エルネア王国の護り人 バルナバ・マルチネス | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。……

 

 

ついにこの日がきてしまった。

 

 

できるなら、ずっと時を止めていたかった。

 

 

 

モニカ国初期住民の寿命ネタバレ、タイトルからして誰であるかバレバレなんでもはや何を注意喚起するのか謎ですがご注意ください…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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チェロ「お誕生日おめでとうー!!」

 

 

無邪気な弟のチェロの声が王家の居室に響き渡る。

 

今日はセシリアの誕生日だった。

 

 

セシリア

「ありがとう♪

こうして祝ってもらうと嬉しい」

 

 

みんなにお祝いしてもらい、玉座の間に出る。

 

 

隣の部屋の騎士隊長の居室を覗くと、隊長のリリー・フォードは何も食べず椅子に呆然と座っていた。

 

 

 

 

今日、リリーにとって戦友であるバルナバ・マルチネスが危篤になっていた。

 

セシリアはかける言葉も見つからず、無言でその場をあとにした。

 

 

そこに恋人のレドリーが会いにきてくれた。

 

レドリー

「おはよう、セシリア。

誕生日おめでとう♪

今日は一段と魅力的に見えるよ」

 

優しく微笑んだ。

 

 

 

セシリア

「ありがとう…!

誕生日を愛する人に祝ってもらえて、幸せ♪」

 

レドリーの微笑みに、沈んだ気持ちが軽くなる。

 

自分はなんて幸せなのだろうとセシリアはしみじみと感じた。

 

 

レドリーと外に出ると、イムピョンが仲間たちとどこかへ向かっているのがみえた。

 

 

レドリー「また悪さしなきゃいいけど」

 

イムピョンのせいで危うくイマノルが下着泥棒になるところだった。魔物以外では平和なこの国ではしばらく笑いのネタになりそうだ。

 

セシリア

「よく、言い聞かせておくね…💧」

 

 

 

 

ローデリック

「殿下、お誕生日おめでとう♪」

 

 

セシリア

「ありがとうございます…!」

 

 

 

わざわざ朝に会いにきてくれて嬉しいなぁとセシリアは微笑んだ。

 

 

ニーノ「これ良かったら食べてね」

 

同級生のニーノは爽やかに差し入れして去っていった。

 

 

 

 

 

゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.―

 

 

 

リリー時代は、バルナバと距離をとっていたのもあって、リンゴ時代に多く訪れたマルチネス家。

 

 

リンゴの子供時代にふざけてつけたガルフィン魔銃師会のバナーが残っていた……

 

 

二階にあがると、バルナバを見舞う人がいた。

 

 

 

ガルフィン魔銃師会のバナーが二つもつけられていた。

 

 

 

ーーごめん……

すっかり忘れてた。

滅多にこないから…

 

 

見舞っていた人が帰るとバルナバは身体を起こして椅子に座った。

 

 

 

バルナバ

「おはよう」

 

 

いつものように、バルナバは穏やかな笑みを浮かべて挨拶を返してくれた。

 

 

でも……

 

 

屈強な山岳兵の彼もこの日は辛いようで、すぐにベットに横になった。

 

 

 

いつもと一緒にみえても、バルナバの肩には黒い天使がいる。

 

 

 

セシリア

「……具合はどうですか…?」

 

 

 

 

 

バルナバ

「殿下か……

まあ、こうして寝ていれば

明日には良くなるよ……」

 

辛いのに、みんなに気を遣わせたくなくて、亡くなる人たちはこう言うんだ…

 

 

 

゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――

 

一旦マルチネス家をあとにする。

 

 

 

山岳顧問のウォーレスが誕生日を祝ってくれる。

 

 

バルナバと共に、山岳兵団を盛り上げた隊長の一人。

 

シモーヌ、アリス、バーニー、バーニス……そしてバルナバがガノスに向かう。

 

彼は何を思っているのだろう。

 

 

 

昼からはレドリーと約束をしていた。

 

アーロンとゼノヴィアちゃんが結婚したとテロップが流れた。

 

ルイスがよく告白しているうちの1人がゼノヴィアちゃん。

 

これでルイスが少しでも他の人を見てくれればいいけど……

 

 

 

 

セシリアはあまり食欲がなくてスープ、レドリーはシチューだった。

 

 

 

食事をしている間にも、

 

 

「バルナバ兵団顧問が……」

 

バルナバが危篤だということを国民たちが沈痛な面持ちで話していた。

 

セシリア

(バルナバさん……本当にたくさんの人に慕われているんだなぁ…)

 

 

 

レドリーとの別れ際、レドリーはセシリアの頭を撫でてくれた。

 

 

セシリア(嬉しいな……)

 

それだけでセシリアは幸せだった。

 

 

 

 

 

 

 

ドルム山に行くと、ティアゴとチェロが何か話しをしていた。

 

 

セシリア

「珍しい組み合わせですね」

 

 

ティアゴ

「バルナバさんのお見舞いにいったら陛下たちも丁度見舞ってたところだったんですよ」

 

見舞いの帰りということもあり、三人は元気がないように思えた。

 

 

ヴェルンヘル

「セシリアもバルナバさんの見舞いかい?」

 

 

セシリア「うん」

 

 

チェロ

「もう一回行こうかなー?」

 

 

ヴェルンヘル

「今行ったばかりだし、

うるさくしたら悪いよ💧」

 

ヴェルンヘルはチェロの手を引いて早足でドルム山を降りて行った。

 

 

 

ルイス

「お誕生日おめでとう」

 

 

セシリア

「ありがとうルイス君」

 

 

ルイスと話していると、カルメロがひょっこり顔をだした。

 

カルメロはティアゴの息子イラリオの長男。

 

 

カルメロ

「あ、あのさ……殿下は好きな人とかいるの?」

 

おずおずと遠慮がちに訊ねてきた。

 

セシリア

「え?! まあ、……一応……」

 

 

 

 

カルメロ

「じゃあ、殿下はその人と結婚するんだ?」

 

 

セシリア

「うん、そのつもりだけど内緒にしててね」

 

 

 

カルメロ

「へー……そうなんだ」

 

カルメロはショックを受けた顔をしていた。

 

 

セシリア

(あれ?レドリー君と付き合ってること、カルメロ君は知らなかったのかな?)

 

 

スッと横を通り過ぎる人影をみて、セシリアは目を見開いた。

 

 

 

ルイスが (・∀・)ニヤニヤしながらレドリーを肘で小突いている。

 

レドリーは無言でドルム山の坑道に入っていった。

 

 

セシリア

(ーーなんでこんなところばっか聞かれるんだろう……重い女だって思われたかも……)

*8日の収穫祭の日もイサークに同じように聞かれて答えたところをレドリーに聞かれています

 

 

 

レドリー

(ーー甥っ子までセシリアを…)

 

レドリーはレドリーで、セシリアの気持ちを嬉しいと思いながら、セシリアに好意を寄せる人がまたいることが分かり内心穏やかではなかった。

 

 

 

再びマルチネス家をたずねるとバルナバはぐったりとしてベットに横になっていた。

 

 

 

しばらくしたら椅子に座り、妹のスピカが見舞いにきていた。

 

アラルコスの娘、グラディスもバルナバの見舞いにきていた。

 

 

 

イムピョン

「ぷぎゅるい☆」

 

 

セシリア

「ん?イムピョン、どうしたの?」

 

イム

「ぴゅぐるむい♪」

 

撫でてほしそうな顔をしていたのでセシリアはふにふにのイムピョンの頭を撫でた。

 

セシリア

「なでなで……

イムピョンは今日もふにふにだねー♪」

 

 

イム「ふみゅる〜♪」

 

撫でてあげるとイムピョンは満足した様子だった。

 

 

 

そこにアルシアがやってきてセシリアを祝ってくれた。

 

 

セシリア

「アルシアさん…!もう出歩いて大丈夫なんですか?怪我の具合はいかがですか?」

 

 

アルシア

「おかげさまでもうへっちゃらだよ〜。」

 

それからバルナバに声をかけてアルシアは帰っていった。

 

 

 

アスセナもセシリアを祝ってくれて

 

 

バルナバを見舞っていた。

 

 

 

セシリアは食べやすいものをバルナバに差し入れした。バルナバは「ありがとう」といい一口食べてくれた。

 

 

 

セシリア

「バルナバさん……」

 

 

バルナバ

「………なんだい?」

 

具合の悪いなか、バルナバはセシリアに笑顔を向ける。

 

 

 

セシリア

「………………昔…星の日、子供のおばあちゃんに泥団子をなげられてのを覚えていますか?」

 

 

 

バルナバ

「……うん……よく覚えているよ」

 

 

 

セシリア

「……あの泥団子は、おばあちゃんがバルナバさんへの思いを断ち切るために投げたものだと、聞いています」

 

この話をリリー本人からセシリアは子供時代に聞いたことがあった。

 

具体的にバルナバの名前をリリーは出してはいないが、リリーの年齢で当時成人した相手に泥団子を投げた相手……騎士隊にいれば結婚できない相手となると、バルナバしか当てはまらない。セシリアはそれに気づいていた。

 

バルナバからもリリーから泥団子を投げられたという話を聞いている。

 

 

 

バルナバ「………」

 

何も言わずジッとセシリアの声に耳を傾けている。

 

 

セシリア

「成人してから気持ちをバルナバさんに伝えていたら、バルナバさんはリリーおばあちゃんと付き合っていましたか?」

 

 

バルナバは目を丸くしていた。ベッドに腰をかけると深呼吸する。

 

 

バルナバ

「ーーどうかな。リリーちゃんの夢は騎士隊に入り、龍騎士になること……俺と一緒じゃ叶わない。リリーちゃんには、リリーちゃんらしく生きてほしい………答えになっていないかな?」

 

 

 

セシリア

「………………バルナバさんは、リリーおばあちゃんのこと、大切に想っていたんですね」

 

 

 

バルナバ

「……そうだよ」

 

 

バルナバはそう言って優しく微笑んだ。

 

 

 

部屋の外で微かに物音がしたセシリアはぴくりと動いた。

 

 

 

セシリア

「ーーごめんなさい、誰かに聞かれた…?!」

 

焦ったセシリアとは対照的にバルナバは全く動じなかった。

 

 

バルナバ

「ーー大丈夫、聞かれても大丈夫な人だよ」

 

 

 

セシリア「え?誰??」

 

 

 

バルナバ

「この微かな金属音は近衛騎士隊の鎧の擦れる音……金属の種類から、通常の騎士隊が装備しているとは別の、龍騎士装束に使われているもの……つまり、リリーちゃんだね」

 

 

セシリア「えぇ?!」

 

あんな微かな物音でそんなことが分かるのかとセシリアは驚きバルナバと音のしたほうを交互にみる。

 

 

もしリリーなら、話を聞いてしまった気まずさで部屋に入りにくいのかもしれない。最悪このまま立ち去ってしまうかも…

 

 

 

 

でも

 

 

 

ーー最後なんだよ!

 

 

セシリアは勢いよく部屋から出ると、部屋の前で突っ立っているリリーがいた。

 

表情を消して、今にも、泣きそうだった。

 

セシリアはリリーの腕を引っ張って、部屋の中に入らせた。バルナバがいるベットのほうにリリーの背中をドンと押してセシリアは退室する。

 

 

 

 

 

部屋にはベットに腰掛けるバルナバとリリーだけになった。

 

 

バルナバの肩にいる黒い天使をみてリリーは息を呑んだ。平静を取り繕うと、視線を壁に向ける。

 

 

リリー(なぜガルフィンのバナーがこんなに…)

 

 

奇妙な部屋に首を傾げつつ、気を取り直してバルナバの方へ向き直る。

 

 

リリー

「ーー具合はどう?」

 

 

 

バルナバ

「こうして休んでいれば明日にはよくなるよ」

 

いつものように、バルナバは微笑んでいるが、具合が悪そうなのはリリーの目からみても明らかだった。

 

 

リリー

「………ちゃんと横になって」

 

気まずそうにリリーはいうと、バルナバが腰掛けるベットの横にある椅子に腰をおろした。

 

 

 

 

明日にはよくなるって、そんなのこと、あるはずないのに。

 

 

リリー

「さっきの。鎧の擦れる音で騎士隊と見抜き、私だと特定したの……偶然?適当?」

 

 

 

バルナバ

「偶然でも適当でもないよ

俺はけっこう耳がいいんだ」

 

嘘をついているようには見えなかった。

 

 

リリー

「……そうなんだ……」

 

この人ならそうなんだろうなぁと納得してしまう。

 

山岳兵団は金属を取り扱っている。材質で音が違っているのを聞き分けられる人がいても不思議ではない。

 

 

バルナバ

「ずっと……昔から聞いてる音だからね。間違えないよ」

 

 

リリー

「………」

 

リリーは俯いて、ぎゅっと自分の手と手を握りしめた。

 

 

バルナバ

「リリーちゃんが子供の頃俺に投げた泥団子は、俺への嫌がらせだったの?」

 

バルナバは明るく聞いた。聞かれたリリーは驚きつつ、自分の気持ちはとっくの昔に彼に話しているので誤魔化す必要はないと判断し、

 

 

リリー

「ーーー恋人作ったバルナバへのせめてもの抵抗…悪い?」


と、口を尖らせた。

  

 

バルナバ

「………その抵抗は、可愛い…」

 

クスリとバルナバは笑った。

 

 

リリー

「ーーもう、遠い遠い昔の話…」

 

そう言って、リリーは睫毛を伏せた。

 

 

バルナバ「そうだね…」

 

 

窓からはそよ風が部屋に流れこみ、リリーのポニーテールを揺らした。

 

 

 

バルナバ

「もし、生まれかわったら……」

 

 

バルナバの言葉にリリーは目を開ける。真っ直ぐに向けられる黒い瞳に不安げなリリーの顔が映っている。

 

 「また、一緒にダンジョンに行ってくれる?」

 

 

 

リリー

「……また地獄の特訓しよっか」

 

情けない顔をして心配させてはいけないと、フッとリリーは笑っていう。

 

リリーが長年チャレンジダンジョンに友人たちを連れこんでいたのを、人は「騎士隊長の地獄の特訓」と呼び恐れていた。バルナバも、その特訓に巻き込まれた1人だった。

 

 

バルナバ

「ーーそれは、お手柔らかにお願いします」

 

 

2人は顔を見合わせると笑った。

 

 

 

バルナバ

「……あのさ……リンゴちゃんとティアゴ君にしたことと同じことをしてもいい?」

 

 

リリー「……うん?」

 

バルナバがベットから降りて立ったのでリリーもつられて立つとバルナバがそっとリリーを抱き寄せた。

 

 

 

遠慮がちの優しい抱擁だった。

 

 

 

 

 

バルナバ

「ーー今までありがとう。あとを……頼むよ」

 

 

 

 

リリー

「………………うん」

 

 

リリーの目から涙が溢れた。

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様……バルナバ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 国の平和を見届けて安心したかのように

 

 

バルナバは、家族に看取られて静かにガノスに旅立った。

 

ピンクの農管服を着ているのは、バルナバの妹のヒラリーさん

 

 

 

枕元には孫たち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルナバ・マルチネス

 

192年6日生〜218年12日没 

享年26歳

 

 

山岳兵団山岳2の家マルチネス家の長男として生まれる。

 

普段は穏やか彼は戦闘になると一変し勇猛果敢に戦う。有事の際も敵に一歩も怯むことなく戦い仲間と共に戦果をあげ活躍した。

 

209年エルネア杯優勝、バグウェル戦で勝利し龍騎士となる。

 

心優しい彼は多くの人に好かれていた。

 

 

仲間思いで、長きにわたり山岳兵団とエルネア王国を護ってきた彼の死は多くの人々が悲しんだという。

 

 

 


 

 

 

 

 

゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+

 

 

 

 

山岳2マルチネス家から、すすり泣く声と、

孫のタリアちゃんの悲しい声が響き渡った。

 

 

 

リリーは無言で、マルチネス家の二階を見つめ、下を向いた。

 

 

 

 

ポツンと涙が、乾いた地面を濡らした。

 

 

 

 

リリー・フォードはこの数年後、バルナバが亡くなった同じ12日にガノスに向かうことになる。

 

 

 

 

 




 

 

 

あとがき

 

モニカ国初期国民のバルナバ・マルチネスが亡くなりました。

 

最後から2番目と思われる初期国民の死です。

最後は、ガラちゃんの夫でありリンゴの友人のユアンのお父さんのフリアン・ユスチノフさんが最後なのかな……?違ったら申し訳ない……

 

 

バルナバは私のブログのお話の中で初期からいて長年山岳兵団の兵団長を務めるなど存在感の大きい人物でした。

 

 

このあと、リリーが幼い頃からの回想があるんですが……書けば書くほどどうにかならなかったのか、この2人……と切なくなりました。

 

 

リリーは先程書きましたが、数年後、奇しくもバルナバと同じ12日にガノスに向かうことになります。ここもまた不思議な縁を感じずにはいられません。

 

 

エルネアの楽しさ、切なさを教えてくれた最初の人はバルナバだった。

 

お疲れ様でした。