218年[訳ありの旅人]セシリア王女の横恋慕 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。

 

 

前回は

[終わりなき旅の果てに]雨夜の品定めにて解かれたパズル

→明絃さん担当です。



セシリアが情念の炎を使ってレドリーに告白するシーンは

218年[訳ありの旅人]王太女セシリアと情念の炎

 →イムゆめ担当です。

 

 

 

 

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この日

 

畑の世話をしようと移動していると、セシリアは視線を感じた。

 

 

その人も畑の世話をしにきたようで、すれ違いざまに睨みつけてきた。

 

 

 

ーーレドリーの彼女のマルティナだった。

 

 

憎悪を感じさせるような表情を浮かべてセシリアを睨むと、無言で去っていった。

 

 

セシリア

(こ……こわ……)

 

なにか言われるのも怖いが無言も怖いと思った。

 

 

 

 

 

ぼんやりと畑仕事をしていると誰かに声をかけられる。

 

 

振り返ってみるとそこにはレドリーの姿があった。

 

 

姿を見ただけでセシリアの心臓が高なった。

 

 

「二人だけで話がしたいんだけど……場所かえていい?」

 

 

 

セシリア

「ーーうん…」

 

昨日の返事だと直感したセシリアはコクリと頷いた。

 

 

 

レドリー

「じゃあ、いこう」

 

 

レドリーの後ろをついていくセシリアは緊張してとにかく落ち着かない……

 

色んな感情が交差していると、幸運の塔にルイスが女の子を連れて入っていくのが見えた。

 

 

 

 

ルイスたちが先に歩いていたのに

 

気づいたら追いついてしまった。

 

 

 

幸運の塔につくと………

 

 

 

レドリーは緊張した面持ちでセシリアに向き直り、真っ直ぐ見つめてきた。

 

 

 

 

 

レドリー

「あの………昨日の返事だけど。

俺も、セシリア様のことが……好きなんだ。

よかったら付き合ってほしいんだけど…」

 

 

 

 

セシリア

「ーーーっ」

 

 

驚きと嬉しさで最初は言葉が出なかった。

 

 

 

セシリア

「………うん……よろしくお願いします…」

 

 

 

 

 

 

セシリア

「……マルティナさんとは………?」

 

恐る恐るという風に聞くとレドリーは頭をかいた。

 

 

レドリー

「昨日……別れたよ。」

 

 

さっきのマルティナのあの態度はそのせいだったようだ。

 

 

 

セシリア

「あの……」

 

 

レドリー

「ん?」

 

 

セシリア

「私じゃあ、経験もなくてレドリーさんを満足させられるか分からないけれど、その……」

 

モゴモゴと言うとレドリーは首を傾げた。

 

 

レドリー

「なんの話?」

 

 

セシリア

「マルティナさんが、えっと……レドリーさんとヤッたのも、満足させられるのも自分だって言ってたから…」

 

セシリアは恥ずかしそうに目を伏せた。

 

 

 

レドリーは驚いた様子で目を瞬かせると、クスクス笑い出した。

 

「何を言い出すのかと思えば…成人したばかりのセシリア様になんてことを言うんだ、あの子は……」

 

 

笑いを収めるとレドリーはコホンと咳払いした。

 

レドリー

「……付き合ってはいたけど、そういう事はしてないよ」

 

 

セシリア

「………そう、なの?」

 

安堵と疑心の入り交じったような感情だった。

 

 

レドリー

「父さんが……結婚するまで絶対に手を出すなって言うし」

 

 

レドリーはパパっ子みたいに父親のティアゴの周りをいつもウロついていたので、ティアゴの言うことにら素直に従うらしい。

 

 

「だからね」

 

 

レドリーらセシリアの頭をそっと撫でた。

 

 

「すぐ手出したりしないから大丈夫だよ。我慢するから」

 

 

 

セシリアの不安を察したのかレドリーは優しげに微笑んだ。

 

 

セシリア

「う、うん……」

 

頭を撫でられてセシリアは身体を硬直させた。

 

 

レドリー

「明日どこかに遊びに行く?」

 

 

セシリア

「う、うん!」

 

セシリアは顔を輝かせた。

 

 

レドリー

「明日、お昼に街門広場で待ち合わせ」

 

 

デートの約束を早速して、喜び溢れているセシリアの真横で、

 

 

ルイスはリアーヌちゃんにフラれていた…

 

 

 

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夢でも見ているのではないかと思いながらフラフラ歩いていると声をかけられる。

 

 

イラリオ

「おめでとう、セシリア様」

 

開口一番にこう言われてセシリアは顔が熱くなるのを感じた。

 

セシリア

「お、おめでとうって…」

 

 

イラリオ

「弟のこと、よろしくね」

 

差し入れをセシリアに渡しながらイラリオはニヤリと笑った。

 

 

 

レドリーの兄の次は、父親がやってきた。

 

 

ティアゴ

「セシリア様、これ、約束の……」

 

ティアゴはセシリアの子供時代に約束したホットチョコレートを持ってきた。

 

セシリア

「うわぁ、ありがとうございます!!」

 

レドリーの父親からという効果もあって、セシリアは大喜びだった。

 

 

ティアゴ

(ーー?すごい喜びよう……そんなにホットチョコレートが好きなんだ……)

 

リンゴと同じように、あげがいがあるなとティアゴは口元を綻ばせた。

 

 

そういえば、雪の日にホットチョコレートをアイツと飲んだなと思い出しながら歩いていると前方にローデリックがいた。

213年〜14年 バグウェルマラソンとティアゴとリンゴの雪合戦

 

 

ローデリックはティアゴを見ると

 

 「お前の孫は未来の国王になるんだな」

 

ティアゴの横に並んで歩き出した。

 

 

 

ティアゴ

「ーーは?いきなりなんだ?」

 

何を言ってるんだとティアゴは訝しげだった。

 

 

孫はいるが、ただの普通の国民だ。

 

 

ローデリック

「セシリア様の恋人欄、見てみれば」

 

いつも無表情のローデリックが薄ら笑いを浮かべているのでティアゴは気持ち悪いと思った。

 

 

ティアゴ

「セシリア様の恋人欄……?」

 

さっきご機嫌だったのは恋人が出来たからなのか、ふーんと思いながら見てみると

 

 

ティアゴ

「ーーは?」

 

セシリア王女の恋人欄を見てティアゴはマヌケな声を出して、相手の名前を凝視した。恋人がいるはずの自分の息子の名前がなぜか記されていた。

 

 

「はぁーー?!どういうことだ?!」

 

 

自分でも驚くほど、大きな声を出してティアゴは仰天した。

 

 

 

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Xはエリオンの調薬室で作業をしていた。

 

 

コツンコツンと階段を降りてくる音がして振り返ると、鎧をまとった女性ーーリリー・フォードだった。

 

 

X

「あら……珍しいわね。薬が欲しいの?」

 

 

 

リリー

「ううん……Xが1人でここにいるからきたの」

 

リリーはXと話す機会を伺っていた。

 

 

X

「私に何か話でもあるの?」

 

 

 

リリー

「前に私が怪我をした時……手当てしてくれたのはマーリンさんのお父さん、、でしょう?」

 

 

 

 

X

「………どうしてそう思うの?」

 

 

 

リリー

「見た目が、マーリンさんによく似てるのと、マーリンさんの息子さんに似てる。そして、あの医療技術……マーリンさんがいた国の医療技術が確かであることをX……あなたは最初から知っていた」

 

 

 

X

「ピンポーン。正解」

 

Xは楽しげな声を出しながらも目線は調薬している手元に注がれていた。

 

 

リリー

「………209年にもきてくれたでしょう?私が酒場の部屋で寝込んでる時に診察にきてくれた」

 

 

 

X

「ーー覚えてるの?診察してもらった時はリリーには意識がなかった気がしたけど」

 

 

 

リリー

「声は聞こえてた…」

 

気まずそうに視線を外した。

 

 

X

「………聞こえちゃった?」

 

Xが調薬の手を止める。

 

 

 

 

リリー

「あなた、レイラって名前なんでしょう」

 

 

リリーの言葉にXは悟ったかのようにため息をついた。

 

 

X

「…あぁ、リリーの部屋で話すべきじゃなかったわねー」

 

リリーの口からレイラという名前が出るということは本当に聞かれたんだと悟り、Xは困ったように笑った。

 

 

「でもどうして?私の素行に気づいてどうして今まで誰にも言わずにいたの?」

 

 

リリー

「ベラベラ喋ることじゃないでしょ…」

 

リリーは素っ気なく言った。

 

「アーサー先生とXは、本当に仲が良さそうで…」

 

 

 

X

「アーサー先生は、憎たらしいことばっかり言ってきたけど」

 

 Xはわざとらしく肩を竦めた。

 

 

リリー

「アーサー・シャーフという旅人はそれ以降きてないけど……アーサー先生は……」

 

 

X

「リリーを最後に診察した翌年、亡くなった」

 

Xは淡々とした様子だった。

 

 

 

リリー

「ーーーそう………他国のアーサー先生とはどうやって知り合ったの?」

 

 

 

X

「昔…この国に来る前に寄った国で、知り合ったの。私ね、その時お金がなくて、彼は同情して奢ってくれたの」

 

当時を思い出し、Xは苦笑いした。

 

 

 

リリー

「そ…そうなんだ…」

 

Xにもそんな時代があったのかと意外に思った。

 

 

X

「ーーーリリーも仕事があるんでしょ?いかなかくていいの?」

 

Xは調薬作業を再開しながら言った。

 

 

リリー

「……またね」

 

 

鎧のこすれる金属音が階段を上がって消えていく。

 

 

 

龍騎士であるリリーが倒れたことを黙ってくれていたXの秘密を、リリーが喋るはずもなかった。

 

 

X

「ーーーまさか聞かれてるなんてね」

 

 

彼女の呟きは、誰かに聞かれることもなく消えていった。

 

 

 

 

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セシリアの浮かれている気持ちも、この人を見るとすぐに引っ込んだ。

 

 

 

会いたくないときに限って、会ってしまう…

 

 

 

エルネア王国は、狭い…

 

 

 

マルティナ

「おめでとう、セシリア様」

 

 

にっこりとセシリアに笑いかけるマルティナはセシリアにとって恐ろしいもの以外の何者でもなかった。

 

 

 

「レドリーと付き合うことになったんだって?」

 

 

 

セシリア

「………はい」

 

 

マルティナ

「あなたみたいなお子ちゃまのどこがいいのかしら」

 

 

 

セシリア

「………」

 

 

セシリアは黙って俯いた。

 

 

マルティナは理不尽なことを言っているわけではない…

 

 

彼女が怒るのは当然だった。

 

 

セシリアはマルティナからレドリーを奪ったのだから。

 

 

 

マルティナ

「どうせーー王家と王配って地位に目が眩んだんでしょう」

 

 

 

セシリア

「ーーーレドリー君はそんな人じゃない…」

 

自分のことなら反論するつもりはなかった。

 

 

だけど、レドリーへの悪口ともとれる発言は聞き流せなかった。

 

 

 

マルティナの眉がつり上がった。

 

 

マルティナ

「随分と自信たっぷりだね。あなたに、王女以外どこに魅力があるの?」

 

 

 

「こんにちは〜」

 

 

そこに場違いなほど呑気で穏やかな声が聞こえてきた。

 

 

ピンク色の髪の毛のちょっと太眉の可愛らしい女性…

 

 

 

 

 

 

 

セシィー・ランフランク。

 

 

マルティナとセシリアにの周りにあった不穏な雰囲気が飛んでいった。2人はセシィーに挨拶をした。

 

 

セシィー

「そういえば!マルティナちゃん、魔銃師会に志願してるんだねー!頑張ってね、応援してるよ〜」

 

 

セシィーはにっこりと微笑んだ。

 

 

 

マルティナ

「あ、ありがとうございます…」

 

現役の魔銃師会の人間に言われたためかマルティナは少し嬉しそうな表情を浮かべた。

 

セシィー

「可愛い女の子が入ってきたら嬉しいなぁ。絶対入ってね!」

 

 

マルティナ

「頑張ります」

 

 

マルティナはセシィーに会釈すると、去っていった。マルティナの姿が見えなくなると、

 

 

セシィー

「大丈夫??」

 

と心配そうに声をかけてくれた。

 

 

セシリア

「……平気です……あの、ありがとうございます」

 

 

セシィー

「なんだか面白いことになってるねー。ティアゴさんとリンゴちゃんの子供たちが付き合う、かぁ」

 

セシィーはしみじみとした様子で言った。

 

 

 

「マルティナちゃんにあんなこと言って、本当に魔銃師会入りしたらティアゴさんに『気まずいじゃないか、どうしてくれるんだ』って文句言われそう」

 

 

本当に言いそうだとセシリアも思って、セシィーと顔を見合わせてクスリと笑った。

 

 

 

 

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その日の夜

 

 

 

 

 

 

 

セシリアはヴェルンヘルの横に座った。

 

 

 

ヴェルンヘルは何も言わずに前を向いている。この様子に、すでに知っているんだと感じながらセシリアは口を開く。

 

 

 

セシリア

「今日…レドリー君に告白されて、付き合うことになったの」

 

 

ヴェルンヘル

「………」

 

 

セシリア

「……………」

 

セシリアは無言の父親の横顔を見て視線を彷徨わせた。

 

 

 

 

 

「よかったね」

 

 

 

 

優しい声が聞こえてセシリアは驚いてヴェルンヘルを振り返る。

 

 

 

ヴェルンヘル

「ーー父親としては可愛い娘がとられるのは複雑だけど…」

 

 

複雑な胸中にヴェルンヘルの表情が歪んだ。

 

 

セシリア

「お父さん……」

 

 

ヴェルンヘル

「交際は認めるが、アイツと空き家に入ったり、結婚する前に変なことするのは禁止だよ」

 

 

セシリア

「変なことって具体的には何を指しているの?」

 

わざと分からないフリをしてみると、ヴェルンヘルは分かりやすく慌てた。

 

 

 

ヴェルンヘル

「と、とにかく!空き家とか相手の家で2人きりとかダメ!分かった?!」

 

 

 

セシリア

「はーい」

 

 

 

父娘のやりとりを隣の部屋のベッドに横になりながら聞いていたリンゴはクスクスと笑っていた。

 

 

続きは

[終わりなき旅の果てに]春の夜の夢のごとし&父子の絆

→明絃さん担当です⸜( ´ ꒳ ` )⸝



 

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マルティナは魔銃師会志願、イラリオはこの頃、騎士隊に志願している。