この作品からは、現代音楽、ロシア(彼が活躍した当時はソビエト)の風土、独創性、革命後の鬱屈、などの言葉が浮かんでくる。第一楽章のトランペットとホルンの、それぞれの低音のユニゾンを初めて聞いた時には驚いた。両楽器のこんなに低い音を使っているクラシックの音楽をそれまで聞いたことがなかった。また、交響曲でピアノが使われているというのもユニークだ。それからソビエト軍の軍事パレードを思わせるような場面もある。第二楽章は、一転してサーカスを見ているようで、理屈抜きの楽しさがある。第三楽章は、ロシアの風土の厳しさが切々と伝わってくる。第四楽章は、自らが、様々な呪縛から解放されてゆく姿を願いをこめて描いているよう思え、非常に高揚感がある。この交響曲は、体制の圧力に屈せず、聞く人の魂に訴えかける、真に芸術性の高い作品だと思う。
学生時代は、ジャズ喫茶には昼間からよく行っていた。大きなステレオが設置されていて、ベースやバスドラムの低音の振動が体に伝わってくる。シンバルやピアノの高音が耳に響く。カウンターには、その時かかっていたレコードのジャケットが、飾ってあった。テーブル席に座って、コーヒー1杯で、三時間位聞いた。次のレコードに変わると、立ち上がってカウンターまで歩きジャケットを見て、アルバム名や、プレイヤーの名前、曲名を確認した.。たまには、リクエストもした。「スイング・ジャーナル」を読みながらタバコを吸い、静かに、指でリズムを取ったり、軽く足踏みをしながら聞き続ける。マスターから小言を言われた事は一度もなかった。ジャズを理解しようとしている若者を優しく見守ってくれていたのかもしれない。