「シュターツカペレ・ドレスデン」は、世界でも最も歴史のあるオーケストラの一つだ。1973年に初来日した。当時は、まだ「冷戦」の時代の、東ドイツのオーケストラだった。僕は幸運にもこの年、生演奏を聞くことができた。指揮は、現N響の名誉指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットだった。にっこり笑って登場したのが、今も忘れられない。また、オケのメンバーも登場する時、皆にこにこしてフレンドリーだった。僕はそれ以前に、「東側」のオケは「レニングラード・フィル」を聞いていたので、ドレスデンは、もっと堅い響きがするのかと思っていたが、「弦」の響きが柔らかいのに驚いた。またトロンボーンは大砲のような腹に響く音をしていた。トランペットの音も太く、ホルンの音は、柔らかった。オーボエは「ローター・コッホ」の音がしていた。僕は当時まだオケの演奏をそんなに沢山聞いていたわけではないが。当時の僕の印象では、「世界最高のオーケストラの一つだ」と思った。その後「ベルリンの壁」が崩壊し、東ドイツは西ドイツに組み込まれた。現在、「シュターツカペレ・ドレスデン」が昔の良き伝統をどれ程保っているのか心配である。                                                                                                               
                                                                                                                                                   
               

                                                             

                           

先日の「N響アワー」では、準・メリクルが指揮して、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の音楽を演奏していた。昔、メンデルスゾーンの作品は「ヴァイオリン協奏曲」ぐらいしか知らなかった頃、初めて「真夏の夜の夢」の音楽を聞いた時は、あまりのオーケストレーションのすばらしさに、びっくりした覚えがある。改めて、メンデルスゾーンは凄い作曲家なんだと、認識した。特に、「序曲」や「スケルツオ」などはすばらしい。また、トランペットのファンファーレで始まる、有名な「結婚行進曲」は好きである。普段は、冒頭の部分しか耳にすることがないが、三部形式の中間の旋律が心に響く。結婚する二人に「人生の荒波にめげず、強く生きていきなさい。」とメッセージを送っているように聞こえてくる。またエンディングのトロンボーンのハーモニーも祝賀ムードがよく表わされている。  


J・J・ジョンソン(1924年~2001年)は、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーらとの演奏活動を通じてテクニックを磨き、それまでにない新しい演奏スタイルを確立した、ジャズ・トロンボーン奏者である。「モダン・トロンボーンの開祖」と言われる所以は、そこにある。音質、テクニック、タンギング、音楽性のどれをとっても、文句の付けようがない。トロンボーンという楽器は、トランペットやサックスに比べるとハンディーがある。トランペットはピストンを押さえ、サックスはキーを押さえれば音が変わる。しかし、トロンボーンは、正確なポジショニングとタンギングが一致しなければ、正しい音が出せない。しかし、J・J・ジョンソンは、もののみごとに、そのハンディーを克服している。とにかく彼のプレイは、ごまかしがなく明快であり、どんなに速い速度の曲にも対応できる。ジャズ・トロンボーンの奏法も進化はしているが、常に、顧みる必要のあるプレイヤーである。