イタリアのクラシック音楽には特徴がある。オペラの作曲家はキラ星の如く存在したが、後世に残る「交響曲」の作曲家は僕の記憶にない。また大編成の管弦楽曲の作曲家を挙げると、レスピーギしか思い浮かばない。しかし、イタリアの「バロック音楽」と「オペラ」だけでも世界の音楽ファンを虜にしているのだから、これ以上のことを望むのは少し欲張りかもしれない。レスピーギのローマ三部作(交響詩「ローマの泉」、交響詩「ローマの松」、交響詩「ローマの祭り」)の中の「ローマの松」は、1984年、カラヤンとベルリン・フィルが来日した時、プログラムに入っていた。最近では、「N響アワー」で、イタリア人指揮者のネルロ・サンティの演奏を聞いた。「ローマの松」は4曲から成るが、最後の「アッピア街道の松」は、大ローマ帝国全盛時代の軍隊の凱旋を想定した堂々たる曲だ。クライマックスまでの盛り上げ方は見事で、コンサートの最後にこれを聞いたお客は、「ブラボー」と声をあげ大拍手を送りたくなると思う。


ビッグバンド(ジャズ・オーケストラ)のコンサートにおいては、一般的に客席からステージに向かって、ほぼ左半分にリズム・セクション、右半分にホーン・セクションが配置される。リズム・セクションは、左からピアノ、ベース、ギターの順に配置され、ドラムスは舞台の中央より少し左のひな壇に配置される。ホーン・セクションは、前列にサックスが5本横に並び、その後ろのひな壇に4本のトロンボーンが並び、その後ろのもう一段高いひな壇に4本のトランペットが並ぶ。クラシックのコンサートでは、いっさいマイクは使わないが、ビッグ・バンドのコンサートでは、通常、ブラス・セクション(トランペットとトロンボーン)より音が小さいサックス・セクションの音を拾うため、サックスセクションの前に、3本ぐらいマイクが高めたに立つ。そのマイクは、後ろのブラス・セクションの音も少し拾う。リズム・セクションは、ドラムスに3本、ベース、ギターのアンプに1本ずつ、そしてピアノに1本マイクが立つ。そして、前に出てソロを吹く演奏者のために、センター・マイクが1本立つ。僕がカウント・ベイシー楽団を初めて見に行った時、開演前に先輩が、生の音を聞かせるために、おそらくマイクはセンター・マイク1本だけで、あとはマイクは使わないだろうと言っていた。いよいよコンサートが始まった。センター・マイクが1本立っていた。そしてホーン・セクションにはいっさいマイクはなかった。ウッド・ベースはアンプを使っていたと思うが、フレディー・グリーンのアコースティック・ギターは、生だった。カウント・ベイシーのピアノにマイクが付いていたかどうかは、記憶が定かでない。音響効果のよい大ホールではあったが、それにしても二階席で聞いていて、音がガンガン響いていたのが、今も忘れられない。

かつて、クレフ=ヴァーヴ・レコードを経営していたノーマン・グランツは、ジャズ界に復帰し、パブロ・レコードを設立した。そして、「サンタ・モニカ・シヴィック・オーディトリアム」でのこのライブ・アルバム(Jazz At The Santa Monica Civic‘72)が、レコーディングとしては第一作目となった。僕は、3枚組のLPレコードを持っている。SIDE/1は、カウント・ベイシー・オーケストラが、4曲演奏している。SIDE/2、SIDE/3、SIDE/4は、J.A.T.P.オール・スターズによるジャム・セションで、エリントンの「イン・ア・メロウ・トーン」から始まる。主なメンバーとしては、ロイ・エルドリッジ(tp)、ハリー・スィーツ・エディソン(tp)、スタン・ゲッツ(ts)、エディ・ロックジョー・デイヴィス(ts)、アル・グレイ(tb)、カウント・ベイシー(p)、レイ・ブラウン(b)、フレディー・グリーン(g)など。また、SIDE/4では、後半に、オスカー・ピーターソンーレイ・ブラウン・デュオがある。SIDE/5、ではエラ・フィッツジェラルドがカウント・ベイシー・オーケストラをバックに3曲歌い。その後トミー・フラナガン・トリオをバックに歌う。SIDE/6では、フィナーレとして、J.A.T.P.オール・スターズとエラ・フィッツジェラルドにより、エリントンの「C.ジャム・ブルース」の大ジャム・セッションがある。個人的には、カウント・ベイシー・オーケストラをバックにエラ・フィッツジェラルドが歌う、「Shiny Stockings」、「You`ve Got A Friend(キャロル・キング作)」、「What`s Goin` On(マーヴィン・ゲイ作)」が特に気に入っている。