*Treats for Hot Summer Days*
いつになく寒い3月、4月だと思っていたら、先々週くらいから突然夏日、真夏日が続くようになったロサンジェルスです。
そんな訳で、先週は今年初の冷やし中華を食べました。
*Cold Ramen Salad with Beef, Cucumber, Daikon Root, Tomato, Okra and Onion
牛肉が、鍋物用に買ってあったパックだったので多過ぎました…いつもの倍量だったので、超てんこ盛り!(見苦しくてごめんなさい)。
私はさすがに食べ切れませんでしたが、ビーフ・イーターの夫銀之丞は大喜びで完食!
こちらのハムは塩気がきつくて、タレと一緒では食べにくいので、我が家で冷やし中華というと「牛しゃぶ」が殆どです(2011年にアップした作り方でした→「牛しゃぶサラダの冷やし中華」)。
チャーシューを使えば本格的なんでしょうけど、一から作る気概はありません…チキンのモモ肉を茹でたり、一羽買って来たローストチキンの胸肉を使ったりすることもあります。
そして暑くなって来てから、夫から熱烈なラブコールがあったのがこちらの…。
*Homemade Vanilla Ice Cream
ホームメイドのバニラアイスクリームです。
これを作っちゃうと全くダイエットにならないので、ここ数年封印していたんですが…。
2年ほど前に見つけて喜んで通っていた近所(と言っても車で15分ほど)のおいしいアイスクリーム屋さんが閉店してしまい…(やっぱり食べてたんじゃないかって?…そのトーリ!…)。
じゃあしょうがない、自分で作るか!…と、しまいこんでいたマシンを引っ張り出しました。
この機械、モーター音がものすごいので、キッチンではなく、ドアのある部屋に閉じ込めて作ります^^;。
久しぶりだったので、材料を揃えていたら上手くできるかどうか、ちょっとドキドキして来ちゃいました。
牛乳にバニラビーンズとお砂糖少しを入れて温め、残りのお砂糖と卵を混ぜたところです。
詳しいレシピはこちらです→「崇高な味?——バニラアイスクリーム」。
色々なレシピを見て試し、たどり着いた作り方です。
出来たカスタードをこんな風に少し泡立てて…。
同じくらいのとろみがつく程度に泡立てた生クリームと合わせてからマシンに入れると、口どけの良いアイスクリームが出来ます。
夫はこんな風に、砂糖漬けのイチゴと、その時出たたっぷりのシロップと一緒に食べるのがお気に入り。
こちらのイチゴは、百年前から「改良する」なんて考えたことさえない、という風貌と味の、大きさも不揃いで固くて酸っぱい…言わば懐かしの「昭和のイチゴ」です。
いや、昭和のイチゴもこれほどではなかったんじゃないかしら…潰すのにも苦労するほど固くて、お砂糖をたっぷり入れて牛乳をかけても背筋がぞぞぞとするほどスッパ〜イ、ということもしばしば。
なので、買って来たら洗ってお砂糖を多めにまぶして1日以上おいておきます…こうすると少し柔らかくなって食べやすく…ならない場合もあるんですけど。
ともあれ。
私は、出来立てのアイスクリームはそのまま味わうのが一番だと思います。
いえ、実は…。
本当は、マシンにかけている間に「まだかな?もう少しかな?」と、固さをみるという名目ですくって食べる、やっと固まりかけの、やわやわ、ふわふわのアイスクリームこそ、世界で一番おいしい食べ物だ!と思うのです。
こうして取っておいても、翌日以降になるとやはり香りが飛んでおいしさは半減してしまうので(バニラビーンズのみを使った場合は特に)、一度にあまり沢山は作らないことにしています。
アイスクリームを作りながら決まって思い出すのは、やはり「赤毛のアン」。
まだ一度もアイスクリームを食べたことのなかったアンが、憧れ、焦がれ、心待ちにしていたアイスクリーム。
夏の日のピクニック会場で、作りたてを振舞われたら…それは最上の味だったことでしょう。
「『崇高なるもの』って、ああいうもののことを言うんじゃないかしら。」
私にはアイスクリームを初めて食べた時の記憶はありません。
物心つく前から、アイスクリームは身近にあった、当たり前のお菓子だったのですよね。
平成を通って令和を迎えた昭和生まれですから、記憶に残るような「初めての味」も、もちろん沢山味わって来たはずなのですが…例えば、阿川佐和子さんにとっての「クレームブリュレ」のように(→「クレームブリュレを食べる時に読む本」)。
残念ながら、ここまで感動して忘れられないほどの味は思い当たら…ない?と思ったら、ありました!思い出しました!!
昔(何と30年前です)アメリカにホームステイしていた時に、ホストマザーと彼女の友人と3人で夜のパイ屋さんで食べた「フレッシュ・ホワイト・ピーチパイ・ア・ラ・モード」。
あの溶けたバニラアイスクリームをまとった、芳しい、とろりとした爽やかな甘さの白桃のおいしさは…!生涯忘れられません。
当時は「アメリカで食べたもので、何が美味しかった?」と尋ねられると、必ず「アイスクリームを乗せたフレッシュ・ホワイト・ピーチパイ!」と繰り返したものです。
そのお店は、今も現存の全国チェーンのベイカリー・レストラン、「マリー・カレンダーズ(Marie Callender's)」でしたから、その後アメリカに住むようになってから、もちろん買いに行きました…昔食べた時と同じ、8月になるのを待ちわびて。
「あの感動をもう一度」。
ところが…。
「あのパイはいい白桃が手に入った時のみ作るもので、いつ店頭に並ぶかは分かりらないんです」。
それから、桃の季節になるとしばらく通い詰めるようにして数年目。
やっと念願叶ってフレッシュ・ホワイト・ピーチパイに相まみえた時の嬉しさよ…!
しかし。
桃もアイスクリームも、記憶の味にはほど遠く。
「こんな味じゃなかったんだけど…。」
「思い出はあまりムキになって確かめないほうがいい。何十年もかかって、懐かしさと期待で大きくふくらませた風船を、自分の手でパチンと割ってしまうのは勿体ないではないか。
だから私は、母に子供の頃食べたうどん粉カレーを作ってよ、などと決していわないことにしている。」
向田邦子「昔カレー」抄、「父の詫び状」より
あのパイを食べたのは、初めて訪れた外国で、慣れない英語と文化の中で過ごした1ヶ月のステイ期間がもうじき終わろうとしている頃でした。
「思い出はあまりムキになって確かめないほうがいい。」
そんなものかもしれない…私も母の味ならば、深く追い求めたりはしないかもしれないけれど。
ピーチパイとアイスクリームくらいなら、おいしく作れそうじゃないかしら…?
創作意欲がムラムラと湧いて来てしまいました。
作るぞ、フレッシュ・ホワイト・ピーチパイ・ア・ラ・モード!
白桃が大好物の銀之丞も、小躍りして喜んでくれそうですし。
上手に出来たら、ブログにアップしたいと思います。
早く来い来い、嬉しい桃の季節♪
何かを待つ楽しみがあるって、いいですね。