リムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」から第三楽章、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」、チャイコフスキーの交響曲やバレー曲など、ボロディンの歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊りと合唱」などの中の「バラード」を聞いていると、ロシアの作曲家が醸し出すメロディーは、大変美しいと思う。「ダッタン人の踊りと合唱」の女性の踊りのバックに流れるメロディーなどは、聞いていると、体がとろけそうになるくらいだ。ロシアは、広大な国で、古来より多くの民族と接し、他の民族の音楽とロシアの音楽が結びつき、それが、ロシアの作曲家のDNAに刻まれているのであろうか?確かにエキゾティックな雰囲気のものも多い。またロシアは、西ヨーロッパと比べると音楽の発展が遅れたらしい。形式も重視する西ヨーロッパと異なり、ロシアの作曲家は、素直にメロディーを歌い上げたのかもしれない。

「愛のプレリュード」、「トップ・オブ・ザ・ワールド」、「スーパースター」、「イエスタデイ・ワンス・モア」、「遥かなる影」、「ア・ソング・フォー・ユー」、「シング」、「オンリー・イエスタデイ」など、たくさん曲を並べてしまったが、どれも「カーペンターズ」の至宝の名曲だ。「カーペンターズ」は、1970年代を中心に活躍した、兄のリチャード・カーペンター(ピアノ)と、実の妹のカレン・カーペンター(ボーカル)のポップス・デュオだ。グラミー賞も3度受賞している。しかし、1983年に、カレンが摂食障害が原因で亡くなって活動を終えた。僕は、あまり上品な表現ではないが、「声に惚れる」ということを意識したのは、「イエスタデイ・ワンス・モア」のカレンが初めてだった。それほど彼女の声は、ピュアーで、艶があり、深みがある。また、彼女がドラムスを演奏するのは知っていたが、彼女が亡くなった後、リチャードをゲストに招いたNHKの特集番組で、ドラムスを演奏している彼女の録画を見て、うまいのにびっくりした。どんなビートでも、速度でも的確に対応していた。最後に、僕は「カーペンターズ」の音楽のルーツは、やはり「カントリー・ミュージック」ではないかと、かってに思っているのだ。


マンハッタン・トランスファーは、アメリカのジャズ・コーラス・グループで、男女各二人による四人編成である。「トワイライト・ゾーン」、「バードランド」、「ボーイ・フロム・ニューヨーク・シティー」などのナンバーが有名で、グラミー賞も取っている。僕も、ベスト・アルバムなどは持っている。四人編成にも関わらず、テンションコードを使った豊かなハーモニーを聞かせてくれる、本当に実力のあるグループだ。僕がこのグループを初めて聞いた時の情景は、今でも強く印象に残っている。随分前になるが、外から帰ってテレビをつけたら、四人グループが、「コーナー・ポケット」を歌っているではないか。「コーンー・ポケット」というナンバーは、カウント・ベイシー楽団の、名ギタリストのフレディー・グリーンが作曲した、同楽団のレパートリーの一つなのだ。ビッグ・バンドのナンバーなので、日本のジャズ・ファンでも知らない人はいると思う。それがアメリカのコーラス・グループとはいえ、このナンバーを歌っているという光景を見るのは、僕にとってはあまりにも意外性があり過ぎた。しかし、後にこのグループのことが少しずつ分かり始めて納得できた。