私の勤務していた職場では実務責任者である事業部長や部長が部下の実務作業を助けることが出来るほどの能力やスキルが無かったので、何事も最終的には担当者の力量によってしか結果が得られないというのが実態だったと思います。これに加えて、もっと悲惨だったのは情報処理システムを扱う上に必須のシステムエンジニアの能力の低さがビジネスチャンスを逃し続ける原動力にもなっていたと思います。
これも役員や管理職の情報処理システムに対する認識の浅薄さからくる会社全体の問題だと認識していましたが、そもそも技術系の役員・管理職という立場の社員のシステム技術能力が低いので、自然の流れとしてシステムエンジニアとして採用された筈の若い社員の教育・育成計画も相当に程度の低いものであったのではないかと想像をしていました。
私の所属していた職場ではコンピュータ作業を中心とする情報処理の下流工程専門のような部署でしたが、そんな作業中心と言いながらも出来る業務には制限をつけられていたのが何とも情けないと何時も感じていました。ベテラン社員も過去に経験したこと以外は難しいとして辞退することも多々あり、自ら新しい事や難しそうな事にはチャレンジをするという基本的な能力に欠けるとしか見えないのでした。
顧客の仕事をこなすためには私自身で対応可能な外注先を見つけて契約を成立させる以外には手がなかったという現実があり、普通の情報処理システムの会社ならしなくてもよい事をしなくてはなりませんでした。こういう仕事の仕方が出来ない社員は、システムエンジニアから顧客要求を断られてそのまま顧客に返して契約を逃していき、単に一時の仕事がなくなるという事だけではなく、会社としての信用レベルが落ちているということにも気づかず当然の帰結として契約も少なくなっていたと見えていました。
以前にも言及しましたが、高額給料の役員以下事業部長や部長連中が実務をしないし出来ないし、組織ばかりが立派で実務が出来ない社員が多数いたという事もあり、そういう実務に寄与しない社員の費用はシステムエンジニア費用に加算されて割高になり、実際に働くシステムエンジニアの能力と顧客に請求する費用とはかけ離れたものになっていたと思います。所謂、能力半分で費用は一人前という構図が出来ていたと思いますが、そういう現実に社員はぶつぶつ言いながらも誰も反論をした役員や管理職がいなかったと記憶しています。
何度も引き合いに出しますが、役所体質の顧客の基幹システム再構築のプロジェクトでは、担当した事業部の能力レベルがプログラム開発しか出来ないくらいにも拘わらずシステム開発が出来ると称し、割合簡単なシステム開発レベルの業務だと考えられましたが、見当違いの仕事をして最終的には中途半端で終了したという事案がありました。この時ほどシステムエンジニアと称する社員の技術レベルや知識レベルの低さを見せつけられたと思ったのは私一人だけだったと思うと、会社という組織はシステムエンジニアの能力というものに対する基本的な考え方が出来ていないということを証明していたのではないかと思えました。
役所体質の顧客の基幹システム再構築のプロジェクトに対して、苦言を呈したことで私の嘱託契約を解除した事業部長が、プロジェクト終了後に顧客から騙された発言が出た時には無反応の対応をしたという背景には、何事も自分は悪くなくて顧客が悪いという社風からくるものだけではなく、担当部署のシステムエンジニアのしでかした行状が理解できないという能力不足も背景にあったと推測していました。