UAEのアブダビ、太陽熱発電や電気自動車が走る最先端の砂漠都市。
サウジアラビアは太陽からエネルギーを得る。
バーレーンは風力発電に力を入れている。
トップダウンで繰り出される中東のエネルギー覇権争い。
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ブルジュドバイから名前が変更されたアブダビの世界一の高さのビル。
UAEのドバイは今の世界から資金が集まる。
アブダビ投資庁は石油からの富を確保しつつ、新たなエネルギー市場でも覇権を握ろうとしている。クリーンエネルギー構想をぶち上げたのだ。「マスダールシティー」という環境都市を砂漠に作ろうという計画。太陽光や風力しかエネルギーとして使わない。
移動は電動コンパクトカー、ガソリン車は入れない。世界から技術を集め、UAEはこの計画で世界の環境先進国となった。
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このマスダール計画のCEOには、世界の要人が訪問する。ドイツのメルケル首相もその一人。財政が逼迫するドイツと技術が欲しいアブダビの利害が一致した。
クリーンエネルギー市場は3年後に50兆円になるといわれ、日本も手をこまねいているわけではない。
CEOのスルタン・ジャベル氏は、アブダビをクリーンエネルギーに変えようとしている。
フランスのソーラー業界もジャベル氏に接近。ジャベル氏は「環境輸出立国」を目指すという。潤沢なオイルマネーを利用して、環境分野に投資している。
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カタールのドーハ、液化天然ガスを武器に絶好調の経済で、18%を越える成長率を保つ。
LNGは二酸化炭素を発生する量が少なく、ガソリンに代わって利用が進んでいる。カタールのアティアーエネルギー省大臣が、そのLNG販売の立役者だ。大臣の下、今は世界最大のLNGプラント計画が進んでいる。
この建設を任されたのが日本の千代田化工建設。業界トップ3のひとつだ。
千代田化工はプラントの生みの親だ。今までは対等の関係だったが、次第に微妙な力関係になってきている。かつては建設会社のスケジュールに合わせていたが、今はカタール側が決めたスケジュールに合わせなければならない。井川玄マネージャーも苦闘する。今回のプラントはフランスの会社と共同して行っている。
中野護さんはフランス側の遅れが気になっているが、口出しは出来ず眺めるだけだ。
遅れを許さないカタールとわが道を行くフランスの板ばさみに悩む。
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去年原子力の分野で、日本の優位性が揺らぐ出来事があった。アブダビの原子力発電建設で、韓国の企業グループが受注したのだ。韓国イ・ミョンバク大統領が直接出向いて交渉した。
日本の千代田化工・久保田社長は月に一度のカタール詣でを欠かさない。
中東でのプラント建設で力を発揮してきた千代田化工も近年は韓国や他のアジア勢の追い上げにあって、売り上げも落とした。社長「もう一度、日本の技術力のすごさを見せたい。」
千代田化工は入社したての若手を現地に派遣し、イスラムの習慣・現地の気候などを吸収していく。他国の労働者と同じ宿舎に寝泊りする。
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バーレーン世界貿易センターは巨大な風力発電の翼が回る。
サウジアラビアはサンベルト地帯にあるため、太陽エネルギー6時間分で世界の電力を賄えるといわれている。
大学でも太陽の恩恵を講義。砂漠の下の原油から、降り注ぐ太陽にエネルギーを変えようとしている。
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アブダビのマスダール計画は技術を輸入して、それを逆輸出しようとしている。
またサンベルト地帯の西端「モロッコ」にはソーラー発電計画が持ち上がっており、早速アブダビのジャビル氏はエネルギー環境大臣に売り込みを行う。
IRENAは加盟国140カ国を数え、アブダビに本部誘致を行い成功した。決め手は年間の資金援助だった。
トンガ王国も新たに加わることになった。トンガも太陽光エネルギーを使うことにしている。UAEから多額の援助を得て設備を作っていく。
ジャビル氏は誘致は大成功だと語る。
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カタールは中国の企業ペトロチャイナと契約。LNGの輸出先を確保した。
アジアの新興国同士が手を結ぶ時代が到来したのだ。
千代田化工のプラント建設。試運転を控えて、カタール側の技術者からクレームが出た。ガスタービン試運転の電源が問題となったが、それはフランス側の企業の役割。そもそもの原因となったフランス側の技術者を交えて緊急用電源を使用するかどうかを討議した。緊急用がもし破損すると6ヶ月遅れる。しかしユーティリティの感性を待っても数ヶ月かかる。問題はフランス企業側にあるとはいえ、責任は千代田化工になる。
カタールは遅れを許さない。報告会が開催されて、カタールガスの責任者を前に説明するが、難色を示される。
井川さんは覚悟の発言をする。万が一の場合は日本側が責任をとって緊急用電源を使う!と。
厳しい状況・厳しい競争に置かれる日本企業だ。
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アメリカ・ワシントンで世界エネルギー閣僚会議が開かれた。
スルタン・ジャビル氏も出席した。アメリカは会議の主導権を握り、自国に有利にしようと動いている。
さてアブダビはどうアメリカに対抗しようとするのか?
会議は合意書を作成して終了したが、翌年の開催国はアブダビが勝ち取った。アブダビの新エネルギー大国の自負心がのぞく。
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試運転作業は無事始まった。緊急用電源を使用し、正常に作動!井川さんは賭けに勝った。カタールガスの関係者のチェックも次々と「OK」が出された。「今までで一番いいよ。」という評価に、井川さんもホッとする。
新入社員たちも50度を越える灼熱の現場に、世界各国の労働者とともに働く。
20年後全世界の4割に達するとされる新エネルギー。その富の争奪戦は激しさを増している。