一昨日の木曜は感謝祭でした。
別名「ターキーデー」とも呼ばれるこの日。
アメリカに来る前から本や映画等で目にしては憧れていた、感謝祭=サンクスギビングのご馳走のメインは、小山のような七面鳥でした。
いつもより少しおめかしをして集まった家族や友人が見守る中、この丸焼きにナイフを入れるのは、従来その家の家長の役目ということになっているようです(「アンシリーズ」でも結婚したての頃、ギルバートが図解入りの本で勉強して解体に臨む、というくだりがありましたっけ)。
デザートはもちろん、お母さんかおばあちゃんの手作りのアップルパイやパンプキンパイ。
…というイメージを抱いて渡米して来た私。
姉と二人暮しをしていた学生時代から、友人を招いては見よう見まねでサンクスギビングのパーティーを開いたものでした。
今と違ってネットで簡単にレシピが手に入る時代ではなかったので(ぐっ…もう20年以上も前のことなのね…)、参考にしたのは日本から持ってきた、一冊の小林カツ代氏の料理エッセイ本。
スタッフィング(=詰め物)にさつまいもを使った、今思えば斬新なレシピだったのですが、そんなわけでこれが私の七面鳥料理の原点となってしまいました。
料理好きの銀之丞と結婚してからは、彼にとっての原点である牡蠣入りクルトンのスタッフィング(→「サンクスギビング・ディナー」)が我が家の定番となりましたが。
夫のスタッフィングを美味しく味わいつつも、友人達と一緒に囲んださつまいも入りスタッフィングの味を、留学生活を始めたばかりの頃の悲喜こもごもと共に懐かしく思い出す毎年のターキーデーなのです。
さて、今年も例年通り、木曜日は朝から楽しそうにキッチンに立ち、下拵えに余念のなかった銀之丞。
前振りで七面鳥やパイの話を持ち出しておいて何ですが。
今年はいつもとは趣向の違うメニューが並びました。
二人でのディナーの時は七面鳥はパスして(何しろ一番小さなサイズの鳥でも5~6人分は優にあるかという大きさ!)鶏を使うことが多い我が家ですが、今回はチキンの中でも特に小さい「コーニッシュ・ゲーム・ヘン」を詰め物なしで焼くことにしました。
コーニッシュ・ゲーム・ヘンは普通一人一羽当てにする小さな雛鳥です。
デザートは私の担当でしたが、パイを一つ焼いてしまうと減量中の夫に(私にもか^^)差し障りがあるのでやめ、先ごろ本で目にしたちょっと変わった焼きりんごに挑戦してみることにしました。
夫は「デザートだけ作ってくれればいいよ」と言ってくれたのですが、他にクランベリーソース代わりの秋の果物のコンポートと、気が向いたのでアペリティフも作ってみました。
料理の合間に夫と散歩に行って集めてきたメープルとペアーの葉で(落ち葉ではなく、木から摘みました…犬の散歩道になっていますので^^)テーブルを飾って、「ハッピー・サンクスギビング!!」
ワインは我が家のサンクスギビングの定番、シャトーヌフ・デュ・パプを用意しましたが、まずはウィスキーとアップルサイダーのカクテルで乾杯。
*Bourbon Whisky Punch with Apple Cider & Calvados
ガーニッシュはリンゴとラ・フランスとザクロです。
シナモンスティックとシナモンパウダー、カルバドスも少々入れたので、少し甘いけれどスッキリした飲み口に仕上がりました。
早速ですが、これがメインのゲーム・ヘンです。
*Cornish Game Hen Seasoned with Lemon & Orange Zest and Herbs
小さくても丸ごと一羽のトリの解体というのはナカナカ難しい…私も図解付きの本で勉強しておけばよかったと思いました^^。
オレンジとレモンの皮、ドライドクランベリー、タイム、パセリ入りのマリネ液に漬けて蒸し焼きにした雛鳥はしっとり、あっさり。
お店では小ぶりの物を選んだ筈だったのに、お皿にのせてみると結構大きくて、とても全部は食べきれないだろうと思ったのですが。
鶏の焼き汁から作ったグレイビーソースはとてもフルーティーで食べやすく、夫は問題なく完食、私も片手羽と片脚だけを残して平らげてしまいました。
付け合せです。
最近ドイツ料理のレストランでプレッツェルの美味しさに目覚めた銀之丞、とうとう自分で作ると言い出しまして。
*Homemade Pretzel
芳ばしく焼きあがったプレッツェルは、ハイ、今まで味わった中で最高の味!
他はいつもの面々が顔を揃えました。
小玉ねぎとマッシュルームのグラッセと、茹でてからソテーしたフレンチビーンズ(細めのいんげん)。
*Sauteed French Beans and Glazed Petite Onion & Mushroom
いちじくと洋梨、ぶどうはブラウンシュガー少々と白ワインで煮たのですが、いちじくの色に染まってほんのりロゼカラー。
*Autumn Fruits Compote (Fig, Grape and Pear)
この、テーブルに並んだサイドディッシュを見た時。
「?思ったより余白が多い気がするなぁ…」とは思ったんですよ。
でも、お皿に全種類を盛りつけたらすごいボリュームになったし、特に不足とも思わず食べ始め、十二分に満足して食事を終えて。
台所の片付けを済ませた後、デザートの焼きりんごをオーブンに入れようとしたところ、「ん?中に何か入ってる?」
*Candied Yam
何と、楽しみにしていた「キャンディード・ヤム」?!
夫が食べる直前に温め直そうとオーブンに入れてタイマーをかけておいたのが、そのままになっていたのでした!!
ブラウンシュガー、メープルシロップ、バター、塩胡椒、オレンジジュース少々をふりかけてしっとりねっとりと焼きあがったヤム芋は私の大好物なのです…。
銀之丞、どーして忘れたー!?
私、どーして気づかなかったー!?
…なんだか二人ともとってもトシをとったような気がして、がっくりとうなだれてしまいました…。


…。
……。
き、気を取り直して、で、デザートを…。
前日に作っておいたカスタードクリームに、あられに切ってキャラメリゼしてからシナモンパウダーを振りかけておいたリンゴとラム酒を加え、くり抜いたリンゴに詰めてオーブンで焼きました。
*Custard Stuffed Baked Apple with Ice Cream and Pecan Praline
レシピに「アイスクリームを添える」とあったので少しだけ添えてみましたが、なくてもよかったかも…。
とろりとした熱々のクリームからラムの香りが立ち昇ります。
ここに、仕上げに振ったシナモンの香り、カリカリのピーカンナッツのプラリネの芳ばしさ、しゃきしゃきした歯ごたえの残る焼いたりんごの風味が合わさるともう…。
ここ最近にしては珍しく、一日中暖炉を焚く程に冷え込んだこの日にぴったりのデザートとなりました。
りんごをくり抜くのが手間と言えば手間ですが、時間をかけただけのことはある一品だと思いました。
リピート決定です。
食べ忘れたキャンディード・ヤムは、昨日、仔羊を焼いて、他の残りの付け合せと共にいただきました。
切ない味がしましたが、とても美味しかったです。
感謝祭が終わると、こちらもいよいよクリスマスモード一直線となります。
私もツリーに飾りつけをして、カードを書く準備をして、フルーツケーキを作って、クリスマスショッピングの仕上げもしなくちゃ…。
ショッピングなんかも、ちゃんとリストを作って買い忘れのないようにした方がいいかもなぁ…。
と、少々弱気になって迎えたブラック・フライデー・ウィークエンドなのでした。
皆様も、どうぞよい週末を。
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