俺のポエム集が盗まれた! | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国を元に書いています。


この話は
の続きです。

非常にくだらない番外編です。







………俺はローデリック・チチェスター。


ローゼル騎士隊に所属している。



俺は今






「さっさと見つけろよ!この役立たず!」



このオレンジ頭に怒鳴られている。






ことの発端は数日前


我が国は、瘴気の濃度が上がったせいか魔物の数が増えて武術職はそちらにかかりっきりだった。


あの陛下が門番をするという謎の配置に首を縦に振ったくらいの異常事態。
(あれはリリー隊長に無理矢理やらされたんだと俺は思っている)


そんな頃に食べ物がなくなったり、

このオレンジ頭の日記……いや、ポエム集が消えたらしい。
ポエム集って…俺には理解できない領域だ。

オレンジ頭のポエム集など、心底どうでもいいが、運が悪いことに俺がこの件を担当している。



ーー今からでも辞退できるものなら辞退したい。



ルイス
「お前らなんのために騎士隊やってんだよ!早く俺の日記を見つけてくれよ!」
*ルイスはワガママな性格


ローデリック
「……少なくともお前のポエム集を探すために騎士隊に入ったわけじゃない」



騎士隊や他の人には「日記が盗まれた」ということになっているが、ルイスが盗まれたのはポエムの書かれたノートだった。それを知るのは担当であるローデリックのみ。


ルイス
「この件はローデリックさんが担当だろ!あのバカノルが国外に出ているうちに見つけてくれよ!アイツに見つかったら国中に言いふらされる!」


イマノルは囚われの人を助けにマーリンたちと国外に行っている。誰もがイマノルは役に立たないであろうと思っている。

ノリでついていったのだろうか。

ルイスとしては、そのイマノルがいない間に見つけだしてほしいと言っている。


ローデリック
「……はぁ」

ローデリックは大きなため息をつくと
「最善を尽くす」

と、踵を返して去っていった。



ローデリック
(なぜ俺がこんな仕事を……)




ルイス 
「あんな奴が担当じゃ、見つかりっこない…」


あいつにやる気もなければ表情もない。
ヒドイよルイス

ローデリックでは無理だと判断したルイスは盗まれたポエム集を探すことにした。



とはいっても。


「どこを探せばいいんだ!」

イライラと歩いていると、目の前で誰かが立ち止まった。


「どうしたの?」

可愛らしい女の子がルイスを怪訝そうに見上げている。




ルイス
「どうもこうも……俺の日記がなくなって探してるんだよ」


セシリア
「それは大変だね。私も手伝うよ」


ルイス
「……ほんと?」

ぼんやりとしてるこの女の子が役に立つが分からないが……


セシリア
「日記かぁ……背表紙は何色?」


ルイス
「……赤」


セシリア
「どこでなくしたの?」


ルイス
「日記を書いてそのまま机の上に置いておいたら朝起きたらなくなってた」


セシリア
「寝てる間に…?家族の誰かが間違えて持っていっちゃったとか?」


ルイス
「俺が起きた時、家族はみんな寝ていたんだよ。俺が寝るときは、先に寝ていたし」


セシリア
「そうなんだ…もし誰かがとったとして、どうして日記をとったんだろう」


ルイス
「面白がってじゃない?………ハッ?!まさか、あのバカノルか?!」

この国でそんなことをするのはイマノルしかいない…?!


セシリア
「たしかにイマノル君はからかうことが好きな人だけど、人の物を盗むなんてことしないと思うなぁ……」


なんだかんだいって、イマノルがそんな事をする人間でないとセシリアもルイスも知っている。

うるさいけれど気のいい奴だ。



ルイス
「ーーそうだね、あいつは俺の目の前で日記を読み上げて面白がるような奴だ」


やるなら、分かりやすく本人の前でアクションを起こす……イマノル・ボイドはそんな男だ…


セシリア
「食べ物ばかりが盗まれてるんだよねぇ……それって少し変じゃない?」



ルイス
「そう?腹が減ってるんじゃない?」



セシリア
「なんていうか……そんなに困ってる人がいるのかなぁ…それを周囲が気付かないのかな?」


ルイス
「そんな情けない姿はみせたくないんじゃない?ーーたとえば、あそこにいるあの人が実は金に困ってたとしてもそんな素振りはみせなそう」

と、通りかかったバルナバを見ながら言った。


セシリア
「バルナバさんは金持ちランキング1位だから絶対にないよ…」


ルイス
「だからさ。金持ちランキング1位から陥落したくないからお金を使いたくないとか」


セシリア
「うーん……それはないんじゃないかな……」

そんなことをバルナバ兵団顧問が気にするだろうか…とセシリアは苦笑する。


母のリンゴはバルナバに奢ってもらって酒を飲んでいたりするのをセシリアは聞いているので、人の食べ物を盗むなんてあり得ないと、セシリアは説明する。


ルイス
「まあーそうだよなぁ」

本気でそうは思っていなかったルイスは姿が小さくなっていくバルナバから視線を外した。



セシリアとルイスは人に日記の落とし物がないか人に尋ねたり、草むらに落ちていないか探してたりしていた。



成果は特になく、夕方になる。



疲れてきてルイスはぐったりとした様子で道端にしゃがんだ。


セシリア
「大丈夫?なにか甘いものでも飲む?」

トロピカルジュースを鞄から出してルイスに差し出した。


ルイス
「……ありがとう」


差し出されたトロピカルジュースを飲みながらルイスはため息をつく。


セシリア
「きっとそのうち見つかるよ、元気だして」


ルイス
「ーーそのうちじゃだめなんだよ」


セシリア
「どうして?」


ルイス
「あのバカノルが帰ってくるだろ!その前に見つけないと!バカノルに先をこされて読まれでもしたら!一生なにを言われるか!」

カッと目を見開いた。よほどイマノルにだけは見られたくないらしい。

セシリア
「それは……そうだね……」
ルイスの必死な様子にセシリアは飲んでいたジュースをごくりと喉に流し込んだ。


ルイス
「セシリア様にはそーゆーのないの?見られたら困るやつ」


セシリア
「うーん……子供の頃に書いた観察日記は人に見られちゃだめだよって言われたからそれかな?」

ルイス
「見られちゃいけない観察日記ってなにを観察してたのさ」


セシリア
「………ルイス君」


ルイス
「は?俺?!」

興味本位で聞いたら、まさかルイスの名前が出てくるとは思わなかったらしくルイスは驚きすっとんきょうな声をだす。


セシリア
「ルイス君が誰にフラれるかってやつだよ」


ルイス
「な、なんのために?!」


セシリア
「導師様が宿題でなにか観察しろって言うから、ルイス君でいっかーって」


ルイス
「なにその適当感!!」



セシリア
「誰にも見られないように保管してるから大丈夫だよ」


ルイス
「いっそ、燃やして!」

一刻も早くその黒歴史を消してくれとルイスは願うがセシリアは首を横に振った。


セシリア
「その観察日記の最後は導師様の観察を書いたんだけどね、その話をすると、導師様はホットチョコレートをくれるの。だから燃やせないんだー」

処分できない理由を聞いて、ルイスは大人しそうな王女をマジマジと見る。


ルイス
「………それ、確実に脅してるよね?」


セシリア
「脅してないよ」


ルイス
「ホットチョコレートは口止め料かなんかでしょ。そこにはなにが書いてあんの?」


セシリア
「内緒だよ♪」
セシリアは無邪気な笑顔で言う。その様子がルイスには恐ろしく思えた。


ルイス
(………セシリア様…黙っていれば可愛いのに……その笑顔の裏で魔銃師会の最高権力者を脅している…)


そこにちょうどティアゴが通りかかった。手にはホットチョコレートを持っている。ルイスの視線はホットチョコレートに注がれる。


ティアゴ
「セシリア様、これ差し入れです」

ホットチョコレートをセシリアに渡してきた。セシリアはニッコリと微笑んだ。

セシリア
「わあ、美味しそう。ありがとうございます」


ルイスは哀れそうにティアゴを見ている。



ティアゴ
「………なんだ?なぜそんな目で俺を見ている?」


ルイス
「導師も大変なんだなぁと思ってさ…」



ティアゴ
「??そこまで大変じゃないけど……ルイス、セシリア様にちょっかい出すなよ」

怪訝そうにしながらもルイスに釘をさすと、ティアゴは去って行った。


ルイス
(でもあの導師の弱みってなんだろう……)


セシリア
「美味しい、幸せー♪」

もらったホットチョコレートを飲みながらセシリアは幸せそうに笑った。


ルイス
(こうしていれば可愛いのに……王族って何考えてんだかわかんないなー)


隣で花でも飛ばしてそうな雰囲気を醸し出してホットチョコレートを飲むセシリアと雑談をしていると2人の前で誰かが立ち止まった。



「2人で何をしているの?」

不機嫌な声が聞こえてきた。声のする方に顔を向けるとムスッとした表情を浮かべたレドリーが立っている。


セシリア
「ルイス君の落とし物を探してるの。今は休憩中だよ」

レドリーの不機嫌な様子を気にすることなくセシリアは答えた。


レドリー
「ふぅん」

レドリーの鋭い視線がルイスに突き刺さる。

「俺が仕事している間、彼女に何かしてない?」


ルイス
「そんな暇があるか!日記を探してるのに!」

不機嫌そうに声をあげるルイスに、レドリーは疑い深げな顔をする。


レドリー
「暇があったら何かしてたってこと?」


ルイス
「暇じゃないんだからそんなこと聞くなよ!俺は探し物で忙しいんだ!」

唸り声でもあげそうな形相で言い返し、両者は睨み合う。





「うわーけんかだぁ」

目をまんまるにして、幼いチェロがレドリーとルイスを交互に見ていた。


レドリー
「喧嘩じゃないよ…」

レドリーはしゃがんでチェロに視線を合わせると、その手に何か握られているのに気がついた。


レドリー
「それは何?」


チェロ
「よくわかんなーい。拾った」


チェロの手には紙切れが握られていた。


レドリー「それ見せてくれる?」

チェロ「いいよー!」

レドリーは受け取り、紙に書かれている文字を目でおい、呟いた。


レドリー
「"キミがいるだけで世界はガガヤク、キミの声が聞こえるだけで世界は動く、キミが……」


レドリーの持っていた紙切れをルイスがものすごい速さで奪い取った。



レドリー「なにそれ?」


ルイス
「チェロ君!こ、これをどこで?!」


チェロ
「森の小道」


セシリア
「もしかしてルイス君の日記の一部?」


ルイス「そう」


レドリー
「今のが日記??どんな日常を書いたらあんな文章になるんだ?」恋人いないのに?


ルイス
「森の小道に行こう💢」
うるせーレドリー💢

レドリーの疑問に答えることなく、くるりと背中を向けてルイスは歩き出した。





三人は森の小道のダンジョンに入った。


ルイス
「お前までこなくてもいいのに」


レドリー
「セシリアに何かあったら困る」

また両者は睨み合うと、こんな奴とくだらないやりとりはしている暇はないと言わんばかりにすぐに2人は顔を背けて歩き出した。


ルイス
「…他に落ちてないかな」


ルイスたちは注意深く辺りを見回しながら、たまに出る魔物を倒していった。


途中でセシリアが木のねっこに足をとられて転びそうになったのをレドリーが支えて助ける。

レドリーに触れられてセシリアが顔を赤くして2人はパッと離れた。


ルイス
(………こいつら爆発してしまえ)

ルイスは2人が魔物にでも追い回されればいいのにと思った。




しばらくしてからレドリーが気づく。



レドリー
「なんだかおかしいような……」


セシリア
「おかしい?」


レドリー
「森の小道はステージ3までなのに……とっくに出口が見えてもいい頃なのに……」

いつまでもダンジョンから出ることができないのでおかしいと辺りを見回した。


ルイス
「それにもう夜2だ……なぜ、出れないんだ?」


空は漆黒に染まり生い茂った木々の間からわずかに月明かりが漏れて足元をぼんやりと照らしている。


セシリア
「私たち迷っているの?」


辺りは真っ暗で木々はざわめき、不気味な雰囲気が辺りを包んでいた。






ルイス
「うわ!なんか変なミッション出てるし!」

ーーまさか俺が2人の不幸を願ったからこんなことになったのか?


レドリー
「進むしかない、行こう!」


セシリアは不安そうな顔をしているのでレドリーはセシリアの頭をやさしく撫でた。


レドリー
「大丈夫だよ、俺が守るから」


セシリア
「……うん!」

セシリアはパッと明るく笑った。それを見ていたルイスは再び

(こいつら爆発してしまえ)
と内心毒づいていた。




森の小道から抜け出せないでしばらく歩き回っていると、なにかの気配がした。

セシリアはびくりと震え、レドリーとルイスは剣を構えながら気配のするほうに鋭い視線を向ける。




「………いた」


気配の主が感情のない声をだした。緑色の髪の毛に騎士隊の鎧に身に纏ったローデリックだった。


「本当ですか?!」

女性の声がして足音が近づいてきて三人の前に姿を現す。


ラナ
「セシリア様!ご無事ですか?」

ローデリックとラナがセシリアたちを探しに森の小道を捜索していた。


セシリア
「は、はい……」

捜索されていたことに驚きつつ、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


森の小道で大人が保護される


レドリー、ルイス、セシリアの三人は気まずくなった。


ローデリックとラナに保護され、一行は無事に森の小道から脱出した。


時刻は夜の4刻をまわっていた。








その後三人はローデリックに怒られた。



苦労したというのにポエム集のカケラでさえ発見には至らなかった。