。
↓池田工業のHP
・スパナ部形状、スパナと胴長のつながり方、胴長の断面形状、鍛造仕上げ度合いなど部分毎に比較していくと、戦前の昭和スパナにそっくりなことが分かります。
・昭和スパナ製なのか、池田工業製なのか、形状が似ていることから70:30で昭和スパナと考えるに至っています。
・もし昭和スパナ製だとすれば、昭和スパナと池田工業の2社が戦前にスパナを日産向けに納めていたことになります。
↓戦前の昭和スパナとの比較
↓戦時中、『アサヒグラフ』内の180トラック広告
④ 日産-2 ★戦後最初の日産向け (確度80%) (追加)
・"NISSAN"刻印があることから、日産向けと分かります。
・このモデルより、長方形と円形を合わせた文字無しロゴ
は、日産ロゴであることが分かります。(このロゴは商標登録されておらず、一時的なものだと思います)
・また、大きなアルファベットが戦時中に使用されたとは思えないため、戦後モデルと思います。
・製造元を示す表示はありませんが、戦後の日産向けスパナはほとんど昭和スパナが納めていること、またスパナ形状が戦後の昭和スパナに似ていることの2点から、このスパナも昭和スパナ製の可能性が高いと思います。(確度80%)
・ぶっきらぼうな"NISSAN"表示、並びに戦前から使われている日産ロゴより、戦後最初の昭和スパナOEMと推察しています。
・例えば、終戦直後の1945年11月から再生産を始めたNISSAN180トラックの車載スパナ。
↓戦後1949年、180トラックの広告。
⑤ 日産-3 カタカナ"ニッサン"
・カタカナ"ニッサン"のロゴ入り。
・まるで手打ち鍛造のような表面の粗さに時代を感じます。
・JIS表示が無いことから、昭和スパナがJISを取得した1952年よりも前の世代であり、1950年前後と思います。
・ロゴの向きが逆(左側に大きなサイズのスパナが来る)であること、丸型スパナで形状が大きいこと等より、自社ブランドと同じモデルであることが分かります。
⑥ 日産-4 カタカナ"ニッサン" タペットレンチ 凹帯パネル
・カタカナ"ニッサン"のタペットレンチ。
・インチ仕様であることに注目しています。
・英国オースチン車をライセンス生産した日産/オースチンA50、およびオースチンA50のエンジンを元にした日産製ストーンエンジン搭載のダットサン210の2車種はエンジンがインチ仕様であったため、これに使用するためのタペットレンチだったと推察します。
日産オースチンA50(1954-1960)と、ダットサン210(1957~1959)。
⑦ 日産-5 カタカナ"ダットサン" by Shōwa Spanner ★クロモリ 
・カタカナ"ダットサン"のスパナを探していましたが、やっと見つけました。
・裏面の"Shōwa Spanner"より昭和スパナ製と分かります。
・クラス分け(JIS-N、H、S)がまだ無い時代のJISであることから、1952年~1955年の生産になります。
・大径サイズ、クロモリ鋼であることから、車載用では無く、日産ディーラーの整備工場向けと思います。
・スパナ形状の古さからカタカナ"ニッサン"が先で、次の世代として後から"ダットサン"が登場したと推察しています。
・カタカナ"ニッサン"と"ダットサン"のモデルは珍しく、自衛隊モデルと共に私の昭和スパナ・コレクションの双璧です。
・なお、▭と○を組み合わせたカタカナ"ニッサン"と"ダットサン"、さらに "NISSAN"のロゴ3種がスパナに採用されていますが、"DATSUN"のスパナは見つかっていません。
⑧ 日産-6 カタカナ"ダットサン" by SDF ★クロモリ
・上のカタカナ"ダットサン"に対し、会社ロゴが通常のSDF版。
・JIS-Nになっていますので、1955年以降の製品になります。
・こちらもクロモリ鋼が採用されています。
⑨ 日産-7 文字無しロゴ-1
・カタカナ"ニッサン"と"ダットサン"では製造元(昭和スパナ)が表示されていましたが、世代が新しくなり、フラットパネル+やり型スパナの"NISSAN MOTOR"には製造元が表示されなくなりました。
・しかしながら、下の比較写真から分かるように、昭和スパナ自社製と日産スパナはパネル形状を除けば、全長やスパナ形状、厚み、そしてスパナのやり型形状も完全に同一です。
・したがい、昭和スパナが製造メーカー名を刻印せず、廉価版として日産自動車に納入していたのは間違いありません。
・廉価の手段は、鋼材やメッキのグレード落とし、単純なフラットパネル。
・鋼材グレードを落したためにJIS認証は通らず、JIS表示が出来なくなるので、逆に製造者表示の義務もなくなります。
・なお、終戦直後から1987年末まで日産スパナを作り続けていたことが確認できています。(全体生産量の半分は日産向け)
↓自社製凹尖りパネルやり型との表&裏比較(パネルデザイン以外は完全に同一)
⑩ 日産-8 NISSANロゴ
・日産ロゴ内に"NISSAN"の文字が刻印されているバージョンもあります。(これが一番ポピュラー)
・裏面には、製造記号(本品は"44A")だけが刻印されています。
・3桁(2桁数字+アルファベット1桁)の製造番号は、製造年月2桁+鍛造型等の管理番号1桁と聞いていますので、 ”44A"は19x4年4月生産を示していると思います。
・具体的には、1964年、74年 or 84年のいずれかでしょう。(1954年はカタカナの"ニッサン"または"ダットサン"だったと思いますし、1994年は既に製造を終了していますので)
⑪ 日産-9 文字無しロゴ-2
・非常に希少ですが、ロゴの長方形部が文字無し縁付きになっているタイプもあります。
・裏面の製造年月記号"86B"より1986年2月生産と分かります。
・1987年末の日産スパナ生産終了に向けて、日産スパナだけで無く、生産事業自体を継続するか否か悩み始めた頃の生産かと推察します。
★ロゴ3種の割合(109本の調査結果)
・大半(70%以上)が"NISSAN"ロゴで、文字無し縁付きは1例だけ。
【参考】NISSAN MOTOR by SANKI/北陽産業
・非常に少数ですが、凹丸パネル版があります。
・NISSANロゴは、文字の"NISSAN"が入っていないタイプ。
・裏面の左側に"S"が刻印されていることから、製造元はSANKI/北陽産業と分かります。
・昭和スパナが1987年6月に日産へのスパナ納入を停止した後に別の国内工具メーカーが引き継いだと聞いていますが、このスパナの存在より、引き継いだのはSANKI/北陽産業だったと分かります。
・但し、日産が車両へのスパナ車載自体を程なくして止めたため、SANKI/北陽産業の日産スパナを見かけることは希です。
・裏面右側の製造記号"8K"より、納入開始から約1年後の1988年11月生産と推察します。
※日産スパナのさらなる詳細は、当ブログ内のこちらにて。
3)-2. プリンス自動車工業
⑫ プリンス-1
・昭和スパナ製を示すSDFロゴが表示され、かつJIS-N/普通級になっています。
・JISマーク付きですので、車載スパナでは無く、整備工場向け?
・日産自動車への合併は1966年ですので、この製品は1966年以前の生産となります。(JIS-Nを合わせて考えると1956年~1966年の10年間)
⑬ プリンス-2 (追加)
・上のプリンス-1に対して裏面に丸Kと書いてあるように見える変わったロゴも刻印されています。
・他の日産モデルや昭和スパナのモデルでこのロゴは見ませんので、何を示しているのか不明です。
・"T"を円形状にして"K"を入れ込んだようにも見えますので、Kから始まる鍛工会社??
・なお、製造者記号としてSDFマークが入っていますので、昭和スパナ製は間違いありません。
⑭ プリンス-3 (追加)
・フラットパネルには黒色メッキモデルもあります。
・いわゆる産業向けモデルに見えますので、これもディーラー向け工具かと思います。
⑮ プリンス-4 (追加)
・やり型スパナが登場し、一世代新しくなります。
・一般市販、凹尖りパネルの日産版です。
・やり型スパナですので、JIS-Sになっています。
【参考-1】プリンス by SANKI/北陽産業
・裏面左側の"S"よりSANKI/北陽産業製になります。
・SANKIの日産向けは1987年からですので、プリンス向けも同時期にSANKI製に切り変わったと考えるのが素直です。
・しかしながら、プリンスが日産に吸収合併となったのは、その20年前の1966年ですので、時期が整合しません。
・但し、合併以降もプリンスブランドは継続し、生産工場も販売店もプリンス専用でしたので、車載スパナもプリンス表示が継続していたのだろうと推察します。
・SANKI製プリンスの本品が存在することから、車載スパナが日産向けと共通化されるのは、SANKI製が登場する1987年以降なのだろうと思います。
【参考-2】プリンス by ? (追加)
・製造者記号が無く、工具メーカーが不明のフラットパネルもあります。
・スパナが丸型では無くやり型になっていますので、他のプリンスモデルよりも世代が新しいと思います。
・スパナ形状を見る限り、昭和スパナ製では無さそうです。(KTCのやり型に似ています)
※プリンス向けスパナのさらなる詳細は、当ブログ内のこちらにて。
3)-3. ホンダ二輪/HM
⑯-1 ホンダ二輪/HM by SDF
・ホンダ二輪/HM向けにもOEM供給していました。
・HM車載では10x14mmがポピュラーなサイズで、4社がOEM供給しています。
・古い形式の左側が大きなサイズになっていますが、これは他の3社も同じであることから、ホンダの指示によるものです。
・ホンダHMへはKOWA/興和精機とRK/理研化機工業の2社が主に納入していました。
・さらに、KTCも古くから少量ながら納入していましたので、昭和スパナが入る余地は少なかったと思います。
・なお、4社の中でJISマークを表示させているのは昭和スパナだけです。
・昭和スパナ版は、オークションに1回登場しただけですので、稀少なモデルです。
↑表面1本と裏面5本
・一番上以外は裏面、楕円HMマークは全てのモデルの表面に入っています。
・裏面は上からKOWA、RK、SDF、さらにKTCが2本。
・一番下は珍しいKTCロゴです。
⑯-2 ホンダ二輪/HM by KOWA/SDF (追加)

・KOWA/興和精機は工具商社ですので、自ら製造はしておらず、必ず別会社の工具メーカーが製造元になります。
・JIS認証スパナで無い場合には、製造元を表示する必要がありませんので、全てのKOWAスパナは製造元が分かりません。
・一方、昭和スパナの会社資料に『納入先:興和精機』と明記されていて、かつ昭和スパナはスパナ専業メーカーですので、KOWAスパナのいずれかが昭和スパナ製であることは明らかです。(ホンダからKOWAが受注し、製造を昭和スパナに外注)
・SDFとKOWAで形状が似ているものと言えば、迷うことなく上の⑯-1ホンダ/HMが思い浮かびます。
・RK/理研化器製も同じ形状ですので、ホンダ指定の形なのだと思いますが、同じ鍛造型で刻印を変えるだけで製造対応できます。
・したがい、昭和スパナ⑯-1と同じ形状のKOWA⑯-2が昭和スパナ製だと思います。
・ちなみに、RK/理研化器は製造メーカーですが、工場に鍛造機能が無い様なので、同一形状のRK/理研化器も昭和スパナ製の可能性があります。
・ちなみに、非公式情報ながら新潟/三条の某工具メーカーもKOWAの製造元のようです。(たぶんホンダ二輪/HMではなく、ホンダ四輪)
↓1965年『JIS工場通覧』
・スパナ形状が似ている以外に根拠はありませんが、この稀少なコンビレンチもホンダHM/KOWAだけど、昭和スパナ製なんじゃないのかなあ?
3)-4. メグロ/目黒製作所
⑰ メグロ-1 by Shōwa ★クロモリ (追加)
・"M"と"W"を上下に重ねたロゴよりメグロ/目黒製作所向けと分かります。
・また、"SHōWA"の刻印より、昭和スパナ製と分かります。
・大径の片口スパナ(23mm)。
・クロモリ鋼。
⑱ メグロ-2 メグロのロゴのみ (追加)
・メグロのロゴだけが刻印されたサイズ26mm。
・昭和スパナ製を示す印は入っていませんが、上の⑰と同一形状ですので、昭和スパナ製と思います。
・表の写真しか入手出来ておらず、"SHōWA"や材質は裏面に刻印されているのかもしれません。
・⑰と共に是非とも手に入れたいスパナです。
3)-5. トーハツ/東京発動機
⑲ トーハツ by SDF (追加)
・トーハツ/東京発動機(現トーハツ株式会社)のオートバイ向け車載スパナ。
・SDFマークより昭和スパナ製と分かります。
・フラットパネル、JIS-N。
・リニューアル初稿に『トーハツの昭和スパナがあるはずだ』と書いていたら、ありました。
↓日本でオートバイシェアーNo.1になった1955年のトーハツPK55。
4)自動車整備機器向け
4)-1. 安全自動車/SAFETY
⑳ SAFETY by SDF ★クロモリ
・安全自動車(株)の工具ブランドであるSAFETY向けで、SDFマークより昭和スパナ製と分かります。
・凸帯パネルの断面形状が丸くなっています。
・SDFマークに合わせたのか、JISマークも横向きになっています。
・高級なクロモリ鋼を採用しています。
・インチ仕様、クロモリ鋼であることから、自動車整備機器商社の安全自動車が、1955年以降の1960年代に外車整備向けに販売した高級仕様モデルではないかと推測しています。
・安全自動車はとても歴史のある会社で、戦前には赤トンボ練習機用のグリスガンをアメリカ会社からのライセンスで国産化していて、京都機械/一重丸京経由で海軍に納めていました。
・なお、自動車整備機器の3大商社は安全自動車、バンザイ、ニッサルコ(現アルティア)と理解していますが、昭和スパナはその3社全てにOEM供給していて、販路を広げるべく幅広く営業活動をしていたことが分かります。
↑1960年代のカタログから(安全自動車提供)
・SAFETYと刻印されたモンキーと共にスパナ6本セットも掲載されています。
・スパナに何が刻印されているのか読み取れませんが、年代的にSDFマーク付きのSAFETYだと思います。
4)-2. バンザイ/BTC
㉑ BTC-1 by 楕円SHOWA JIS-H
・バンザイ/BTCには楕円SHOWAでOEM供給しています。
・ちなみに、BTCはBanzai Tool Companyの略。
・フラットパネル、JIS-H/強化級、スパナ卵型。
・JIS-H/強力級は珍しいと思います。(昭和スパナOEMではこのモデルだけ)
・スパナが卵形で、これも古さを感じます。
・JIS-H規格は1955年の制定ですので、1955年またはそれ以降の生産と思います。
㉒ BTC-2 by 楕円SHOWA JIS-N
・上の㉑に対し、JIS-Hでは無く、JIS-Nになっています。
・最初にJIS-N版がバンザイに納入されて、途中(1955年以降)でJIS-Hに変わったと考えるのが素直かと思います。
↓㉑と㉒の比較(JIS-NとJIS-H以外は双子)
㉓ BTC-3 by 楕円SHOWA JIS-N (大サイズ)
・上2種類のBTCと同じフラットパネルですが、大径化(36x41mm)されています。
・バンザイは大型車両用の整備機器も得意としていますが、大型トラックでも41mmの大径は使わないため、工場の設備機器用かと思います。
4)-3. ニッサルコ(現アルティア)
㉔ NISSALCO-1 by 楕円SHOWA & SDF
・現在の日産アルティアの前身であるニッサルコ(日産自動車販売)向けです。
・珍しい凹長方形パネルで、ニッサルコ専用モデルと思います。
・楕円SHOWAとSDFマークの両方が同じ面に刻印された唯一のケースです。
・ちなみに、楕円NISSALCOの商標が使われたのは1957年~1991年。
㉕ NISSALCO-2 by SDF
・丸パネルが短く、ニッサルコ向けの専用モデルです。
・自社ブランドでSHOWA SPANNERのロゴが入った似たモデルがありますが、自社ブランド版は表と裏のパネル長さが異なる一方で、このモデルは表と裏のパネル長さが同一になっているのが相違点です。
↑小サイズでは、Sの中のDとFがただの点になっています。
5) 工具メーカー
㉖ TONE/前田金属工業
・TONE/前田金属工業の第1世代スパナは自社製ですが、第2世代は初期を除き外部のJIS認証取得メーカーに生産委託していたことが分かっています。
・JISではトレーサビリティーの考え方に基き、どの工場/会社で生産したか分かるように製造者記号の表示を義務付けています。
・したがい、製造者記号を見れば、生産メーカーが分かります。(製造者記号が無い場合は自社生産)
・TONEの第2世代スパナで5種類の製造者記号が見つかっています。(5種類…AK、SS、KN、KB、HK)
・製造者記号"SS"が、昭和スパナです。
・"シルバースパナ・スタンダード"という名称で販売していた時期で、1978年~1980年の短い期間になります。(他の4社に較べると生産期間は短かい)
6) 工具商社ブランド
㉗ Victor by 湯浅金物 (追加)
・工具商社の湯浅金物(現・ユアサ商事)が運営するブランド"Victor"に昭和スパナがOEM供給したスパナです。
7) その他
7)-1. ヤンマー
㉘ YANMAR-1 凹丸パネル
・農工機と船外機のヤンマーディーゼル向けスパナです。
・複数種類のスパナを供給しています。
・本品は凹丸パネル。
・凹丸パネルは形状的には一般的に良くあるモデルですが、昭和スパナとしてはヤンマーモデルだけに使用されています。
・表裏ともに浮き出し刻印が非常に綺麗に入っていて、美しいモデルです。
・『スパナは船外機用では無く、農耕機用』と聞いています。
㉙ YANMAR-2 尖りパネル (特殊形状スパナ)
・スパナ平面底部がカットされたように胴長面につながっていて、目を引く特異なデザインになっています。
・ヤンマー向けの専用モデルになっています。
・スパナはやり型ですが、JIS-N/普通級で認証を受けています。
㉚ YANMAR-3 フラットパネル-1 材質刻印/S55C
・フラットパネル、材質S55C、JIS-N。
・材質のS55Cは、S45Cと共に一般的な炭素鋼です。
・このモデルも刻印が非常に綺麗に入っています。
㉛ YANMAR-4 フラットパネル-2 材質刻印なし
・上の㉚と同じフラットパネルながら、材質表示なし。
・ただし、うっすらとS55Cという文字が裏面左側に表れていて、鍛造後にグラインダーで消し、その跡が残っているように見えます。(消した理由?)
・もっとも、S55Cは一般炭素鋼ですので、表示があっても無くても、あまり商品価値とは関係ないかと思います。(重要なのはJIS認証を受けられる硬度であること)
㉜ YANMAR-5 コンビレンチ
・本稿はスパナ編ですが、昭和スパナ製のヤンマー向けコンビレンチが1点だけありますので、一緒に掲載します。
・ブランドはスパナのSDFでは無く、楕円SHOWAになっています。
・同じOEM先に別ブランドで納入するのは何故なんでしょうか?
・なお、自社ブランドも含めてコンビレンチは本品だけであり、稀少なモデルです。
6)-2. ◇興?
㉝ ◇興?向けOEM (追加)
・裏面のSDFマークより昭和スパナのOEMと分かります。
・表面のブランドロゴはぼやっとしか分かりませんが、井桁に"興"または"典"、もしくは"山"に見えます。
・残念ながら、この類いのロゴは見たことが無く、OEM先の会社名は不明です。
・JIS-Sですので、1955年以降で1960年前後の製品と思います。
8) 海外ブランド
㉞ Frank & Warren (追加)
・海外ブランドへもOEM供給していたと聞いています。
・但し、残念ながらブランド名は不明です。
・明らかに昭和スパナ製と分かるものが1点見つかっています。
・アメリカのFrank & Warren。
・スパナ形状と凹尖りパネルが一番ポピュラーな昭和スパナ国内モデルと同一です。("JAPAN"刻印あり)
・なお、同ブランドにはコンビレンチでも"JAPAN"が刻印されたフラットパネルがあります。
・当ブログではコンビレンチの海外ブランドを徹底的に追い掛けていて、約50ブランドが見つかっています。
・半分ほどは製造元が明らかになっていて、残りの半分は製造元は不明ながら "JAPAN"刻印から日本製であることが分かっています。
⇒ コンビレンチの海外ブランド詳細は、こちらにて。
・スパナに関しては、日本製の海外ブランドは少ないと理解しています。
・KTC製のFuller系とSears系、さらに新潟/三条のTOPやAIGO等いくつかのメーカーがコンビレンチと同じデザインで供給しているスパナ、そしてこのFrank & Warrenだけだろうと考えています。
↓Frank & Warrenの日本製コンビレンチ(製造元?)
3.OEM事業について
1) 1959年『日本機械工業名鑑』

・昭和スパナの取引先が10社掲載されています。
・この中でニッサンとホンダ、トーハツ、安全自動車/SAFETY、湯浅金物の5社については実際にOEM供給品があり、本稿にそのスパナを掲載しています。
・このことから、前述の5社は、1959年以前から納入していたことが分かります。
・また、取引先に未掲載ながらOEM品が確認できている3社(ヤンマー、バンザイ、ニッサルコ)は、1960年以降の納入開始ということになるかと思います。
・昭和スパナのすべて-1(自社ブランド編)で説明の通り、1965年時点でOEMが生産の50%以上を占めていますので、OEM供給スパナを解説している13社以外にも多くのOEM供給先があったと考えています。
・したがい、リストに載っている未確認の5社はその候補になります。
・5社について調べて見ました。
(1) 清芝産業(株)
・1969年に現・太洋(株)と清芝産業、東芝自動車部品で合弁会社設立。
・合弁前の1959年当時の清芝産業の業務内容に関する情報は見つかりませんでした。
・また、東芝自動車部品にスパナがある可能性がありますが、どのような商品を取り扱っていたのか情報がありませんでした。
(2) くろが工具(株) ⇒ くろがね工具の間違え思います。
↓1958年『工作機械と工具年鑑』
・取引先に昭和スパナが入っていて、かつ自動車整備用機械工具を作っています。
・したがい、くろがねブランドの販売用スパナ、またはくろがね製機械に付属するスパナがあるのだと思います。
(3)~(5) (株)長谷部商会、(合)平林商会、中村金属(株)
・ネット上ならびに国会図書館に会社情報無し。
2) 1965年版『工作機械と工具名鑑』
・⑯-2 KOWA/SDFで使用している資料です。
・主要納入先の内、日産、興和精機、安全自動車、湯浅金物のスパナは本稿で取り上げています。
・残りの5社について。
(1) 荏原工業
・該当する荏原工業(株)は2つあり、ポンプメーカーとして有名な荏原製作所の代理店と、イスズに装備品を納めている自動車特殊整備工具の製造会社。
・ポンプに付属する工具の可能性もありますが、後者の整備工具会社の方が可能性が高いと思います。
・整備工具会社がスパナを作っていたかの情報はありませんが、EBARAブランドのスパナは時々見かけます。
・昭和スパナとはスパナ部形状がちょっと異なる様な気もしますが、下の写真モデルが昭和スパナの可能性があります。
↑1962年『機械と工具名鑑』
↓1957年『いずず自動車史』
(2) 共立農機
・農耕機具のメーカーで、チェーンソウなどを作っています。
・機械に付属する工具を納めていたのかもしれません。
(3)~(5) 山崎商店、共和機器、長谷部商会
・作業工具に関連する情報は見つかりません。
昭和スパナのすべて:1.自社編 ⇒ 2.OEM編(本稿) ⇒ 3.調査顛末
この回、終わり






































































