昭和スパナのすべて-1
自社編
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戦前から50年間に渡って多彩なスパナ群を世に出し続けてきた昭和スパナを徹底解説します。
戦前1938年/昭和13年にスパナ専業メーカーとして創業。
戦後も一般販売だけでなく日産等へのOEM納入も盛んに行っていて、昭和の最後の最後まで活躍していました。
1968年時点でのスパナ生産量は30万丁/月で、日本最大を誇っていたとのことです。
商品群も多彩で、パネル形状で23種類もあり、他に類がありません。
スパナでJIS認証を最初に取得した7社中の1社であり、歴史も実力もある会社です。
そして、昭和が終わる直前の1988年/昭和63年6月にスパナ需要(生産量)の低下を受けてスパナ製造を終了し、不動産管理に事業転換。(社名変更して不動産会社は現存)
会社名『昭和スパナ製造』の通り、まさしく昭和を駆け抜けた会社でした。(今時の言葉で言えば、"昭和レトロ"そのもの)
商品を良く見かける割には会社名を含めて会社の詳細がほとんど分からず、調査で悪戦苦闘しましたが、国会図書館という伝家の宝刀により全貌が判明しました。
1. 会社情報
・1938年/S13年7月…『昭和鍛造工業所』を創業。
創業者の千葉壬驥(じんき)氏は蚕糸製造器等で特許を持つ発明家で、蚕糸製造器の千葉製作所(鋳造業)を1937年4月に設立すると同時に、3ヶ月後にスパナを主要商品とする鍛造メーカーとして『昭和鍛造工業所』を創業。
・1939年/S14年…スパナが広告に登場
・1940年/S15年…『昭和スパナ製造所』に改名。
昭和鍛造工業所に関する資料は1941年までしか無く、代わりに1940年から昭和スパナ製造所が登場していることから、1940年に昭和スパナ製造所へ改名と解釈。
・1942年/S17年4月27日…"SDF"を商標登録。(登録番号…352046)
昭和鍛造/Showa Drop Forge ⇒ "SDF"
- - - 終戦
・1949年/S24年7月21日…『昭和スパナ製造所(株)』として株式会社化。
戦後の統制経済の中で関東信越(東京圏と新潟、長野)では作業工具として唯一の指定工場(優先的に物資入手)として終戦後すぐに操業を再開し、その経済統制法の終了後に株式会社化。
・1952年/S27年頃…さらに『昭和スパナ製造(株)』に改名。
・1952年/S27年11月15日…スパナでJIS認証を取得。(最初に取得した7社中の1社)
・1987年/S62年末…日産へのOEM供給を終了。(同時に生産事業終了を決定)
・同年11月10日…事業廃止を理由としてJIS返上。
⇒ 詳細は、本稿内のこちら。
・1988年/S63年6月…工場生産の完全終了。(不動産管理業に事業転換)
↓会社名が異なる戦前からの広告3種(1939年、1941年、1968年)
※本稿では3社を総称して"昭和スパナ"と呼びます。
2. 商品情報
1) ブランド(ロゴ)…基本5種類
・国内:SDF、輸出:SHOWA、タペットレンチ:SHōWA SPANNERが基本。
・ロゴ同士の合体もあり。(例:SHōWA SDF SPANNER)
・"SPEAR KING"というクロモリ使用のブランドも。(現物未入手)
2) OEM
50%が他社向けOEM。(1968年時点)
・自動車メーカー向け…ニッサン、ホンダ、ヤンマー
・工具商社向け…バンザイ、ニッサルコ、安全自動車(自動車整備機器の3大商社)
・自衛隊(桜マーク)
・製造者記号のみを表示させて、他の工具メーカーへも
⇒ OEMの詳細は、こちらにて。
3) 輸出
・22%が輸出。(1968年時点)
・SHOWAブランドでアメリカ向けに輸出していました。(楕円SHOWAと文字だけSHOWAの2種類)
・今でもヤフオクよりもアメリカebayの方が多く出品されています。
★パネル形状一覧表(全23種)
3. 掲載商品一覧
昭和スパナは、商品が多彩で、全体像を理解するのが難しくなっていますが、3要素(ブランド、パネル形状、スパナ形状)で分類すると分かり易くなります。
これまでに63種類(自社ブランド29種、OEM34種)のスパナが見つかっていて、それを3要素で分類したのが下表です。
商品解説は、この一覧表の掲載順に行います。
・第1要素…ブランド(ロゴ)5種類
・第2要素…パネル形状(基本モデル)23種類
・第3要素…スパナ形状3種(第1世代…卵型、第2世代…丸型、第3世代…やり型)
なお、クロモリ製が11種もあり、昭和スパナは鋼材にも拘っていたようです。
1) 自社ブランド
2) OEM(別ページの昭和スパナ製造ー2にて解説)
4. 商品解説(ブランド別、さらにパネル形状別)
1)-1. フラットパネル
① 戦前 ★最初の昭和スパナ (追加)

・なんだかんだで200本以上の昭和スパナが手元にありますが、シンプルなフラットパネルにSDFロゴだけが刻印されているのは本品だけです。
・また、鍛造表面が粗く、スパナも卵形で、年代の古さを感じます。
・さらに、1941年広告のスパナが本品にそっくりです。
・SDFロゴが少し左寄りなのも一致。
・したがい、本品は昭和スパナ製造(旧・昭和鍛造工業所)の広告スパナそのもので、最初の昭和スパナ製品だと思います。
↑広告スパナの拡大
↓1941年『東京市商工名鑑』の広告
【①-参考】戦前(たぶん"共立航空工業"向け) (追加)
・戦前の軍向けスパナとセットで航空機工場で使用されていたと言われているスパナです。
・裏面にSDFロゴがあり、前述の戦前広告にあるスパナ①のOEM版と思います。
・表面に
の刻印が入っていて、"井立"または"共立"のデザイン化に見えます。
・"井立"または"共立"という名称の航空機工場があったかを調べたところ、『共立航空工業(株)』という会社が浜松にあったのを見つけました。
・終戦直後の官報に『共立航空工業/浜松、1945年12月31日解散』と載っています。
・浜松には中島飛行機がありましたので、その関係会社だろうと推察します。
・したがい、このスパナは、昭和スパナ/SDFが製造し、共立航空工業向けに組立整備用工具として納入したものと推察します。
※昭和スパナ-2 OEM版に官報を含む本品の詳細を掲載。
② フラットパネル JIS-H (追加)
・JIS-H/強化型のフラットパネルです。
・サイズ10x14でL=140であり、1957年改定後のJIS規格に合致する長さですので、1957年またはそれ以降の製造と分かります。(1956年までのJIS規格ではL=125)
・戦前モデルはSDFフラットパネルだけだったと理解していましたが、戦後のSDFフラットパネルはとても珍しい存在です。(見つかっているのは本品だけ)
・また、JIS-Hも珍しく、本品とバンザイ向けOEMの楕円"SHOWA"フラットパネルの2種類だけです。(他はJIS-NまたはJIS-S)
1)-2. 凸帯パネル
③ 凸帯 JIS無し-1 ★戦後第1号モデル
・凸帯パネル、卵型スパナ、JIS無し、裏面無刻印。
・JISマークが入っていないことから1952年以前のモデルになります。
・さらに、以下4点の理由より、昭和スパナの戦後第1号商品と考えるのが妥当だと思います。
(1) スパナデザインが第1世代と言える卵型
(2) 同じ卵型でもこのモデルだけ異様に大きい
(3) 裏面には何の刻印も無い(のっぺりとしていて如何にも古そう)
・株式会社化した1949年頃、またはそれ以前で終戦直後の可能性もあると思います。
・ブランドロゴを表にして置くと、一般的には(95%以上の場合)小さなサイズの方が左に来ますが、このモデルは大きなサイズが左に来ます。
↑ホルダー付き3本セット。(レトロなネジ付きホルダーが素敵です)
↓その3本セット
↑1950年前後ながらメッキ版(亜鉛メッキ?)もありました。(ミリサイズ)
★スパナの向きとスパナ規格の関係
・ブランド表示のある面を表にすると、左側には顔を下に傾けた小さい方のサイズが来るのが普通です。(メーカーを問わず95%以上に当て嵌まります)
・但し、日本の古いスパナでは左側に大きい方のスパナが来ることが良くあります。
・昭和スパナも同様で、上の写真の通り同一パネルで同一サイズのモデルながら、新旧で向きが異なっていて、何故だろうと長く疑問に思っていましたが、JIS25社の再まとめをしていて理由が分かりました。
・スパナJIS規格は1952年に制定されて、1957年に長さ等の改定が行われています。
・最初の1952年規格のイラストでは左が大きい方のスパナになっていて、1957年の改定時に小さい方が左に変わっています。
・JIS規格のイラストに素直に従った変更なのだろうと推察します。
・ちなみに、1952年JISは、戦前にあったJES規格を踏襲していて、イラストも大きい方が左側に来ています。
・さらに、その戦前JES規格はドイツのDIN規格を参考にしていて、そのDIN規格で大きい方が左に来るイラストになっているのです。
・ちなみに、ほとんどのメーカーは最初から小さい方を左にするデザインを採用していますが、戦前からの工具メーカーでは1932年のJES規格イラストに従っていて、1957年JIS改正まで踏襲していたのだろうと思います。
↑DIN規格 ⇒ JES規格1932年
↓JIS規格1952年 ⇒ 1957年(規格上で始めて小さい方が左側に)
④ 凸帯 JIS無し-2
・上の③に対しスパナ形状が卵型から丸型に変わったモデルです。
・JIS表示もありません。
・ただし、こちらには裏面に材料表示があり、③より新しいようです。
⑤ 凸帯 縦向きJISマーク ★最初のJISモデル (追加)
・表面にはSDFロゴだけ、裏面にはJISマークだけという珍しいSDFスパナです。
・JISマークが縦方向に刻印されているのは、さらに珍しいと思います。
・昭和スパナ最初のJISスパナだろと思います。
・JISマーク付きで、かつJIS-N、S、Hのクラス分けがされていませんので、1952年~1955年の生産期間が短い製品と分かります。
⑥ 凸帯 JIS-N
・上の⑤に対し、JIS-N認証を受けているのが大きな変更点ですが、同じ卵型ながら表面仕上げがクロームメッキに変更されていて、一世代新しいのが分かります。
・前述の通り、スパナの向きも異なります。(左側が小さいサイズ)
★スパナ形状3種類
・左から卵型、丸型、やり型。
・丸型のみ19mmですが、卵型とやり型の3/4インチは19.05mmですので、同一サイズでの比較です。
・やり型は見分けが簡単ですが、卵型と丸型は似ているので見分けが難しくなっています。(卵型は下ぶくれ)
・丸型とやり型はJISで規定されたスパナ形状ですが、卵型は私が勝手に付けた名前であり、丸型に対し横に少しワイド(下ぶくれ)になっている時に使っています。
1)-3. 凹帯パネル
凹帯パネルにはパネルの形状違いで、"尖り"⑦~⑨、"帯"⑩、⑪、"平行四辺形"⑫の3種類があります。
⑦ 凹尖り-1 JIS無し
・凹尖りパネル、SDFマーク、JIS無し、丸型スパナ。
・凹帯パネルの左右端が少し尖った形になっていますので、"凹尖り"と呼称します。
・凹尖りパネルは、昭和スパナで最もポピュラーなモデルになっていて、本品で始まり、会社の最終期まで作り続けられます。
・本品はインチサイズのJIS無しモデルになっています。
・JIS無しですので、昭和スパナがJIS認証を取得した1952年よりも前の製品になると思います。
・もしくは、インチサイズなので、敢えてJISマークは入れなかった?
⑧ 凹尖り-2 JIS-N
・上のJIS無しに対しJIS-Nが追加されたモデル。
・スパナが丸型であることから、凹尖りパネルの初期モデルと思いますが、JIS-Nという表示がJIS規格で制定されたのが1955年ですので、それ以降のモデルになります。
・そして、次の⑨は1957年制定のやり型スパナになりますので、このモデルは1955年~1957年頃の短期間モデルと推測します。
・さらに、JIS-Nでは無く、JISだけのモデル(1952年~1955年製)が、この凹尖りパネルにはJIS無しとJIS-Nの間にJISだけモデルがあった可能性があります。
・インチながらJIS認証を取得していますが、JIS規格が制定された1952年から1977年まではインチサイズでもJIS認証を受けることが出来ています。
↑ネジ付きホルダーの6本セット
⑨ 凹尖り やり型-1 JIS-S /Chrome Alloy ★最量販モデル
・凹尖りパネルでやり型スパナ。
・昭和スパナで一番出回っているモデルですので、"The 昭和スパナ"になります。
・上の⑧に対してスパナがやり型にモデルチェンジされています。
・やり型スパナなので、JIS-S刻印になります。
・ミリとインチ両方の設定が確認できています。
・一番ポピュラーなモデルですので、セットで揃えてみようと思い、中古工具屋さんに行ってみたら、1カ所ですぐに綺麗な4本を入手できました。
・簡単に入手出来たのは、昭和スパナの普及度が高いことと、この凹尖りパネル+やり型スパナが最量販モデルだからなのだと思います。
⑩ 凹尖り やり型-2 JIS-S /Chrome Vanadium (追加)
・凹尖り/やり型モデルの裏面刻印は、ほとんどがChrome Alloy+JIS-Sです。
・したがい、⑨-2~4は、非常に珍しい存在です。
・⑨-2は、Vanadiumが追加された鋼になり、Chrome Vanadium。
※写真、差し替え予定。
⑪ 凹尖り やり型-3 JIS-S /クロモリ (追加)
・材質がクロモリ鋼になっています。
・ほとんど見かけませんので、超貴重な逸品と思います。
・採用鋼に3種あることが分かります。
*⑨-1…Chrome Alloy(ほとんど全て)
*⑨-2…Chrome Vanadium(少数)
*⑨-3…Chrome Molybdenum(ごく少数)
・ちなみに、やり型スパナのためJIS-Sになっていますが、規格ではJIS-H強化型と同じ固さになっています。
※写真、差し替え予定。
⑫ 凹尖り やり型-4 JIS無し (追加)
・インチサイズでJIS無し。
・国内で見つけていて、"JAPAN"刻印もありませんので、国内向けと思います。
・インチサイズでも1977年まではJISマークを付けることが出来ますが、敢えて付けていないのだろうと思います。(もしくは、本品は1977年以降?)
⑬ 凹帯パネル-1
・凹帯パネル、JIS無し、卵型スパナ。
・凹帯パネルが左右端までストレートで、まさしく凹帯パネルです。
・やり型の設定は無く、インチ仕様で、かつスパナが卵型であることから、ごく初期だけに存在したモデルと思います。
⑭ 凹帯-2 やり型スパナ クロモリ
・凹帯パネル、JIS-S、やり型スパナ、クロモリ鋼
・上の凹帯⑬に較べて凹帯の幅が広くなっています。
・やり型+JIS-Sであり、最もポピュラーなモデル⑨とコンセプトが似ています。
・⑨と同時期モデルになりますので、売り分けはどうしていたのでしょうか?
・クロモリ鋼だけが見つかっています。
1)-4. 凹平行四辺形パネル
⑮ 凹平行四辺形 JIS-N クロモリ
・凹平行四辺形パネル、JIS-N、丸型スパナ。
・凹帯⑬と同様に初期モデルと思います。
・こちらはクロモリ鋼を使用した高級モデル。
・クロモリ鋼ながら、JIS認証は普通級のN。(JIS-H/強化型に出来そうですが)
・中央に刻印されている"B-102"は商品シリーズを表していそうで、上の⑬ "D-102"とも関連がありそうです。
・⑬と本品共にインチサイズであること、やり型の設定が無いことから、B-xxxやD-xxxは初期商品シリーズの呼び方なのかもしれない。
1)-5. アングルスパナ
⑯ アングルスパナ JIS付き (追加)
・SDFのアングルスパナ。
・小サイズのこの1本しか見つかっていませんので、サイズ展開が分かりません。
・是非ともカタログを見つけて確認したいところです。
2) ブランド:文字だけSDF
⑰ 凹帯やや尖りパネル JIS-N 文字だけSDF
・凹帯やや尖りパネル、アルファベットSDF、JIS-N、やり型スパナ。
・⑨の凹尖りパネルに対し、やや尖りの帯パネルになった独自のデザインです。
・⑨と同じ様なモデルながら、ブランド/会社表示が
では無くて、文字だけのSDF。
・裏面には材質表示も無く、JIS-Nの表示だけ。
・表面仕上げはクロームメッキでは無く、安価な亜鉛メッキのようです。
・実にあっさりとしていて、質実剛健なスタイルですが、商品性を訴える力はありません。
・特定ユーザー向けOEM品ならありえるスタイルながら、SDFというブランド名(会社表示)が表面にありますので、一般向け市販品と考えられるますが、これで売れるのか心配になってしまいます。
・可能性として2通り考えらます。
1) 産業機械等の付属品。
2) 安価優先で大小サイズを組み合わせた市販品 。(今の時代で言えば、量販店で良く見かける6本で千円以下のインド製の類い)
・いずれにしても、JIS表示がありますので、JIS規定により製造者記号の表示することになり、簡便な文字だけSDFを刻印したのだろうと思います。(一般市販品との差別化で、
の使用は避けた?)
・ちなみに、やり型スパナながらJIS-Sでは無くJIS-Nであり、材質を落とすなど硬度をJIS-Nクラスにして原価を抑えているものと思います。(メッキも安価仕様)
・どう解釈すれば良いのか悩むモデルですが、昭和スパナ自身も商品作りに悩んでいたように感じます。
↓ポピュラーな⑨との比較(凹帯パネルの左右端尖り度合いが異なります)
3) ブランド:楕円SHOWA
⑱ 楕円SHOWA-1 JIS-N(国内専用)
・楕円SHOWA + JIS-N、JAPAN表示無し、スパナ丸型。
・楕円SHOWAはアメリカでも多く流通していますが、このモデルにはJAPAN表示が無いことから、日本国内専用モデルと分かります。
(法令により海外に輸出する日本製にはJAPAN表示が必要)
・スパナ形状は、一世代古い丸型になっています。
・JIS-N表示であることから、1955年以降の製品と分かります。
⑲ 楕円SHOWA-2(アメリカ専用)
・楕円SHOWAだけのシンプルなモデル。
・JAPAN刻印、JIS表示無し、インチサイズより、輸出専用と分かります。
・今でもebayに豊富な出品があり、アメリカに数多く流通していたことが分かります。
⑳ 楕円SHOWA-3 with JTF(アメリカ専用)
・上の⑲に対し楕円SHOWAの右側に"JTF"が付随しています。
・JTFの意味は不明で、何かの規格、昭和スパナのアメリカ向けのブランド名、または販売を担当するアメリカの工具商社名??
・アメリカの工具解説サイトAlloyArtifactに本品の解説が掲載されています。
㉑ 楕円SHOWA-4(国内、輸出共用)クロモリ
・楕円SHOWA、JAPAN表示、JIS表示無し、スパナやり型、クロモリ鋼。
・クロモリ鋼を使用していることから高級仕様になっています。
・入手したのはインチサイズ。
・JAPAN表示がありますので、輸出にも使用できますが、このモデルは国内で入手していますので、輸出と国内の両方で販売したものと思います。(今のところ、アメリカでは見つかってはいません)
・商品の成り立ちとして、以下の2通りが考えられます。
(1) JISマーク表示が無いことから、JIS規格からインチが除外された1977年以降の製品。
(2) JAPAN表示があることから、アメリカ輸出専用としてJIS表示不要で生産したが、日本市場にも一部を出荷。⇒ たぶん、後者が正解。
・未使用で綺麗な5本セットのホルダー付き。
・何故か2年前に無意識で入手していました。(このブログを書きながら、『未使用のセット品を1種類くらいは欲しいな』と思っていたら、奥から出て来てビックリ)
4) ブランド:文字だけSHOWA
㉒ 文字だけSHOWA(国内、輸出共用)
・文字だけSHOWA、スパナやり型。
・1インチ越えの大径スパナ。(1+1/4インチ≒32mm)
・アメリカで写真を見つけましたので、JAPANの刻印があるはず。(裏面は未確認)
・日本でも見かけたような記憶があります。
5) タペットレンチ(ロングスパナ)
スタンダードスパナに対するタペットレンチ(ロングスパナ)として括ります。
㉓ SDFマーク/初代タペットレンチ (追加)

・日産向けタペットレンチの自社ブランド版?
・日産向けと自社版のどちらが先に登場したか分かりませんが、いずれにしても昭和スパナで最初のタペットレンチと思います。
㉔ 楕円SHOWA 厚形 スパナ根元曲がり
・厚みのあるタペットレンチ、ロゴは楕円SHOWA、丸型スパナ。
・スパナ部に回転方向オフセットが無く、メガネと同じように片側を浮かせるためにスパナ部根元で曲げが入っています。
・特殊形状であることから、特定の車両/機器用に設定された可能性も考えられます。
・厚みが5.0mmありますので、締付時に安心感があります。
㉕ 楕円SHOWA+裏SDFマーク(ダブルロゴ)
・薄型タペットレンチ、楕円SHOWA、裏にSDFマーク。
・楕円SHOWAとSDFマークのダブルロゴはほとんど無く、珍しい存在です。
・さらにSDFマークが横向きでは無く、登録された商標と同じく正立しているのも珍しい。
㉖ 楕円SHOWA+裏SDFマーク(ダブルロゴ)クロモリ
・上の㉕に対し、クロモリ鋼を使用。
・t=2.6mmと薄いため、クロモリ鋼で固めにしたのだろうと思います。
・中央部が表裏共に凹パネルで0.5mmづつへこんでいるため、最薄部はわずか1.6mm。
㉗ SHōWA SPANNER+裏SDFマーク(ダブルロゴ)クロモリ
・薄型タペットレンチ、SHōWA SPANNAR、裏にSDFマーク、クロモリ鋼。
・上記㉒、㉓とは別デザインのタペットレンチ。(厚みは同じ)
・㉓と同様にクロモリ鋼を使用。
・実は、当初SHOWA SPANNERと楕円SHOWAは別会社かもしれないとも考えていたのですが、このスパナを見つけ、SDFマークが共通して使われていることから、2つのロゴ(楕円SHOWAとSHOWA SPANNER)は同一の会社だと確認出来た次第。
・それにしても、同じタペットレンチでのブランドSHOWA SPANNERと楕円SHOWAの使い分けは何なのでしょうか?
・品番…T-9xM?
☆SHOWAの"O"が3種類
『o』、『ō』、『O』⇒SHoWA、SHōWA、SHOWA
・ロゴが5種類あることに加え、さらに字体が3種類もあることから、ブランドIDの考え方がまだ確立されていなかったのが分かります。
・実際に、私はSDFと楕円SHOWA、さらにSHOWA SPANNERの3ブランドが同じ会社製であると確信できるまで時間が掛かりました。
㉘ SHōWA SPANNER+SDF(ダブルロゴ)クロモリ仕様 
・タペットレンチでは無く、ロングスパナ。
・クロモリ鋼。
・表と裏の凹丸パネルが全長に対してかなり短めで、かつ凹丸パネルの長さが表と裏で異なる珍しいデザインです。
・ロゴ"SHOWA SPANNER"の文字間に、また別のロゴ(SDFマーク)を挟んでいます。
・1968年の広告に登場します。
↓1968年『標準化と品質管理』内の広告
㉙ SHōWA SPANNER+SPEAR KING(ダブルロゴ)クロモリ仕様
・"SHōWA SPANNER"の間に"SPEAR KING"が挟まれています。
☆上の"SHōWA SDF SPANNER"と同じクロモリ製ながら、より高級な昭和スパナ独自ブランドとして"SPEAR KING"が設定されたとのこと。
・なお、裏面には昭和スパナを示すSDFマークも入っていますので、正確にはトリプルロゴです。(SHōWA SPANNER、SDF、SPEAR KING)
・トリプルロゴになると何が何だか分からなくなります。
・ブランド名がSPEAR KINGで、SHōWA SPANNERが会社名と考えると、裏面のSDFマークは不要です。(コーポレートIDに基づくブランディングの考え方がまだ希薄な時代でした)
5. スパナ製造終了と当時の状況
・車載スパナのOEM納入が売上げの半数以上を占めている中で、1980年代後半に入ってから1台の車載スパナ本数が少なくなっていき、スパナ生産量が減少。
・さらに、OEM納入先の大手から原価低減要望が強くなる中で、販価を落とすと事業として成立しなくなるため、生産事業自体の停止を前提にOEM納入継続を断念。
・1987年/昭和62年末にOEM納入を終了。
・同時に、同年11月に事業廃止を理由としてJIS認証も返上しています。
![]()
・半年間だけ一部の自社ブランドの生産は続けたものの、翌1988年/昭和63年6月にスパナ生産を完全に終了し、工場閉鎖。
・そして、工場跡地等の不動産管理業に事業転換。(社名変更した不動産会社が現存)
・東京都内の人口過密地にある工場として騒音対策には苦労していたでしょうから、いずれ移転を余儀なくされることは明らかであり、潮時と捉えたのだろうと推察します。(騒音対策の努力については【巻末】の資料-6にて)
・なお、日産への車載スパナ納入は、他の工具メーカーに引き継がれたとのこと。
・その後の車載スパナ実物から判断する限り、一般車両向けはSANKI/北陽産業が引き継いだと理解しています。
・但し、自家用車へのスパナ車載自体が無くなり、SANKI製の日産スパナは長く続かなかったようです。
・また、昭和スパナ生産終了の翌年1989年からのインフィニティーQ45とプレジデント向けの車載キットをKTCが担当しています。
※この項は、当時の関係者の方からの情報を基にしています。
【巻末】昭和スパナの会社紹介資料
★資料-1:戦前の会社紹介…1940年/昭和15年『全国工業人名鑑』
★資料-2:1965年『JIS工場通覧』

★資料-3:1961年『重工業品輸出ガイドブック』
★資料-4:実用新案例
"昭和スパナ製造"で特許、実用新案を検索すると4件ヒット。
その内、スパナ絡みは1985年公開の1件のみ。
スパナ部のサイズ表示部を色分けすることで、スパナ探しが効率的になるというもの。
実際には製品に採用されなかった模様。
↓検索でヒットした4件
★資料-5:1968年『わが社はこうして繁栄した』
金属製品のモデル工場としての会社紹介。
★要約
・企業規模…従業員86名、月産30万丁、資本金500万円
・業態…スパナ専業メーカー(国内専業メーカー大手5社中で売り上げトップ)
・製造割合…国内向け自動車搭載用:50.7%、輸出:22.3%、市販:17.4%、その他:9.6%
・輸出仕向地…アメリカ90%、台湾10%
★資料-6:1960年『わが社はこうして繁栄した』
品質管理に特化した会社紹介。
★資料-7:騒音対策
鍛造工場はドスンドスンと鍛造音を出すのは致し方の無いところですが、昭和スパナは東京都内の住宅地に工場があり、騒音対策に苦労していたと思います。
1979年にその対策として、空気バネで支えた浮き床に鍛造機を据え付けることで鍛造時の振動を和らげ、騒音を減らす努力をしていたようです。
↓1979年『ポリマーダイジェスト』































































