*Holiday Dinner 2021*
コロナの為の人員不足で、アメリカではクリスマス前後の飛行機が何千便も欠航して大変だったようです。
前回のブログにも書きましたが、私には毎年年末年始を一緒に過ごすのが恒例になっている、DC在住の双子の姉がいるのですが。
コロナが心配なので、去年に引き続き今年も来るのを見合わせることにしまして…とても残念だったのですが、このニュースを聞いて「来ないことにして良かった〜」と改めて思いました。
もし来ることにしていたら、行きも帰りも飛行機が無事飛ぶかどうか、また感染していないかどうか、ヒヤヒヤしっぱなしだったでしょうから…。
来年こそは一緒に祝えますように!と祈るばかりです。
さて、そんな訳で25日はまた夫銀之丞と二人だけのクリスマスディナーとなったので、若干力(手?^^)は抜き加減になったかな?
銀之丞は「今年のメインはラム!」と数ヶ月前から心に決めていたようで、私も依存はありませんでした。
25日、いつものように夫が下ごしらえを始めたそばで私はテーブルセッティング。
メインのラムは、本当は脚(レッグ・オブ・ラム)が、それも骨の抜いてある物が手に入れば良かったのですが、思ったような大きさのがなかったので…。
ラック・オブ・ラム、仔羊の背肉のローストになりました。
量的にもこの方が二人にはピッタリですし(もちろんこれでも一度に食べるには多すぎますが)、柔らかい背肉は私の好物です。
シャンパンを開けて「Merry Christmas!!」
綺麗なロゼ色に焼けた仔羊!
*Garlic and Herb–Marinated Rack of Lamb
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム——家では昔の歌にちなんで「スカボローフェアミックス」と呼んでいます——と、にんにく、オリーブオイルでマリネしておいたラムは、香りよく味もよく。
後は本当に見慣れた顔ぶれが並びました。
*Dressing with Oysters, Candied Yam with Lemon Zest, Sautéed French Beans with Mushrooms and Red & Yellow Bell Pepper, and Compote of Fig, Pear & Raisin
中はしっとり、外はカリッと焼きあがった牡蠣入りのドレッシングは旨味たっぷりのブレッドプディングのよう。
ヤムイモの飴煮は、今回はレモンの汁と皮のすりおろしを多めに加えてさわやかな味わいでした。
細めのインゲンとマッシュルームのソテーには赤と黄色のパプリカを入れて、ちょっとクリスマスを意識したのだそうです。
地味な色目のイチジクと洋梨とレーズンのコンポートだけは私が作りました…と、これも毎年恒例の一品。
全品盛り合わせたところの写真を撮ったはずなのに、どうもスマホの容量が一杯になったか何かで保存されておりませんで…。
一昨日、レフトオーバーを食べた時の写真をアップしておきます。
あ、左上のムール貝のガーリック風味のパン粉焼きは、この日私が作ったものです。
*Roasted Mussels (& Oysters) with Garlic-Parmesan Crumbs
本当はクリスマス当日に作ろうとムール貝を買ってあったのですが、考えてみたらにんにくとハーブの味付けがラムと被ってしまうし、焼きたてのラムを沢山食べたかったので取りやめにしたのでした。
小鍋にムール貝を入れ、ベルモット(白ワインがなかったので)を注いで強火にかけて蓋をし、貝の口が開いたところで取り出し、殻から身を外したらまた殻に戻し、天板に並べます。
夫がドレッシングに使った生牡蠣が残っていたのでこれもムール貝の大きさに合わせて切り、殻に入れて天板に並べました。
パン粉、パセリとにんにくのみじん切り、パルメザンチーズ、塩少々を混ぜたところに、オリーブオイルを全体がしっとりする程度注ぎ入れます。
このパン粉ミックスを、貝の身の上にぎゅっと押し付けるように乗せて、オーブンの上段に入れて、500℉ (=260℃)のブロイラーでパン粉に焦げ目が着くまで焼いて出来上がりです。
チーズを多めに入れたつもりだったので割愛したのですが、やはりバターをひとかけ乗せて焼いた方がより美味しくなったかもしれません…(次回リベンジです!)。
そして、今回のこのムール貝のお料理は。
実は私の「クリスマス料理を食べる時に読む本」の中の一冊、岩館真理子著の短編「ホロホロ鳥」からインスパイアされて作ったのでした(集英社刊「まだ八月の美術館」収録)。
いえ、本の中にその料理名が出て来る訳ではないのですが…。
この上の絵の中で七面鳥の丸焼きのすぐ下に描いてあるお料理が、ムール貝のパン粉焼きのように見えるのですが…どうでしょう?(あ、私もレモンくらい添えればよかったですね…。)
主人公は、9歳の時に初めてお呼ばれしたクリスマスパーティーでご馳走を食べて以来、「一年で一番おいしいのはクリスマスのお料理だ」と信じている「藤枝さん」。
以来、毎年どこかしらのパーティーにお呼ばれしては「最高に幸せ」なイブを過ごして来た藤枝さんですが。
13歳の年のイブを前に、「クリスマスは毎年不三屋(ママ^^)のケーキとおいなりさんとちらし寿司だし、おじいちゃんとおばあちゃんはハンテンを着てるし」とグチる友達に、「自分がこれまで、いかに素晴らしいイブを過ごして来たか」を切々と説いていたところ、その友達はこれをイヤミな自慢と捉えたらしく…。
いつの間にか「今年は藤枝さんちで盛大なクリスマスパーティーが開かれるらしい」という噂が流れていて、招待されたことになっている4人の友達は来る気満々。
慌てた彼女は家(6畳一間のアパートらしい)の大掃除をし、健気にテーブルクロスやカーテンを手作りしてみるのですが。
「ご馳走は? チキンは? キャンドルは? ツリーや飾りや、ケーキは?」
ふらふらとデパートに入った彼女は、目に付いた鳥の置き物を「これが七面鳥かなっ? 本物はムリでもせめて人形を…」と購入。
が、帰り道によく見てみると、台座の裏には「ホロホロ鳥」の文字が…彼女は落胆を隠せません。
それでも当日、料理の苦手な母親に頼み込んで何とか鳥肉のお料理だけは作ってもらい、お菓子やサラダや不三屋のケーキを用意し、精一杯の準備を整えて友人達を迎えるのですが…。
「これ…なんの肉?」と友達に聞かれた藤枝さんは、思わず「ホロホロ鳥のポワレ」と答えてしまうのでした…。
この後の展開で、この物語は大人になった主人公の「ちょっとこっけいで悲しかった13歳のクリスマス」の追想だったことが分かります。
「そんなことを思い出したのは32歳の12月24日 レストランのメニューの中に発見した”ホロホロ鳥”からだった」
「それがちゃんと食べられる鳥だったことを わたしはこの日まで知らなかったのだ」
岩館真理子氏の作品は概して少し悲しくてユーモラスで…そう、まさに「ちょっとこっけいで悲し」くて、読んだ後に心が「しーん」としてしまうような物が多いのですが。
この「ホロホロ鳥」は、最後に描かれている藤原さんのシルエットが幸福そうなので救われます。
今回、改めてレビュー(みたいな物)を書く気で読んでみると、短い作品ながら、一人の女の子のクリスマスのふわふわした思い出を、ユーモアとペーソス溢れる視点で描き、最後のたった一ページでエピソードを帰結させ、読者を納得させてしまう作者の巧みさに唸ってしまいました。
ここしばらく、新作が発表されていないのが残念です。
さて、この「ホロホロ鳥」、どんなトリなのか気になりますよね。
私は以前に何度か、食べたことがありました。
こちらは5年前の誕生日に、レストランで食べた「ホロホロ鳥のトリュフソース、フォアグラとパースニップ(白にんじん)添え」です。
*Guinea Fowl for Two - parsnip, foie gras, braised celery, sauce perigourdine
英語では「guinea fowl (ギニーファウル)」。
キジ科のトリで、特にクセもなかったと思います…チキンやガチョウより脂が少ない感じだったでしょうか。
以前アップした記事です。→「まさかの『×2』?!-双子のバースデーディナー IN and OUT と「ホワイト・クリスマス」
このレストラン「Patina」はディズニーコンサートホールのお隣という立地も便利で、夫と私のお気に入りのレストランだったのですが…コロナ禍の煽りを受けて去年閉店してしまいました…本当に残念です。
ニューヨークの本店の方は健在なようなので、いつか機会があったら是非訪れてみたいと思っています。
もう一つ。
ブログで日本の皆さんのクリスマスの様子を拝見していたら、綺麗で美味しそうなケーキのオンパレードで…今回デザートを用意していなかったのがとても悔やまれまして。
夫に言ったら韓国系ベーカリー「Paris Baguette」から「ブルーベリーシフォン」を買って来てくれました。
*Blueberry Chiffon Cake
三日遅れでケーキにありつけました。
今年はこれが最後の更新です。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。
来年はより平穏な、明るい年となりますように。