徒然なるままに -3ページ目

映画「アウトレイジ」観ました(一部ネタバレ含む注意)

チネチッタで、映画「アウトレイジ」を観てきました。
かなりの大きさのシアターに、かなりの観客の入り。
でも満員というほどでもない。

映画が終わった後の観客のリアクションが楽しい。
無言だったり、
いかにも嫌そうな顔をしていたり、
暗い顔をしていたり。
楽しそうな人が私以外一人もいなかった気がするのがさらに楽しい(苦笑)
日本人には、こうしたフランス映画的リアリズム(ハッピーエンドではない)って結構嫌いな人が多いよね。(特に川崎近郊の観客はそういう人が多いようだ)
しかし私はこうした作風が大好きなのだ。
好きな人と嫌いな人がはっきり分かれる作風。
生々しくえげつない、現実風刺に溢れる悪人が大好きだ。
暴力シーンばかりではなく、適度にブラックジョークが散りばめられていて、そうしたところもとても楽しい。(笑った人は私を含めて数人くらいしかいなかったようだけれど)

大衆受けを狙った安易な感動作というものはどうも私には微妙に感じてしまって、なかなか楽しめないのだ。
純文学を好んで読んでいる人は、こういう作風がツボの人も結構いると思う。

でも、キタノ映画のヤクザ物は鉄板ということもあって、
やはりちょっとベタな部分がいくつかあって、
登場人物の悪人ぶりだとか、一番の見どころである殺されるシーンだとかはとても楽しいのだけれど、
「あ、ここはこうなるだろうな」と思ったところは「やっぱり!」と思ったり。
一番面白い見せ所はそのパターンしかない、というのが分かっているから、そうなるのは分かるんだけど、もうちょっと「驚き」の要素があるともっと嬉しいかな、と思ったり。

他の映画作品と比較するのはアレかもしれないけれど、
映画「告白」のあのはっちゃけ具合と較べると、「アウトレイジ」は「BROTHER」などで既視感があるぶんだけ、印象としてはちょっと弱いかな、と思ってしまった。

以下、5段階評価。

■アウトレイジ(2010年日本)
ジャンル:邦画/ヤクザ物/サスペンス/アクション/リアリズム
ストーリー:★★★★
キャラクター:★★★★★
意外性:★★★
癒し:★★★★
音楽:★★★★★
総合:★★★★

【映画】個人的な備忘録(53)

以下は、あくまで個人的な備忘録。

最近観た映画(旧作)
「ハチミツとクローバー(評価3)」
「ココ・シャネル(評価2)」
「ピアノの森(評価3)」
詳しい感想はツイッターにて。

【映画】個人的な備忘録(52)

以下は、あくまで個人的な備忘録。

最近観た映画(旧作)
「リアル鬼ごっこ」(評価2.5)
鉄腕DASHやフジテレビでやってた鬼ごっこと、
「バトルロワイヤル」とかを混ぜたような感じ。
なんだかマンガ的(あるいはラノベ的)。若い人向け、といった印象。
展開がいかにもなマンガ的で、私はどうも好かない。
(人がどんどん死んでいくこと自体は別に良いんだけど、ストーリー展開がどうも簡単な気がして、なんか微妙に感じてしまう)
もっとストーリーをしっかり付けて、ハラハラ感溢れるスリリングな、迫力ある映像とかをもっと出せば、娯楽映画としてはもっと面白くなるかもしれないんだけど。こういう簡単な作風が好きな人には楽しめるのかもしれない。

【映画】個人的な備忘録(51)

以下は、あくまで個人的な備忘録。

最近観た映画(旧作)
「HANA-BI」(評価4)
面白かった。北野武監督の新作も楽しみ。

「SEX AND THE CITY」(評価3)
恋も仕事も頑張りたい女性のための物語、なのかも。
私はこの映画自体はそれほど好きではないのだけれど、
恋に仕事に、頑張っている女の子は応援したくなります☆
情熱を燃やし、輝いている女性は、いくつになっても女の子なのだ。

映画「告白」観ました(一部ネタバレ含む注意)

チネチッタで、映画「告白」を観てきました。
かなりの大きさのシアターに、かなりの観客の入り。
今日のチネチッタの日中は全体的に混んでいた気がする。

若干過剰描写に思えるところもあったけれど、素直に面白いと思う。
同じ監督が手がけた「嫌われ松子の一生」の演出は、チープな感じがして私はどうも好かなかったのだけれど、この映画の演出は良いと思う。
不気味な感じ、現代人間のあまりなカンチガイぶりが、私にとっては大いにツボで、カンチガイ甚だしい熱血教師だとか、オバタリアンだとか、脳内スカスカな学生だとか、自分にとって好ましい現実しか受け入れようとしない頭の弱いDQNな人達がこぞってカンチガイぶりを発揮していく、なんとも楽しい映画。
こんな奴ら現実にいねーだろ、とつい思ってしまいそうになるけれど、映画を観終わった後で某喫茶店に行くと、実際にそういう人達がちらほらいて、びっくりしたり!
人によって好き嫌いがはっきり分かれる映画だと思うけれど、私はこういう映画は好み。

最後の「ドカーン!」に関しては、
本当に爆発したかどうかは観客の想像に任せる、という形になっていると思う。
「なーんてね」という最後のセリフが、
「本当は爆発していない」ということか、それとも「本当は爆発していないと思わせて実は!」みたいなことなのか(苦笑)
「終業式の日(先生が告白をした日)に実際には先生は牛乳に血液を入れていなかった」という事実を伏線だと捉えれば、普通に考えれば前者の解釈(あの爆発シーンはただの妄想の産物で現実ではない)が正しいようにも思えるけれど、
私はあえて後者の「本当は爆発した」説(あの爆発シーンは妄想オチと思わせておいて実は現実だった)を是非とも推したいところ。
そういう風に考えることができるのが映画の良いところ。
脳内変換をして、自分にとってより面白いラストを自由に想像して楽しむことができるのだ!

以下、5段階評価。

■告白(2010年日本)
ジャンル:邦画/ドラマ
ストーリー:★★★★
キャラクター:★★★★★
意外性:★★★★
癒し:★★★★
音楽:★★★★
総合:★★★★★

映画「マイ・ブラザー」観ました(一部ネタバレ含む注意)

チネチッタで、映画「マイ・ブラザー」を観てきました。
深夜だったためか客数は少なめ。

ありきたりで強い既視感はあるものの、それぞれの人物がよく描かれている。
ストーリー展開のひとつひとつがありきたりで、「驚き」の要素は全くないが、キャスト陣の迫力ある演技に惹かれる。
映画だなぁ、という映画。
(最近はテレビドラマ的な映画やアニメ映画が増えているので、映画らしい映画がどんどん少なくなってきている気がする)

キャストに関して。
トビー・マグワイア(「スパイダーマン」の人)、ナタリー・ポートマン(「レオン」のヒロイン役)が夫婦役で出演。
私は「スパイダーマン」(ヒロインのMJが史上最低のヒロインとして悪名高い映画(苦笑))や「レオン」も見ているけれど、
言われないと気付かないくらい別の人に思える。
それは彼らの演技力のせいかもしれないし、
私が単に外人の顔をなかなか区別できないためなのかもしれない(苦笑)

以下、5段階評価。

■マイ・ブラザー(2009年アメリカ)
ジャンル:洋画/サスペンス/家族ドラマ
ストーリー:★★★
キャラクター:★★★
意外性:★★
癒し:★★★
音楽:★★★
総合:★★★

映画「劇場版トリック3」観ました(一部ネタバレ含む注意)

チネチッタで、映画「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」を観てきました。
公開してからある程度時間が経っていたこともあり、お客さんの数はそれなり。
(3日後の来月1日は映画の日で1000円で映画が観れるので、それ待ちだったのかもしれない)

テレビドラマ版(1、2、3)、劇場版(1、2)、矢部のスピンオフドラマ、特番のドラマと、過去の作品をあらかた観てから映画館に行ったのですが、
今回の劇場版では、過去の作品で登場したいろんなネタや設定がいろいろと出てきて、過去作品のファンにとってはいろいろと嬉しい感じ。
内容に関しては、いつもの「トリック」的な楽しさがある。
でもその分既視感があり、マンネリ感も感じてしまうところ。
次回以降の伏線になりそうな要素がちょこっと登場したりと、続編がありそうな雰囲気を漂わせている。(いつものように、今のところ予定はないんだけど今後に期待、という意味もあるのかもしれない)

今回は、双子ネタなどいくつかのネタに関してはオチ(トリックのネタバレ)が予想できてしまったので(というかいくつかのネタは「オチが予想できる」ようにあえて抜け穴が用意されていて、勘の良い人なら気付くように作られている。観客がオチを簡単に予想できることも、実は作り手の予定の内なのかも?)、もし次回があるとしたら、もうちょっとだけ斬新な(だけど「トリック」っぽい)ネタが登場すると嬉しいなぁ、と思ったり。
(あまりにもすごすぎるトリックだと逆に「トリック」っぽくない気もするので、安っぽいんだけど斬新なトリックがたくさんあると面白いかも、と思ったり)

以下、5段階評価。

■劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル(2010年日本)
ジャンル:邦画/ミステリー/コメディ
ストーリー:★★
キャラクター:★★★★
意外性:★★
癒し:★★★★
音楽:★★★
総合:★★★

【映画】個人的な備忘録(50)

以下は、あくまで個人的な備忘録。

最近観た映画(旧作)
ヒッチコック「サイコ」、「アンタッチャブル」(ロバート・デ・ニーロがアル・カポネ役で出演している作品)、「ベン・ハー」、「300 <スリーハンドレッド>」、「トリック劇場版」1と2、「半落ち」、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」、BSフジで放送された映画(再放送も多いけど、まだ見ていない作品が放送されたときは見るようにしている)、あとはNHK-BSでよく放送されている古い映画を何本か。他にもいくつか見ているはずだけどタイトルを思い出せず。

【映画】個人的な備忘録(49)

以下は、あくまで個人的な備忘録であり、
それ以上でも以下でもありません。
甘口なのか辛口なのかどうなのか。

■ミリオンダラー・ベイビー(2004年アメリカ)
ジャンル:洋画/スポーツ/ドラマ/リアリズム
ストーリー:★★★★
キャラクター:★★★★
意外性:★★★
癒し:★★★★★
音楽:★★★★
総合:★★★★★
備考:
監督はクリント・イーストウッド。
クリント・イーストウッドの作品というと、王道ばかりという印象が強く、私はそれほど好きではなかったのだけれど、この作品の、特に終盤のエピソードは、確かにベタなネタではあっても心に迫ってくるものがある。
以下、ネタバレ。
タイトルなどから察するに、「この作品はどうせヒロインの女性ボクシング選手が王者になって100万ドル稼ぐ人の話でしょ」とか思っていたけれど、そんなありがちなクソつまらない話ではない。
中盤まではそういう系統の話かと思ってじとーっと見ていて、いつものようにツッコミどころを見つけてはツッコミしていったり、所々に出てくるリアリズム的な要素にちょくちょく心を惹かれていたりして、でもこの手の話(リアリズム)って万人受けしないよなー(でも私は好きだけど)とか思っていたのだけれど、中盤の終わりでヒロインが試合中にあるアクシデントに見舞われたところから一気にリアリズム世界に引き込まれていく。ヒロインの稼いだ金で悠々自適に暮らす腐ったファミリー達だとか、安楽死と信教の問題だとか、ベタだなと思っていてもどんどん引き込まれてしまう。
スポーツ物というと、負け組が最後に勝利を手にする系の話というのが非常にありがちで、私はその手の話は全く受け付けないのだけれど、そんな話を見て欲求不満になった人にはこの作品を見ると良いかもしれません。



以下、最近観た別の映画(旧作)の話。

フジテレビで放送していた「夢のチョコレート工場」「チャーリーとチョコレート工場」も面白かった(どちらも評価4)。基本的にはコミカルなファンタジーなんだけど、妙に人間的に生々しいところがあって、そこが私はとても好み。(でもこの手の作風って人によっては好まない人もいるんだろうな、とも思ったり)

それと、テレビ東京で放送していた北野武監督の「BROTHER」も面白かった(評価4)。新作も楽しみ。

古い映画では、最近は「欲望という名の電車」とかを見た(評価4)。不幸だったり妄想に囚われたりして駄目になっていく女性を描く。タイトルは微妙だけど、リアリズムとして面白い。あとはジョン・フォードの映画を何作か。「怒りの葡萄」(大恐慌だとか日雇い労働だとか、今の時代に通じる何かを確実に持っている)とか「わが谷は緑なりき」(炭坑町を舞台にした人間ドラマ)とか。他にも見たはずだけどタイトルを思い出せない。最近の日本の純文学ではプレカリアートが流行っているみたいだけれど、ジョン・フォードの映画の方がずっと衝撃的で、底辺の人間の悲哀と力強さをよく描いているのではないかと思ったり。まあ確かに内容は古いけどね。
他にもたくさん映画を見ているけれど、最近の映画(旧作)は見ているばかりでなかなかレビュー書いてないなぁとか思ったりした。

映画「いばらの王 King of Thorn」観ました(一部ネタバレ含む注意)

TOHOシネマズ川崎で、映画「いばらの王 King of Thorn」を観てきました。
小さめのシアターが、ほぼ満員。
客層はアニヲタさん中心。男女比率は男性3:女性1くらいの割合。
「劇場版"文学少女"」と連続して観たのだけれど、だいたい同じような客層。

この作品、私はものすごいツボで、面白いと思ったのだけれど、一緒に観たほとんどの人がこの作品の良さを全然理解できなかったようだ。
もしかしたら、通常のアニメファンや若い人にはあまり向かない作品なのかもしれない。
アニヲタさんたちの読解力の問題なのか、それとも好みの問題なのか。
映画「シャッターアイランド」が好きな人や、純文学を好んで読んでいる人だったらこの映画の面白さを分かってくれるのではないかと思うのだけれど。
現実と夢(洗脳)、物語とメタ的な要素が入れ子的にどんどん多重構造的になっていく。どれが現実? どれが夢? どれが洗脳? 世界という存在の定義自体がストーリー展開の進行にともないどんどん新解釈が登場していき、どんどん展開が飛躍していき、様々な人間のえげつない悪意や欲望に人々が巻き込まれ、どんどん人が死んでいく。一見するとRPG的ゲーム世界のようなトンデモワールドだが、その裏には人間の存在や物語そのものの存在を大きく揺さぶるものを持っているのではないか。
アニメを全然観たことないという純文学好きな人に是非オススメしたい映画。
アニメだからといって馬鹿にしてはいけない。

ストーリーはかなりハチャメチャ系で突っ込みどころも少なくなく、確かに好みは分かれるとは思うけれど(好みの問題以前にまず内容が理解できないという人もいたようだけれど)、「シャッターアイランド」に通じる部分があって、「シャッターアイランド」とかの系統が好きな人は、その何倍も楽しめるのではないかと私は思うのだけれど。
設定自体は既存のネタの組み合わせ的ではあるのだけれど、既存のネタの組み合わせや、メタ的な要素や夢の存在など、一見低次元と思われがちな要素を組み込みながらもここまで面白くする、というところに私はすごく好感が持てたのだけれど。
ただ、この作品は観客に「展開についていく力」を暗に要求するところがあるのかもしれない。展開についていけず脱落してしまうと、この作品の本当の良さが分かってもらえないかもしれない。

この作品には、物語としての致命的な欠陥というのもあるのかもしれない。しかしそれでも、私はこの作品がとても優れたものだと思っているし、私の心を惹きつけてならない。物語の中盤から終盤にかけて、どんどん展開が飛躍していく様は、「シャッターアイランド」を観ていて、まだまだこんなもんじゃ足りないと欲求不満になっていた人の心を大きく躍らせるのではないだろうか。

以下、5段階評価。

■いばらの王 King of Thorn(2010年日本)
ジャンル:邦画アニメ/SF/ファンタジー/アクション/パニック/サスペンス
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
意外性:★★★★★
癒し:★★★★★
音楽:★★★★★
総合:★★★★★