最終章 俺のポエム集が盗まれた!ーピッツァに込めた想い | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。




このどうでもいいシリーズ(?)が終わります。
引っ張るつもりはなかったのですが話がまとまらずここまでズルズルときてしまいました。


話を振り返ると、

218年に入ったから食べ物が紛失することが続出

どうやら盗まれたらしいと騎士隊が動きます。

その担当は、あみだくじでハズレを引きたローデリックでした。ここは裏設定なので書いてはいませんでした。かわいそうなローデリック。

その盗まれた物の中には「日記」ルイスが書いたポエム集があったのでした。

「さっさと探せよ!なんのために騎士隊に入ったんだよ」
こんな感じでルイス氏に暴言を吐かれつつ、ローデリックは適当に探します。
ローデリックは別にルイスのポエム集を探すために騎士隊に入ったわけではありません。

犯人もポエム集も見つからず、レイラはポエムをあちこちで読んでポエムの書かれたノートをそこら辺に忘れたふりをして見張れば犯人が現れる、とティアゴからしたら疲れて頭おかしいの?的な助言をくれました。

嫌がるルイスに、日記の内容が徐々に暴露されていくかもしれないけど、知ったことではないわ、とレイラは素知らぬ顔。

渋々ルイスはやることになったのです。


レイラ
「じゃあ、うまくいくように呪い(まじない)をかけたコレ、首から下げて」

ニコッと、笑いレイラはルイスに首に袋がついた紐をぶら下げ、また本の山に戻っていった。


ルイス「なにこの袋?!怖いんだけど!!」


首から下げられた袋にルイスは恐れ慄いていた。




゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+





イマノル
「これ、公開処刑ってやつじゃない?」

かげでコソコソとルイスの様子を見ながらイマノルはルイスを哀れに思った。

噴水広場とヤーノ市場でポエムを呟いたルイスは人々の注目の的だった。



バルナバ
「お前の容疑は晴れた?」

いつの間にかリリーとバルナバがイマノルたちの横にいた。


イマノル
「いや……まだなんだよね〜…」

アハハ、とイマノルは力なく笑った。


リリー
「日頃の行いが悪いから…」

リリーもティアゴと同じことをいいイマノルに冷たい眼差しを向ける。


イマノル
「えー?!リリーさんまでそんなことを言うの?!」


リリー
「もしも、バルナバやローデリックに容疑がかかればみんな何かの間違いだ、ってなるけどイマノルだと『とうとうやったか!』って納得するの」

淡々とした様子でリリーは言うとイマノルはハッとした表情をした。


イマノル
「さっきアラルコスにとうとうって言われた!」


リリー「そうでしょう。それが普通なの」


イマノル「普通なの?!俺のイメージヤバイ!」

リリーとイマノルのやりとりにバルナバは笑った。


ティアゴ
「なんでバルナバさんとローデリックの名前がでて俺の名前はないんですか?」


リリー「……聞きたい?」

不穏な空気を醸し出しながらリリーは腕を組んでスッと目を細める。


ティアゴ「ーーーやめておきます」

表情を変えることなく答えると、


リリー「それが賢明な判断ね」

リリーを纏う不穏な空気が消えていった。周りがほっと胸を撫で下ろした。



話をしているとルイスが移動を開始したので一行は不自然にならないよう歩き出す。


イマノルがスッとリンゴの隣にきて小声で話しかけてきた。


イマノル
「あのさ……本当に俺じゃないよ?」

リンゴ
「わかってるよー。イマノルは私の下着に興味ないでしょ」


イマノル
「俺も男だし、中身には興味あるよ?」

気を遣った発言かもしれないが、リンゴはイマノルにチョップした。


リンゴ
「そんなこと言ってるから疑われるんでしょ💢」


イマノル「いやー、参っちゃうよね〜」

チョップされても意に介した様子もない。


リンゴ「まったく……」

呑気で相変わらずスケベなイマノルにリンゴは呆れた。その横でイマノルが何か言うが、


イマノル「ーーー」

何か言ったが声が小さくて聞こえなかった。


リンゴ「ん?何?」


イマノル
「ティアゴさんと山岳兵の体調を診てまわったんでしょ?」


リンゴ「そうだけど……」

珍しくイマノルが何か言いかけて口を閉じた。その様子になにを言いたいのかピンときたリンゴは、

「アルシアは裂傷が少しあるけど、大したことなかったよ。今日はベットから起き上がって家の中でゆっくり過ごしているから」

きっとアルシアの怪我の具合が気になるんだろうなぁ察しリンゴが説明すると僅かにイマノルは安堵した様子だった。

イマノル「そっか。ありがと」


リンゴ
「心配なら、様子をみにいけばいいじゃない」


イマノル
「ーーアルシアの旦那さんに悪いじゃん……」


リンゴ「そーゆーものなの?」

イマノル「そーゆーもの」」

リンゴ「そっか……」


イマノル
「リンゴだって…カトリーンさんに負い目がないわけじゃないででしょ?」


リンゴ
「イマノルは何も悪いことはしてないんだよ…」

(私は負い目があるのは当たり前だけどイマノルは独身時代に付き合っていた相手なのだから、引け目を感じることはないのに)



イマノルは答えず曖昧に笑った。


リンゴ
「ちょっと待って……既婚女性にも平気で口説きにいくイマノルがなんでそんなことに気を遣うの?おかしいよ……」


イマノル
「魅力的な女性がいたら声かけるのは当たり前じゃん?」


リンゴ「イマノルはおかしい……」


イマノル「………」


リンゴ
「本当に、ただのスケベな猿なんじゃ…」

イマノルはガサガサと鞄から何か取り出した。箱のようなものだった。それをパカっと開けた。


出てきたものにリンゴは仰天した。

黒いものが無数にガサガサと蠢いている………



Gだ………  !
アルファベットで奴のことはお送りします。


声にならない悲鳴をあげながらリンゴは後ろを歩いていたティアゴに無我夢中でしがみつき、近くにいたリリーは恐怖のあまり剣を抜き振り回した。


バルナバ
「それをしまえ!馬鹿者!!」

リリーを羽交い締めにしながらバルナバが怒鳴った。


イマノル
「ごめんごめん、手元が狂ったんだ〜」

笑いながらイマノルが箱の蓋を閉めると、例のものが消えた。

ローデリック「絶対嘘だろ」

ティアゴの横にいるローデリックが呆れた声を出した。


ティアゴ
「もう消えたよ」

恐怖で怯えてしがみついているリンゴの頭にぽんっと手を置いた。

「離れてくれないと、リリーさんの剣がこちらに向くことになる」

ティアゴが笑いながらリンゴの耳元で囁いた。


リンゴ
「ご、ごめん……パニックになって……」

無意識にしがみついてしまい、リンゴはパっと離れ少し顔を赤くしながら謝った。


ティアゴ
「王妃様ならいくらでもウェルカムだけど」

人前だからかふざけてこんなことを言うティアゴに案の定リリーに見咎められた。


リリー「ティアゴ〜〜💢💢」

羽交い締めから解放されたリリーは怒りながら剣をティアゴに向けるので、

バルナバ「リリーちゃん落ち着いてっ!」

慌てて再びバルナバがリリーを羽交い締めにした。 

*あくまでも、しがみついたリンゴではなくティアゴへ矛先が向かう謎

ワーワー騒いでいると前方からヴェルンヘルがフラフラと歩いてくるのが見えた。


ヴェルンヘル
「リリー隊長……?」

抜刀しているリリーの様子にヴェルンヘルは戸惑いを隠せないでいる。リリーは慌てて剣を下ろし、バルナバもリリーから手を離した。


リリー「なんでもありません」

剣を鞘に納めて、努めて冷静に言った。


イマノル
「俺の悪戯にリリーさんが怒っちゃって〜」

ティアゴのことで怒ってるとは言わず、イマノルは最初の自分の悪戯のほうを笑いながら説明する。


リンゴ
「それより、ヴェルンヘル何かあったの?」

さりげなくティアゴから距離をとりつつ危険な話題からリンゴは話を逸らそうとした。


ヴェルンヘル
「それが……ルイスが変なことを呟きながら徘徊しているらしくてさっきすれ違ったら…!長年彼女なしだからとうとうどこかおかしくなってしまったみたいで俺はどうしたら…」

大きなため息をつきながら困惑しているヴェルンヘルの様子に皆が顔を見合わせた。


リンゴ
「大丈夫、多分そのうちそれは終わるから」


ヴェルンヘル
「本当?あれは、ヤバイよ…」


イマノル
「大丈夫だって(多分)陛下は昨日戦闘に参加した人たちへの見舞いと昨日のことで不安がってる国民に声をかけてるんでしょー?ルイスのことは俺たちに任せてよ」

ヴェルンヘルはイマノルを凝視した。


イマノル「ん?」

ヴェルンヘルの視線にイマノルは首を傾げる。



ヴェルンヘル
「お前、リンゴの下着を盗んだ犯人だって国中で噂になっているんだが?」

ヴェルンヘルの手が腰の剣の柄に手をかける。


イマノル「誤解だって!!」

首を横にぶんぶん振って必死にイマノルは否定するが、ヴェルンヘルの目に怒りが浮かんでいる。


ヴェルンヘル
「俺の妻の下着を盗むとは、切り刻まれても文句は言えないな?」


リンゴ
「落ち着いて!イマノルは犯人じゃないからっ」

珍しく穏やかではないヴェルンヘルにリンゴは慌てた。


イマノル「そうそう!」


リンゴ
「イマノルが私の下着が欲しかったら直接言うし!」


イマノル「そうそう!」

コクコクと大きく頷く。


ヴェルンヘル
「ーーそれもおかしい!!」

リンゴイマノルコンビのズレた認識にリンゴの夫としてヴェルンヘルは見逃すことは出来なかった。


リリーに続き、ヴェルンヘルが剣を抜く現場は騒然となった。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+


ルイスはイライラしていた。


ルイスのあとからついくると言っていた武術職の面々が誰一人ついてきてないし、離れたところでわーわーと騒いでいる声が聞こえる。


ルイス
「あいつら全く役に立たない💢役立たずが💢」

レイラに言われた箇所を回りながらルイスは怒りに肩を震わせながら道を歩いた。

すれ違う人々がルイスに哀れみの目を向けてくる。


そこにレドリーが現れた。噂を聞きつけたらしく

「ーー大丈夫?どっか具合悪い??」

珍しくルイスを心配してきたがルイスにとっては余計なお世話だった。


ルイス
「今から仕上げがあるんだ!離れてろよっ💢」

レドリー「仕上げ?……分かったよ…」

訝しげにレドリーは言われるまま、ルイスから離れた。

ルイスはブツブツとノートに書かれていることを呟いている。

レドリー(フラレ続けるとあんな後遺症が…!)


レドリーはルイスを可哀想だと同情した。突っ立って様子を見ていると、レドリーの腕を誰かが引っ張った。

父親のティアゴだった。

レドリー「父さん??」


ティアゴ「いいからこっちこい」

ティアゴはレドリーを強引に岩場のかげに連れ込んだ。


レドリー
「ーールイスがおかしいのと関係があるの?」


ティアゴ「そうだ。静かに見てろ」

レドリーが周りをみると離れた場所に何人か身を潜めているのが分かった。


レドリー
(リンゴさんに、バルナバさん、リリーさん、ローデリックさんにイマノル…?!一体、何が…)

龍騎士四人が揃う現場に何が起きているんだろうとレドリーはゴクリと唾を飲み込んだ。
まさかポエム集や下着泥棒を捕まえる現場だなんて、微塵にも思わなかった。


ティアゴ
「ーーーレドリー……一つ聞きたいことがある」

小さな声でティアゴは息子に言った。

レドリー「なに?」


ティアゴ
「……………前に、セシリア様はまだ成人されて間もないから手を出すなと言ったのは覚えてるか?」

レドリー「………うん」


ティアゴ「守ってる?」


レドリー「………………守ってるよ」

レドリーは目を泳がせた。

我が息子ながら分かりやすいなとティアゴは内心ため息をつく。


ティアゴ
「今度、子供の作り方をセシリア様に手取り足取り教えるって言っていたというある人物からのタレコミがあったんだが?」


レドリー
「ーーー?!?!手取り足取り?!」
驚きと羞恥の混じった声を出す。


ティアゴ
「その反応をみると本当らしいな。…セシリア様はまだ5歳だぞ。王太女で、大切にしなきゃならないお方なのに、手取り足取りって……」

この年頃はそりゃ手を出したいよな、と理解しつつも相手が王太女ということもありティアゴはため息まじりに言うとレドリーは首を横に振った。



レドリー
「手取り足取りなんて言ってないよ!!なんでそんなこと……あ!ルイスの奴だなっ!あの時の会話に変な台詞追加しやがって!」


ティアゴ
「あの時の会話とは?」


レドリー「そ、それは……」


ティアゴ
「破廉恥なことでもセシリア様に言ったんだろう。」

ぐっとレドリーが押し黙るのでティアゴは大きなため息をついた。


ティアゴ「……あまりガッつくと嫌われるよ」

付き合ってまだそんなに経っていないこともあり父親として心配していた。


レドリー
「…可愛いから手を出したくなるのは仕方ないじゃん…」


ティアゴ(イマノルと似たような事を言ってる…)


話をしているとルイスがいつの間にかいなくなっていた。道の端っこに、ノートと紐がついた謎の袋を落とし……わざと置いていった。


それからしばらくなにも起きなかった。

時間だけが経過していく。リンゴは木にもたれてウトウトしてグラついているのでイマノルが
「寝るなよ〜💧」と小声で言いながらリンゴの肩に片手を添えて支えている。




夕日が見えた頃、ノートに近づくなにかがみえた。


それはノートと袋を持って、去ろうとする。


ローデリックが木陰から一気に走り出した。リリーとバルナバ、ティアゴも続く。リンゴは半分寝てて出遅れた。リンゴをささえていたイマノルも出遅れた……


ローデリック
「捕まえたっ」


思ったより小さいナニかだった。ローデリックはスライディングしながら捕まえた。




腕の中で暴れるソレに気づき、ローデリックは呆然とした。



ルイス「ーーーこいつが?!?」



ローデリックの腕からひょっこりと二体のイムが顔をだした。つぶらな瞳でみんなを見ている。




リンゴ「………イムピョン…」


そのうちの一体……ピンク色のイムはラウル家で飼っているイムだった……イムピョンはローデリックの頰にスリスリと頬擦りをした。

これでは飼い主が誰なのか分からなくなる。


ルイス
「お前らが俺の日記取ったのか?!」

ルイスはイム二体を睨みつけるとイムピョンは悲しそうにし、もう一体はニヤニヤ笑った。


「間違いない、コイツがとった!」

ニヤニヤ笑うイムをルイスは犯人と断定した。



「ーーーつまりこういうことね」


いつの間にかこの場にきたレイラが静かに言った。

「ルイスのポエム集を盗んだのは、その笑ってるイム様で、リンゴちゃんの下着を盗んだのはラウル家のイムピョン…気配がなかったのはリンゴちゃんにとって身近で足音があまりないイム様だから…みんなこう証言してたんでしょ?怪しげな人影はなかったと。」

バルナバ
「イムを犯人とは思ってないってことだね……」

イマノル
「それで下着がなんで俺の家に??」


レイラ
「多分、イムピョンが適当に捨てたんだと思う。それがたまたまアンタの家……」


イマノル
「そーいや、イムピョン……俺のところにも食べ物くれーってたまにくるからその時かなぁ…」


リンゴとイマノルは目を合わせた。


リンゴ
「ーーごめんね……うちの可愛いアイドルみたいなイムピョンのせいで」


イマノル
「謝ってんのか、イムピョンを自慢してるのか分からないw」

そう言うイマノルはちっとも怒っている様子はなかった。


ティアゴ
「それでいうと……よくイムピョンが出入りしていたローデリックの家に下着が捨てられる可能性があったわけで、お前危なかったな……」

イムピョンとニヤニヤ笑うイムを抱いているローデリックを見て笑う。


ローデリック
「ーー危うく変態扱いされるところだった…」

本当に危なかった、とローデリックは息を吐いた。

リリー
「この件を担当している人に容疑がかかったら洒落にならない…」


リンゴ
(変態扱いされて困るローデリックさん…見たかったかも…)

普段仏頂面の彼が慌てふためいて弁解する光景がを想像してリンゴは忍び笑いをした。

ローデリックのことだから仏頂面で
『やってない』
『誰が好き好んでこんな人の下着を……舌を噛んで死んだ方がマシ』

とか言いそうと、リンゴは想像してイラッとした。

リンゴ(想像の中でこの憎たらしさ…!)


想像でイラッとしているリンゴの横で話は続いた。


ローデリック
「魔法で追えないって前に言ってたのは?」

イムピョンに顔をペロペロ舐められて困っているローデリックが訊いた。


レイラ
「よその国のイム様は知らないけど、この国のイム様は導きの蝶以外の魔法はほとんど無効化するの。イム様は、神の使いと言われてるから」


リリー
「ってことは魔法で追えない時点でレイラは気付いてたの?イムが犯人だって」


レイラ
「そうだろうなぁとは思ったけど」


イマノル
「だったら早めに教えてよー!」


レイラ
「確信がないのに適当なことは言えないわよ」
それにあの頃忙しかったし、とレイラは付け足した。


その後、ニヤニヤ笑うイムの寝床からパンやルイスの日記が発見された。盗まれた食べ物はほとんど食べられていた。


そのイムはルイスの足元までくると、ニヤニヤ笑いながらまるで、
「頑張れよ」と小馬鹿にしたようにふにふにした手でルイスの足をポンと叩いた。


リンゴ(イムにまで同情されている…!)


ルイス「一発殴る💢」


怒りを露わにするルイスだが、可愛いイムを殴るなんてことは他の人が許さなかったので実行されることはなかった。


ポエム集を取り戻したルイスはイマノルに取られる前に帰っていった。



リリー
「ルイスに渡した袋のまじないってどんなものなの?」


レイラ
「ただの匂い袋。イム様が好きな料理の匂いが染み込んだやつ」


リリー「まじないって嘘だったんだ…」


レイラ
「でもおびき寄せることには成功したでしょ?」


バルナバ
「みんなお疲れ様。酒場で一杯飲んで行かない?」

疲れた一行にバルナバが提案すると、


ティアゴ「いいですね、行きましょう」

リンゴ「飲もう飲もう〜!」

リンゴたちが同調し、ゾロゾロとみんなで酒場に向かって歩きだした。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.


みんなで飲み終わった帰り道、リリーはリンゴと共に帰っていた。


その後をバルナバが追ってきた。


リンゴ
「あれ?バルナバさん」


バルナバ
「これ、渡しそびれたから」

バルナバはリンゴに約束のピッツァを渡してくれた。

リンゴ
「ありがとうございます…!」


バルナバ
「リリーちゃんにも追加で焼いたんだ」

バルナバが鞄の中に手を突っ込んでいる間、リンゴは「私先に帰るねー」と帰っていった。


リリー
「私昼間もらったけど…」


リリーの手にどんっと大量のピッツァが渡された。

「これ、何個あるの?!」


バルナバ
「山岳兵しか作れないピッツァ六種を20枚ずつ」


リリー「120枚?!」


バルナバ
「毎日食べても4年もつよw」


リリー「ーー4年分ってw作りすぎでしょ」


リリーは笑った。


バルナバ
「寂しくなったらピッツァ食べて元気だして。
ーー俺にはもう、これしかしてあげれないから」

バルナバは悲しげに微笑んだ。


お互い肌で感じていた。

残された時間は、本当にあと少しであることを。


リリー
「………」

色んな思いが込み上げてきて、リリーは俯いた。


一緒に遊んだ幼少期、初めて戦ったエルネア杯、共にゲートに入って戦った突入戦。







人生のほとんどを、この人が占めていた。



リリー
「ありがとう……」

涙をこらえて顔をあげる。バルナバを困らせてはいけない。

本当に辛いのは、死期が迫っている彼の方なのだから。


リリー
「バルナバ君はなにがほしいのかなー?タルトタタン?ザッハトルテ?プリン?」


バルナバ
「リリーちゃん…星の日じゃないんだから」

星の日に話しかけてきたバルナバにリリーは子供たちと同様にプリンをあげたことがある。思い出してバルナバは微笑った。リリーも微笑いながらピッツァのお礼に食べやすそうなプリンを渡した。





バルナバとの別れはすぐそこまで迫っていた。