( SNSで尋ねる)「会う」の敬語「お会いになる」の二重敬語 | ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

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プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

一つ前の記事で、「会う」には、謙譲と尊敬の用法があることを書きました。

 

「会う」の謙譲語(自分が相手や誰かにへりくだる): お目にかかる、お会いする

「会う」の尊敬語(自分が相手を尊敬する):  お会いになる、会われる

 

●SNSで誰かと会ったかどうかを尋ねる場合

相手にBさんと会ったかどうかを尋ねる場合、敬語サイトでも時々推奨されているのが次の表現です。

 

Bさんとお会いになられましたか?

 

いかがでしょう。

間違いとまでは言えませんが、ちょっと違和感がありはしませんか?

上記では「お会いになる」の「なる」が「なられる」と敬語になっています。

しかし、この記事の冒頭でもご覧の通り、

「お会いになる」だけで、すでに尊敬語。

つまり、二重敬語なのです。

尊敬語をさらに敬語化しているために、ごちゃついた感じがするわけですね。

 

△ Bさんとお会いになられましたか?

○  Bさんとお会いになりましたか?

 

後者が、「ほどよい敬語」です。

 

たとえば、Aさんが

 

○   昨夕のイベントでCさんとお会いしました

 

という報告をSNSで投稿していたとします。

 

それを見たあなたが、「あ、このイベント、Bさん(Aさんと共通の友人)も行くと言ってた。会えなかったのかな?」と思ってコメントなどで尋ねる場合、「ほどよい敬語」である最後の表現がオススメです。

 

× Bさんともお会いしましたか?

× Bさんともお目にかかりましたか?

× Bさんともお目にかかられましたか?

△  Bさんともお会いになられましたか? (二重敬語)

○  Bさんともお会いになりましたか? 

 

また、

○  Bさんとも会われましたか? 

でもかまいません。

 

敬語を使わなくてもすむ間柄である場合は、

○  Bさんとも会えましたか? 

でもよいでしょう。

 

 

●SNSで他人の行動にコメントする場合

蛇足ですが、このようにSNSのコメントなどで尋ねてもいいのは、「Bさんが行くと言っていた」ことが公然の事実である場合に限ります。

SNSなどで他人の行為について書く場合は、敬語が正しいかどうかもポイントですが、それを書いて不都合が起きはしないかにも気をつける必要があります。

 

Bさんはその会への出席を、Bさんの身近な人には秘密にしているかもしれません。

あなたが「Aさんと会いたいと言ってたから、会えたかどうか気になるの」と親切心で尋ねても、かえって Bさんに迷惑がかかることもありえます。

 

・Bさん自身も出席を明らかにしている

・グループ内の限られた関係性の中だけでのやり取り

というような場合なら構わないでしょうが、そうでなければ他の話題を選んだほうが賢明です。

 

この場合、AさんはCさんと会ったことを報告しているわけですから、それについて

言及するのがよいでしょう。

「楽しそうですね」

「盛り上がったんですね。次回はぜひ、私も行きたい!」

など書くと、Aさんも

「楽しかったですよ〜。次回はぜひ一緒に参加しましょう」

などと返事をしてくれそうですよね。

 

敬語とはまた別の話ですが、他人の行為についてのコメントは、くれぐれも慎重に。

 

 

■前田めぐる■