「シュターツカペレ・ドレスデン」は、世界でも最も歴史のあるオーケストラの一つだ。1973年に初来日した。当時は、まだ「冷戦」の時代の、東ドイツのオーケストラだった。僕は幸運にもこの年、生演奏を聞くことができた。指揮は、現N響の名誉指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットだった。にっこり笑って登場したのが、今も忘れられない。また、オケのメンバーも登場する時、皆にこにこしてフレンドリーだった。僕はそれ以前に、「東側」のオケは「レニングラード・フィル」を聞いていたので、ドレスデンは、もっと堅い響きがするのかと思っていたが、「弦」の響きが柔らかいのに驚いた。またトロンボーンは大砲のような腹に響く音をしていた。トランペットの音も太く、ホルンの音は、柔らかった。オーボエは「ローター・コッホ」の音がしていた。僕は当時まだオケの演奏をそんなに沢山聞いていたわけではないが。当時の僕の印象では、「世界最高のオーケストラの一つだ」と思った。その後「ベルリンの壁」が崩壊し、東ドイツは西ドイツに組み込まれた。現在、「シュターツカペレ・ドレスデン」が昔の良き伝統をどれ程保っているのか心配である。