ORANGEの備忘記録 -9ページ目

脂肪腫の写真

本当なら一日絶食の予定だったが、手術の予定が半日早まったために、夕飯は食べて良いとの許可。


あんまりワクワクするような食事ではないのだけど、本能的に楽しみな気持ちがわく。


入院するとき重たい思いをして飲み物をたくさん買ってきておいて良かった。

術後の安静時間を経て、体を動かしても良い許可が出たが、他のフロアに移動することはまだ許可が出ていない。


エレベーターで下まで降りればコンビニがあるのだけど、飲み物はまだたくさんあるので行く必要はない。


同室の方たちは、必要なものが出た場合は看護師さんにお使いを頼んでいた。


術後に担当医がやってきて、手術の様子を伝えてくれた。首から肩にかけてあった脂肪腫はきれいにスルリと取り除かれ、懸念された筋肉との癒着はなかったとのこと。脂肪腫を再度検査してもやはり悪性の要素は無かった、と。すっきり安心した。

何より肩の筋肉にメスが入らなかったのはとても良い報告だった。

もし脂肪腫が筋肉についていたりすると、筋肉を切り割ったりして切除しないとならないと聞いていた。そうなると回復にとても時間がかかると。


利き腕ではないものの、日常で肩を動かせないとは中々不便である。

シャンプーできないとか、高いところのものを取れないとか。

リハビリが必要とか。

でもその心配がなくなった。


取れた脂肪腫の写真見たいですか?と聞かれそりゃもちろん見たいわな。

デジカメに入ってる画像を見せてくれた。


12センチほどの大きさで、実際はこれがもっと押しつぶされた状態で入っていたからもっと広範囲に広がっていたとのこと。

後でプリントアウトして写真くれるそうだ。

記念品だね。


空洞になった跡地に溜まる血液を排出するためにドレーンが付いている。肩から血液がチューブを通ってプチバッグに溜まる。それを首からぶら下げている。

この血液が落ち着いてきたら、ドレーンのチューブを外して退院できると。


手術の傷は、大きなキズパワーパッド様のシートが貼ってある。


怖いのと、直視や鏡では見えない場所にあるのとで、まだどんな様子か自分では見えていない。


その日の夜もあまりに寝付けない。例のごとく、隣のベッドの人が一晩中テレビをつけているのと、さすがに術後の痛みがあり、ウトウトしては目が覚めるを繰り返す。


そんな中ウトウトしながらトイレに行った時にまたやらかした。部屋を間違えたのだ。


半分寝ぼけながら消灯した廊下をヨボヨボとドレーンバッグを首から下げ、片手に点滴スタンドを持ちトイレに向かっていたときだ。


うっかりマスクを忘れてしまった。

あ、とりにいかなきゃ、と自分の部屋に戻り、確かテーブルの上においてあったはず、と閉じたカーテンの隙間から手を伸ばした時にハッ!と気づいた。


カーテンの隙間から一瞬見えた荷物が自分のものではない!


ひー

また部屋を間違えたのだ。

前回は、一つ手前の部屋に入ってしまったのだけど、今度は一つ先の部屋に入ってしまった。


その部屋の人が起きていたら、何事かと思うだろう。

カーテンの隙間から手が伸びてくるのだから。何かを物色するように。

まずい、完全に犯罪者やん。


ただ、無精して自分のマスクを取ろうとしただけなんです。

どうか、その人寝ていて気づいてませんよおに・・・


気を取り直して、自室に戻り、カーテンをちゃんと開け、自分のベッドと確認してからマスクを取り、何事もなかったようにトイレに向かう。


もうすっかり目も覚めたわ。


なにもかも術後のせいってことにならないかな。

トイレに行けた。

絶賛悶絶中。


術後の尿意切迫感が全く引かない。

そりゃそうだ。

朝いつもより水分摂ったあとの突然の予定変更の手術開始時間。


普段は、さほど水分摂っていなくても必ず10時ころには一回トイレに行くほどのトイレ近い人。


それが恐らく5時間はトイレに行かれない。

動くことも許されない。

ベッドでしてもいいよと言われてもなんの呪いか全く出ない。まさに地獄。


手術の痛みではなく尿意で意識が朦朧としてきたところで、皆様のお昼ごはんが終わった。


そこでもう一度ナースコールをポチッ。

再び便器を用意してもらって排尿を試みる。


すぐそこまできてるのに、やっぱり出ない。

この強烈な不快感を味わった事のある人はどれほどいるのだろうか。

あまりの不快感に涙が出るほどだった。


今度はさっきよりも長めに粘ってみる。

時計がないからわからないが、感覚的に30以上は放置してみたと思う。


とにかく不快。漏れそうな感覚があるのに全く出せない。まるで悪夢。


粘りに粘った挙げ句看護師さんがやってきて便器をまた下げてくれた。


そこからまた長い悶絶タイムを過ごしていると、看護師さんがやってきて、少し早いけど立ち上がってみますか?と言ってくれた!


もちろん!


痛かろうが倒れようがこの尿意切迫感と決別できるなら何でもしますっ。


点滴スタンドを片手に、肩に溜まった血を抜くためのドレーンバッグを首からぶら下げ立ち上がる。

ふらつきなし。

トイレ行ってもよいですよ、と。


よしっ。


ヨボヨボと慣れない歩きかたでトイレに向かう。肩の手術跡はそれなりに痛い。でも今は違う。そんなの我慢できるほどひどい尿意。


その後トイレに入ってスッキリはするのだが、あれほど酷い尿意だとは思えないほどのしょぼい量しか出なかった。


ほんと、なんの呪いなのか。なんちゅう体なのだ。


ベッドに戻り、待っていてくれた看護師さんにスッキリしたことを報告。

次にまたもし悶絶する人がいたらぜひ早めにトイレに行く許可を出してあげてほしいから。


一体何だったのだろう。二度と味わいたくない。

もし今後、また何かで手術することになって、手術開始時間の変更があっても予定より早い変更は金輪際受け付けないと心に誓った。頑固者と言われても、だ。


トイレでスッキリすると、本来の手術後の痛みがハッキリしてきた。


痛くてベッドに寝ることもできず、電動ベッドの上体を少し起こす。でも横向きになることはおろか、頭だけ横を見ることもできないから真横にあるテレビが観れない。そもそも見る気力もないし、眠れもしない。さすがにしんどいので痛み止めをもらった。少し楽になり気力が回復。


一日絶食の予定が、朝イチの手術になったので夕飯は出してもらえることになった。


悶絶タイムをすぎればなんだって余裕だよ?

別に食べなくても平気だけど、出してくれるというのだからいただくことにした。


悶絶タイム

手術後の安静時間3時間のあいだ、ほぼ全部の時間が尿意切迫感での悶絶タイムとなる。


一度は下げてもらった便器。


でも尿意切迫感は、相変わらず強い。

今が何時なのかもわからない。


あとどれくらいで術後3時間を迎えるのだろう。


悶々としながら過ごしていると、いつの間にか手術に入っていた同室の大学生が手術から戻ってきたようだ。


彼女が何番目の手術だったかはわからないが、少しは病室内に動きが出て気が紛れる。


看護師さんから同じように3時間の安静を説明されている。

トイレは大丈夫か聞かれ、したいと答えたのだろう。ベッドでするよう説明されている。


その後すぐにセットされたようだ。

なんと、彼女はすんなり済ませたようだ。

羨ましい、うらやましすぎる。


こちらは相変わらず悶絶中だというのに。

膀胱がパンパンで硬くなっている。


しばらくするとお昼の用意する音が聞こえてきた。ワゴンのカタカタ音が廊下から聞こえてくる。


まずい、病室がお昼ごはん中はさすがにベッドでトイレはまずいだろう。

ここの時間は死物狂いでも避けたい。

いや、もうすでに死にかけている。


手術開始が8時45分、手術は2時間半を予定していると言っていたから、終わったのが

11時15分、安静時間が3時間となると、開放されるのが午後2時15分。今がお昼はということはまだあと安静時間は2時間以上ある。


それまで耐えられるのか。いや無理だ。

悶絶は続く。